血液の鉄人の理解しやすく役立つ臨床検査の部屋 Headline Animator

2019年10月1日火曜日

血液型について-1.ABO式血液型と性格に関係-

結論から言いますと、科学的にはABO式血液型と性格に関係はありません!!

血液型と性格の関連性について論じる国は、日本とその影響を受けた韓国、台湾といった一部地域だけであり、それ以外の地域では血液型と性格を関係づける習慣はありません。

我が国においての血液型と性格との関連性があるとの主張は、大正期から昭和初期に古川竹二教授が発表した「血液型による気質の研究」(1927年)、「血液型と気質」(1932年)、昭和46(1971)年に発売された能見正比古氏の著書「血液型でわかる相性」などがあります。

ただしこれらのいずれの著書でも統計上の分析や結果に不備があったり、追検査で十分な証明ができなかったりしたことで、学説として認められていません。

古川学説は、最終的には1933年日本法医学会総会において正式に否定されています。

特に1971年以降、大きな影響力を持った能見正比古(1925~1981)と能見俊賢(1948~2006)の親子が提唱したのは血液型人間学であり、新たな学問であるかのように提唱していますが、能見正比古の死後、1980年代には日本の心理学側からこれを否定した研究結果が登場するようになっています。

血液型によって人の性格を判断することは、相手を不快や不安な状態にさせる言動となり、これは"ブラッドタイプ・ハラスメント"と呼ばれ、近年になり社会問題として取り上げられるようになってきています。

企業の採用試験の応募用紙に血液型の記入欄があったため、改善するよう労働局から指導された企業も現実に存在しています。

厚生労働省は「血液型は職務能力や適性とは全く関係ない」といっていますが、未だに血液型による職務能力や適性がまことしやかに論じられていることは事実です。

血液型による性格分類は、科学的に正しいとは認められていませんが、1970年代から2000年代前半にかけて、多くのテレビや書籍が根拠なく分類を広めたため、いまだに血液型と性格の関連性を信じている人も少なからず存在していることも事実です。

2019年9月20日金曜日

各種性行為感染症の検査を受ける際の注意点-4.イムノクロマト法を利用したHIV検査は偽陽性反応が出現しやすい-

イムノクロマト法を利用したHIV検査は、迅速抗体検査と迅速抗原抗体検査があります。

迅速抗体検査としては、ダイナスクリーンがあります。

迅速抗原抗体検査としては、エスプラインHIV Ag/Abとダイナスクリーン・HIV Comboのふたつがあります。

【イムノクロマト法の欠点】

判定ラインの色調(ラインの濃度)を肉眼で判定することから、どうしても判定者の主観に左右されてしまいます、その結果神経質的に判定すればどうしても薄くラインが有ると判定し偽陽性反応が出現しやすくなる検査法と言えます。

逆に大雑把な人が判定すれば、薄い判定ラインを見逃すこともあります。

しかし、判定を厳格に見すぎての偽陽性反応が圧倒的に多いのが現実です。

【イムノクロマト法の偽陽性反応の出現率】

100人検査をすればおよそ3~5人の偽陽性反応が出現します。

※抗体検査より抗原抗体検査の方が偽陽性率が高い傾向にあります。

現実かなりの人が偽陽性反応に泣かされています。

【なぜイムノクロマト法の偽陽性反応の出現率が高いのか】

1.陽性を見逃さないように検出感度を高くしている。

2.肉眼で判定することから検査者の主観が入りやすい。

3.反応時間を過ぎてからの判定ラインに出現したラインを陽性と判定する。

※決められた反応時間を経過してから出現したラインは、陽性と判定しない※

4.全血を使用しての検査は、血液の赤い色が判定を誤らす可能性が高くなる。