血液の鉄人の理解しやすく役立つ臨床検査の部屋 Headline Animator

2016年5月31日火曜日

いきなりエイズとは

HIVに感染しても、すぐにAIDSを発症しません。

一昔前までは、HIVに感染後8~10年でAIDSを発症していましたが、最近では発症時期が早くなり早い場合は3~5年で発症しています。

これはHIVの変異によるものと考えられています。

HIVが体内に侵入すると免疫細胞を破壊することにより、徐々に感染者の免疫力を低下させていきます。

免疫力がある程度以上に下がると健康なときには感染しないような感染症(日和見感染症)をはじめとした、HIVに特徴的な疾患(AIDS指標疾患)に感染しやすくなります。

HIV感染者の免疫力は、CD4陽性リンパ球の数値で判断しますが、この数値が一定以下に下がったり、数値に関係なくAIDS指標疾患に感染した状態が、AIDSと呼ばれます。

日本におけるHIV感染症の特有な特徴として"いきなりエイズ"があります。

要するにHIVに感染するような危険な行為をしてもHIV検査を受けること無く放置し、体調が悪くなった時に医療機関を受診しその時に日和見感染症をきっかけにHIV感染が発見される、いわゆる"いきなりエイズ"の報告数が多いことです。

日本ではHIV・AIDS患者の新規報告数に占めるAIDS患者(=いきなりエイズ患者)の報告数の割合は、30%程度の高値で推移しています。

この高い数値は日本以外の先進国では見られません。

HIVに感染しても、早期に診断されれば、抗HIV薬でHIVの増殖を抑え、免疫力の低下を未然に防ぐことでAIDSの発症をおさえることが可能となっています。

そして普通の人と同様の社会生活を送れ、天寿をまっとうできる様になってきています。

更に自分がHIV感染者であると知っていれば、性交渉などにおいても適切な予防対策をとることができ、他人への感染を防げることにもなります。

HIV/AIDSに関する医療はこの10年で著しく発展し、一昔前までは「HIV感染イコール死」とされていましたが、HIVに感染したからといってすぐに生死に関わるといった病気ではなくなってきました。

HIV感染を早期に発見し早期治療がより重要なのです。

感染に気づくこと無く"いきなりエイズ"になって初めてHIV感染に気づき、治療を開始しても良い効果が得られません。

従ってHIVに感染するような行為をした場合には、必ず適切な時期にHIV検査を受けることが非常に重要となります。

リスクのある行為をした、心配な症状がある人は、ぜひ検査を受けに行くことをお勧めします。

当然HIVに感染しないように予防措置をとることは更に重要なこととなります。

2016年5月14日土曜日

HIV検査の原理について

HIV検査には、抗原抗体検査・抗体検査がありますが、これらの検査には種々の検査原理が利用されています。

今回はHIV検査に利用されている検査原理について解説いたします。

HIV検査には以下の検査原理が利用されています。

1.化学発光免疫測定法(CLIA:Chemiluminescent Immunoassay )

2.化学発光酵素免疫測定法(CLEIA:Chemiluminescence Enzyme Immunoassay)

3.蛍光酵素免疫測定法(FLEIA:Fluorescence Enzyme Immunoassay)

4.酵素免疫法(EIA:Enzyme Immunoassay,ELISA :Enzyme-Linked ImmunoSorbent Assay)

5.ラテックス凝集法(LA:Latex Agglutination)

6.イムノクロマト法(IC:Immunochromatography)

7.人工担体凝集法(PA:Particle Agglutination)

※1~7の検査原理は、第三世代抗体検査、第四世代抗原抗体検査に利用され、各メーカから種々の検査キットが販売されています。

※1~5は、全自動の検査機器によって自動的に検査されます。

※6~7は検査技師や医師が手で検査を行い肉眼で判定します。

※リアルタイムPCR検査は、1~7には含まれていません※

HIV検査を受ける際には、上記に記載されたどの検査原理で検査するのかを必ず確かめておく必要があります。


2016年5月1日日曜日

セカンドオピニオン-4.セカンドオピニオンを受けた後になすべきこと-

セカンドオピニオンを受け、別の医師の意見を聞くことによって、ご自身の病気や治療方針についての考えが変化したか否か、再度担当医に報告しこれからの治療法について再度相談する必要があります。

セカンドオピニオンに対する担当医の意見を聞くことで、治療への理解がより深まり、納得する治療を選択することが可能となる場合もあります。

セカンドオピニオンの結果、セカンドオピニオン先の病院で治療を受けることになった場合には、今後の治療を円滑にすすめるためにこれまでの治療内容や経過などを紹介状などで引き継ぐ必要があります。

治療はセカンドオピニオン先の病院で行い、紹介元医療機関(最初受診した医療機関)では治療後の経過観察を行う場合もあります。

治療を受けるうえで、「本当にこの治療法で良いのか?」「もしかして、治療方針が間違っていないかな?」、「他の選択肢があるのではないか?」などと不安に思った場合は、積極的にセカンドオピニオンを利用すべきです。

疑問や不安を持ったままでは円滑に治療を受けることは出来なくなります。

医師との信頼関係があってこそ自分の命をあずけることが出来るのです。

最後にセカンドオピニオンを受ける意味合いをまとめてみますと、

1.主治医が提示した治療方法のほかに、良い治療方法がないかどうかを判断できる。

2.主治医の治療方針に間違いがないかを判断できる。

3.セカンドオピニオンを検討するということは、主治医の治療方針に疑問を持つということなので、「主治医に失礼」、「医師が気分を害する」、「その病院にいけなくなる」と考えがちですが、最近ではセカンドオピニオンは一般的なものとして認知されていますので、遠慮無く利用すべきです。

4.逆に医師からしても、自分の担当する患者が治療に関する知識を高めれば、それだけ納得して治療に専念してもらえるので、セカンドオピニオンの活用には理解を示しています。

5.セカンドオピニオンは主治医に対して決して失礼ではありません。

6.自分の命を守ることになるかもしれないセカンドオピニオンは、絶対に利用すべきです。

7.セカンドオピニオンを嫌う医師には自分自身の命を預ける必要はありません!!