血液の鉄人の理解しやすく役立つ臨床検査の部屋 Headline Animator

2024年9月1日日曜日

世界的に性感染症が増加しています!!

日本だけでなく、世界的に性感染症が急増していると、世界保健機関(WHO)が2024年5月に発表した報告書によると、梅毒、淋病、クラミジア、トリコモナスの4種類の性感染症に、世界で毎日約100万人が新たに感染しています。

ここで特に問題となるのは抗生物質に耐性を持つ、つまり治療薬の効かない淋菌も増加しているということです。

報告書によると、世界中で毎日、100万人以上の15歳から49歳の人々が梅毒、淋病、クラミジア、トリコモナスの4つの感染症に新規感染している。

なかでも、梅毒の新規感染症例が急増しています。

2022年のHIVとウイルス性肝炎の新規感染者数は、微減にとどまりましたが、B型肝炎およびC型肝炎の新規感染者数は、それぞれ約120万人、約100万人に達しています。

HIVとウイルス性肝炎の新規感染が十分に減らないなか性感染症が増加しており、持続可能な開発目標(SDGs)の保健衛生目標の達成を脅かしているとWHOは警告しています。

WHOのテドロス・アダノム事務局長は報告書において、「公衆衛生の脅威となる伝染病を2030年までに終結させる手段はある。(中略)各国は各自の目標に向けてできる限りのことをしなければならない」との見解を示しています。

【参考資料】

新たな報告書は、HIVと肝炎の課題の中、性感染症の大幅な増加を警告している

2024年8月25日日曜日

世界保健機関エムポックスに対して国際的な公衆衛生上の緊急事態!!

ポックスウイルス科オルソポックスウイルス属のエムポックスウイルスで、"コンゴ盆地型(クレードⅠ)"と"西アフリカ型(クレードⅡa及びⅡb)"の2系統に分類されています。

コンゴ盆地型(クレードⅠ)による感染例の死亡率は10%程度であるのに対し、西アフリカ型(クレードⅡa及びⅡb)による感染例の死亡例は1%程度と報告されています。

2024年8月15日、スウェーデン保健当局は、アフリカで感染が拡大するエムポックス(サル痘)のウイルスでより重症化しやすいタイプの「クレード1」感染者を国内で確認したと明らかにしました。

アフリカ外でクレード1の感染が確認されたのは初めてで、流行地域に滞在中、感染したとみています。

世界保健機関のテドロス・アダノム事務局長は2024年8月14日、アフリカ中部で広がる感染症「エムポックス(サル痘)」について、約1年3か月ぶりに「国際的な公衆衛生上の緊急事態」を宣言しました。

世界保健機関によりますと、エムポックスの新系統のウイルスが昨年見つかり、急拡大しコンゴ民主共和国では今年、15000人以上の感染と537人の死亡が報告され、新系統ウイルスはケニアやルワンダなど周辺国でも確認されています。

天然痘に似たエムポックスは元々アフリカの風土病でしたが、2022年以降に欧米などで感染が拡大しました。

日本国内では248人の感染が確認された。

世界保健機関は同年7月に緊急事態を宣言し、感染が落ち着いた昨年5月に解除していた。

エムポックスはリスやネズミなどの「げっ歯類」やサルなどがウイルスを保有しており、かまれると人に感染します。

人から人へは肌の接触や性行為などでうつり、発疹のほか発熱や頭痛、リンパ節の腫れなどの症状が出る。多くは発症後2~4週間で自然回復する。

感染者の体液や血液に触れたり、性的な接触をしたり、近距離での対面で飛沫に長時間さらされたりすることなどでも感染します。

ハイリスク層はMSM(Men who have Sex with Men、男性と性的接触を行う男性)とされる一方、女性や子供の感染事例もあり、妊婦や免疫不全者は重症となる場合があることが指摘されています。

タイの疾病管理当局は2024年8月22日、従来より致死性の高いコンゴ盆地型(クレードⅠ)の感染を、国内で確認したと発表しています。

これはアフリカ大陸以外での感染確認の2例目となりアジアでは初めてのことです。

日本国内での死亡者は2023年12月に、海外渡航歴のないエイズウイルス(HIV)感染者の30代男性がエムポックスで死亡しています。

国内の死者確認はこれが初めてです。

※このウイルスは西アフリカ型(クレードⅡa及びⅡb)※

今後日本国内でも致死性の高いコンゴ盆地型(クレードⅠ)が入り込む危険性はあります。



2024年8月18日日曜日

エムポックス大流行の兆し!!

2024年8月14日、世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム事務局長はアフリカ中部で広がる感染症「エムポックス(サル痘)」について、約1年3か月ぶりに「国際的な公衆衛生上の緊急事態」を宣言しました。 

世界保健機関によりますと、エムポックスの新系統のウイルスが2023年に見つかり、急拡大しコンゴ民主共和国では2024年、15600人以上の感染と537人の死亡が報告されています。

この新系統のウイルスはケニアやルワンダなど周辺国でも確認されています。

更に2024年8月15日、スウェーデン保健当局はアフリカで感染が拡大するエムポックス(サル痘)のウイルスで、より重症化しやすいタイプの「クレード1」感染者を国内で確認したと明らかにしています。

アフリカ外でクレード1の感染が確認されたのは初めてで流行地域に滞在中に感染したと考えられています。

【エムポックスウイルスについて】

コンゴ盆地型(クレードⅠ)と西アフリカ型(クレードⅡa及びⅡb)の2系統に分類される。

コンゴ盆地型(クレードⅠ)による感染例の死亡率は10%程度であるのに対し、西アフリカ型(クレードⅡa及びⅡb)による感染例の死亡例は1%程度と報告されている。

天然痘に似たエムポックスは元々アフリカの風土病でしたが、2022年以降に欧米などで感染が拡大しています。

世界保健機関は2022年7月に緊急事態を宣言し、感染が落ち着いた2023年5月に解除しています。

日本国内においては、2024年8月9日時点で248人の患者が確認されています。

2023年12月には、海外渡航歴のないHIV感染者の30代男性がエムポックスで死亡したていますが、国内の死者確認はこれが初めてです。

今後の流行に気をつける必要があります。



2024年8月11日日曜日

新しいエイズ治療薬レナカパビルについて-3.レナカパビル(注射剤)が、シスジェンダー女性に対するHIV予防の研究的使用において100%の有効性を示す-

ギリアド・サイエンシズ(本社:米カリフォルニア州フォスターシティ)は、2024年6月20日、第III相ピボタルPURPOSE 1試験の中間解析トップライン結果において、年2回投与のHIV-1カプシド阻害剤のレナカパビル(注射剤)が、シスジェンダー女性に対するHIV予防の研究的使用において100%の有効性を示したことを発表しました。

詳細は以下を参照してください。

レナカパビルの有用性について

2024年8月9日金曜日

地震お見舞い申し上げます。

 2024年8月8日に発生しました宮崎県沖の地震に際し、被災されました皆様方に心よりお見舞い申し上げます。


被害のほどが案じられ、損害の軽微と一日も早い復旧を心より願っております。


2024年8月4日日曜日

日本国内でのアメーバ赤痢の現状

 性感染症の中で梅毒の増加は世間を騒がせていますが、その裏で静かに増加しているのが赤痢アメーバ症です!!


発展途上国では汚染された食べ物を口にすることで感染することの多い病気ですが、衛生環境が維持されている先進国ではむしろ性行為での感染が増えているのが現実です。


治療の遅れで亡くなるケースもあります。治療は内服薬が第1選択で比較的簡単ですが、アメーバ赤痢は通常の大腸炎ときちんと鑑別して治療することが重要となります。


世界人口の10%が持つとされるアメーバ赤痢原虫には2種類あり、大腸炎や肝膿瘍の症状をもたらす病原種が90%、非病原種が10%と言われています。


「日本で流行しているのは病原種ですので、要注意です。以前は肛門をなめたり、肛門性交、口腔性交を行う男性同性愛者(MSM)の間の流行でしたが、いまは男女間でも風俗店などを中心に同様な性行為が行われ、増加しているとみられています」


現在の過患者数は氷山の一角で、実際の患者数は昨年約1.5万人の新規患者数が報告された梅毒を上回るとの見方もあります。性感染症検査場の保存血清を調べた2020年報告の研究では、その時点で梅毒陽性率(2.11%)よりアメーバ赤痢症陽性率(2.64%)が高かったのです。なお、2014~17年の新規感染者数は年間1000例を超えたが2018年以降は大きく減少したとされていますが、これは検査試薬が製造中止になったためで、真の減少ではなく、その脅威は年々増しているとみられています。

前回紹介した抗原検査法によって、今後患者数は増加するおそれが指摘されています。

2024年7月28日日曜日

アメーバ赤痢抗原検査

 性感染症の中で梅毒の増加は世間を騒がせていますが、その裏で静かに増加しているのが赤痢アメーバ症です!!

発展途上国では汚染された食べ物を口にすることで感染することの多い病気ですが、衛生環境が維持されている先進国ではむしろ性行為での感染が増えているのが現実です。

潜伏期間は2~4週間で、典型的な症状は下痢、高熱、しぶり便、それに排便時の下腹部痛など大腸炎の症状を繰り返します。

診断の決め手となるのは、イチゴ状の粘血便です。

トイレットペーパーに血がつくため痔と間違える患者さんもいます。

2024年初からの新規感染者報告数は272人で、前年同期の255人を上回っています。

【検査法】

①顕微鏡下での病原体検査

② ELISA法またはイムノクロマト法による抗原検査

③ PCR 法による病原体遺伝子検査(一部の研究施設でしか利用できない)

④赤痢アメーバ抗体検査(2017年に検査薬製造中)

※現在の検査法※

糞便を直接または生理食塩水で溶解し、カード式の検査キットで判定する「糞便迅速抗原検査」が用いられます。

これは特別な機器は不要で、30分以内に感染の有無を判定できます。

この検査は、栄養型の表面タンパク(レクチン)に対するモノクローナル抗体を用いたイムノクロマト法で栄養型を検出するため、特異度が高く、偽陽性の頻度は極めて低い検査法です。

【参考資料】

赤痢アメーバQUIK CHEK


リミング(肛門を舐める)・肛門性交・肛門性交をした後にキスやフェラチオをするなどの行為でアメーバ赤痢は感染しますのでこれらの行為を慎む必要があります。