血液の鉄人の理解しやすく役立つ臨床検査の部屋 Headline Animator

2020年11月22日日曜日

検査に対する疑問点-1.疑陽性と偽陽性の違い-

 検査を受ける時に疑問に思われることを簡単に解説し、その疑問を解決していきます。

疑問点を明確にして検査を受ける際の心配なことや疑問を解決していきましょう。

第1回目は、疑陽性と偽陽性の違いです。

検査を受けた時、特に感染症検査で「この人は疑陽性」、「私は偽陽性だった、どうしょう」などと聞かれることがあったり、ご自身経験されたことがあると思いますので、この点について解説していきます。

疑陽性と偽陽性は、どちらも発音すると同じ「ぎようせい」なのですが意味は全く違います。

それではどう違うのでしょうか?

疑陽性の「疑」は疑いですから「陽性の疑いがある」(陽性判定基準を満たさず、免疫がついたとは言い切れない)、すなわち「疑わしい状態」ということです。

偽陽性の「偽」は偽りですから、「偽り、間違い、あやまちでの陽性」(本当は陰性であるにも関わらず陽性結果となること)という意味となります。

この偽陽性の起こる原因は、特定できる場合と全く原因不明の場合があります。

これらが発生したときの対応としては、

1.同日に同じ検査法を再度実施する。

1)陰性の場合・・陰性と判定する。

2)陽性の場合・・陽性と判定し確認検査を行う。

2.同日異なる検査法で検査を実施する。

1)陰性の場合・・陰性と判定する。

2)陽性の場合・・陽性と判定し確認検査を行う。

3.日を改めて新たに採血し直して、同じ検査法を実施する。

1)陰性の場合・・陰性と判定する。

2)陽性の場合・・陽性と判定し確認検査を行う。

4.日を改めて新たに採血し直して、異なる検査方を実施する。

1)陰性の場合・・陰性と判定する。

2)陽性の場合・・陽性と判定し確認検査を行なう。

2020年11月15日日曜日

インフルエンザについて-3.インフルエンザワクチンの予防効果-

 18~64歳の健康成人については、70~85%程度のインフルエンザ感染が予防できたという報告があります。

子供や65歳以上の高齢者では予防できる割合がもう少し低いと報告されており、数10%から70%程度予防できたという報告が見られます。

ワクチンを接種していてもインフルエンザ感染がゼロになるわけではありません。

ワクチンに使用したインフルエンザの株とその年に流行したインフルエンザの株が異なれば、当然感染予防効果は低くなりますが、予想が外れても50~60%の予防効果があったと報告されています。

インフルエンザの流行タイプが外れても全く効果がないというのは間違いなのです。

インフルエンザは通常、初冬から春先にかけて毎年流行します。現在、Aソ連型(H1N1)、A香港型(H3N2)、B型の3種類が同時あるいは混在して、毎年それぞれが少しずつ変異しながら流行しています。

その流行株の予測は世界的には、WHOの専門家会議で次のシーズンに向けたインフルエンザワクチンに用いる候補株が毎年2回選定されます。

日本においてはWHOの推奨株と国内での流行状況などから予測を行い、ワクチンの製造に適した株を選択し、毎年5~6月頃に次のシーズン(その年の冬~)のワクチン株が決定されます。

その予測率は毎年高くなってますが、完全には予測することは不可能です。

【2020年のインフルエンザ流行の現状】

2020年全国的にも感染者はほとんど発生していません。

この理由としては、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策が影響していると考えられています。

日本国内においては、COVID-19の感染拡大を防ぐため、3密(密閉、密集、密接)を避ける行動に加えて、マスク着用や手指消毒・手洗いの励行、さらに日常生活でのフィジカルディ・スタンス(物理的身体的距離)確保などの対策が推し進められて来た結果がインフルエンザの流行防止にも効果を示しているとの考え方です。

※※新型コロナウイルス感染防止対策として、2m以上の対人距離を呼びかける「ソーシャル・ディスタンス(社会的距離)」という言葉が定着しつつありますが、この言葉は「人と人との社会的なつながりを断たなければならないとの誤解を招きかねず、社会的孤立が生じさせる」おそれがあることから、世界保健機関(WHO)では「身体的、物理的距離の確保」を意味する「フィジカル・ディスタンス(物理的身体的的距離)」に言い換えるよう推奨しています※※

当サイトでもソーシャル・ディスタンスを使用せずにフィジカル・ディスタンスを使用致します。