血液の鉄人の理解しやすく役立つ臨床検査の部屋 Headline Animator

2019年10月23日水曜日

糖尿病と膵臓がんの関係

【膵臓の働き】

膵臓という臓器は、極めて重要な臓器で、胃酸で酸性になった食べ物を中和する"膵液"を分泌して消化を促す働きをする、インスリンやグルカゴンなど血糖値を調節するホルモンを分泌して全身のバランスを保つふたつの働きをする大切な臓器です。

膵臓は、胃の裏側の体の深部に位置し消化液を運ぶ膵管が張り巡らされています。

【糖尿病と膵臓がんは関係ある??!!】

膵臓がん患者の26%は糖尿病患者というデータがあります。

糖尿病患者の場合、男性では膵臓がんの発症リスクが健康な人に比べ2.1倍、女性で1.5倍高いとというデータがあります。

【膵臓がんの原因とは】

膵臓がんの原因のほとんどが膵炎です。

膵炎は、血液中に糖分が増えることで起こります。

【膵臓がんの予防】

以上のことからして糖尿病を予防するような食事や運動などで生活習慣を改善するように日頃から心がけることが、膵臓がんの予防になるということなのです。

膵臓がんはがんのなかでも、発見しにくく発見されたときにはすでに手遅れのケースが多いことから、「早期発見がしにくい」「転移しやすい」「治癒が難しい」「生存率が低い」と、四つの悪条件がそろったがんと言えます。

【膵臓がんは治るのか】

医学の進歩に伴い多くのがんは治る病気となりつつありますが、膵臓がんだけは例外で、5年生存率はステージ1で40.1%、ステージ4になると1.5%、全症例で9.2%と極めて予後の悪いがんといえます。

更に最近では、膵臓がん罹患者数も死亡者数も年々しつつあります。

【何故膵臓がんは見つけにくいのか】

膵臓がんの90%以上が、膵管の細胞にできるので発見しづらい原因となっています。

更に悪いことには膵臓がんは、特徴的な自覚症状がほとんどなく、腹痛、黄疸、腰や背中の痛み、食欲不振、体重減少などの症状が現れますが、これらの症状は他の疾患でも現れることからついつい膵臓がんを見をとしてしまうことになります。

症状が進行してから発見されたときには、すでに手遅れとなっています。

進行した場合、症状としては、が挙げられますが、胃炎や膵炎の場合も同じ症状になります。

【膵臓がんの検査】

膵臓は肝臓と同様に「沈黙の臓器」と呼ばれ、よほどがんが進行しないと検査に至らないのです。

エコー検査(超音波検査)でも、胃や腸のなかにあるガスや体内脂肪の影響で診断しにくいのが現実です。

ふだんから健康に気を使い、定期的に人間ドックを受けていたにもかかわらず、膵臓がんは発見されず、自覚症状が出てから精密検査をし初めて膵臓がん診断される人が殆どで、このような場合膵臓がんが発見されたときにはかなり進行していて、手遅れが多いのが現実です。

最近では、CT=Computed Tomography(コンピューター断層撮影)が膵臓がんの早期発見に比較的有効とされていますが、撮影のために使用する造影剤には副作用リスクがあり検査を受ける際には注意が必要となります。

更に有効な検査としては、MRI=Magnetic Resonance Imaging(磁気共鳴画像)を利用したMRCP=Magnetic Resonance Cholangiopancreatography(磁器共鳴胆管膵管造影検査)という検査がありますが、自覚症状がなく、膵臓がんの疑いがないのにこれを受ける人はまずいません。

最近で注目されているより高度な検査方法としてERCP=Endoscopic Retrograde Colangiopancreatography(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)やEUS:=Endoscopic Ultrasonography(超音波内視鏡)がありますが、実施している医療機関が少ないうえ、費用が高額であることからほとんど利用されていません。

2019年10月14日月曜日

謹んで台風19号(ハギビス) により被災された皆様にお見舞い申し上げます。

この度の台風19号(ハギビス) により被災された皆様ならびにそのご家族の皆様に、心よりお見舞い申し上げます。

皆様の安全と被災地の一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。

2019年10月8日火曜日

血液型について-2.ABO式血液型と体質関係-

血液型と病気の関連性については1980年代には、異常なほど論議されましたが2000年に世界で特に権威のある学術雑誌のひとつと評価されているイギリスの科学雑誌『Nature』に、"胃腸管に関するいくつかの形質に弱い相関が確認できるが、血液型と疾患の相関については再現性よく示されたものは無い"と総説が掲載され終止符が打たれました。

この論文の発表後今日まで数多くの発表がなされてきましたが、ストレス抵抗性や病気のリスクなどの健康面へ影響があるという科学的に証明された報告は一部しか存在していまん。

2000年にNatureに掲載された総説では、"胃腸管に関するいくつかの形質に弱い相関が確認できるが、血液型と疾患の相関については再現性よく示されたものはない"という、ABO式血液型と体質関係を否定する内容であった。

ABO式血液型以外の血液型では、特定の血液型のみある種の病気に感染しないというものがいくつか報告されていますので次回から紹介いたします。

また一生涯変化しない血液型がある種の疾患によって、変化することも知られていますので、これも順次紹介いたします。

2019年10月1日火曜日

血液型について-1.ABO式血液型と性格に関係-

結論から言いますと、科学的にはABO式血液型と性格に関係はありません!!

血液型と性格の関連性について論じる国は、日本とその影響を受けた韓国、台湾といった一部地域だけであり、それ以外の地域では血液型と性格を関係づける習慣はありません。

我が国においての血液型と性格との関連性があるとの主張は、大正期から昭和初期に古川竹二教授が発表した「血液型による気質の研究」(1927年)、「血液型と気質」(1932年)、昭和46(1971)年に発売された能見正比古氏の著書「血液型でわかる相性」などがあります。

ただしこれらのいずれの著書でも統計上の分析や結果に不備があったり、追検査で十分な証明ができなかったりしたことで、学説として認められていません。

古川学説は、最終的には1933年日本法医学会総会において正式に否定されています。

特に1971年以降、大きな影響力を持った能見正比古(1925~1981)と能見俊賢(1948~2006)の親子が提唱したのは血液型人間学であり、新たな学問であるかのように提唱していますが、能見正比古の死後、1980年代には日本の心理学側からこれを否定した研究結果が登場するようになっています。

血液型によって人の性格を判断することは、相手を不快や不安な状態にさせる言動となり、これは"ブラッドタイプ・ハラスメント"と呼ばれ、近年になり社会問題として取り上げられるようになってきています。

企業の採用試験の応募用紙に血液型の記入欄があったため、改善するよう労働局から指導された企業も現実に存在しています。

厚生労働省は「血液型は職務能力や適性とは全く関係ない」といっていますが、未だに血液型による職務能力や適性がまことしやかに論じられていることは事実です。

血液型による性格分類は、科学的に正しいとは認められていませんが、1970年代から2000年代前半にかけて、多くのテレビや書籍が根拠なく分類を広めたため、いまだに血液型と性格の関連性を信じている人も少なからず存在していることも事実です。