新型コロナウイルスに感染した母親が、母乳を通じてウイルスを赤ちゃんに感染させる恐れはないという研究結果が2022年1月19日、医学ジャーナルの『Pediatric Research』に掲載されましたま。
この論文から、 新型コロナウイルスに感染後やワクチンの接種後に子どもに母乳を与え続けてもよいとする専門機関の推奨が裏付けられたことになります。
カリフォルニア大学の研究者らが110人の女性のサンプルを分析した結果によると、最近ウイルスに感染した母親のうち、母乳に新型コロナウイルスの原因となる遺伝物質が含まれていた割合はわずかで、6%から9%だったという。
しかし、研究者らは母乳に感染性のウイルスやウイルスの複製を示す遺伝物質が含まれていたことを示す「証拠はない」と述べ、サンプルからウイルスを培養することはできず、遺伝物質は「一時的に存在する」だけだと述べています。
また、新型コロナウイルスに感染した母親から母乳を与えられた乳児が感染したことを示す「臨床的証拠」もなく、「母乳による育児は危険ではないと思われる」と論文の中で述べられています。
この論文からしてCDC(米国疾病対策センター)やWHO(世界保健機関)は、母親が母乳での育児を継続することを推奨しているが、これらの推奨が補強されたことになります。
母乳での育児には多くの利点があることは周知の事実ですが、ごくまれに母乳が病原体を媒介する場合も存在しています。
HIVやヒトT細胞白血病ウイルスは母乳からの感染も報告されていています。
WHOは、新型コロナウイルスに感染した女性が乳児に母乳を与える場合は、マスクを着用し、赤ちゃんに触れる前と後に十分に手を洗うなどの予防策を講じることを求めています。