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2020年4月5日日曜日

中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症について-13.新型コロナウイルスの感染経路について-

※ここで言う新型コロナウイルスとは、「重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2」(SARS-CoV-2)のことです※

呼吸器系の感染症の感染は、空気感染・飛沫感染・接触感染が考えられます。

これら感染について解説いたします。

1.空気感染

飛沫として空気中に飛散した病原体が、空気中で水分が蒸発して5マイクロメートル以下の軽い微粒子(飛沫核)となってもなお病原性を保つものは、単体で長時間浮遊し、3フィート(91センチメートル)以上の長距離を移動し続けます、呼吸によりこの粒子を吸い込むことにより感染することを言います。

埃や粉塵と一緒に、ウイルスを吸い込む場合でも感染します。

要約しますとウイルスが入っている飛沫が、気化して5ミクロン以下の大きさとなる飛沫核が空中を浮遊するということです。

麻疹(はしか)・水痘(水ぼうそう)・天然痘・結核が代表的な空気感染をする感染症です。

※※新型コロナ空気感染の可能性が示唆されていますが、2020年4月現在その確証は得られていません※※

2.飛沫感染

咳やくしゃみをすると、口から細かい水滴が飛び散りますがこの細かい水滴を飛沫と言います。

この飛沫に病気の原因となる細菌やウイルスが含まれていた場合、これを吸い込むことで感染するのが飛沫感染です。

風邪やインフルエンザを始め、上気道炎症状を伴うウイルス感染症(RSウイルス、ジフテリア、猩紅熱、発疹熱、発疹チフス、風疹など)の多くや細菌性肺炎が代表的感染症です。

新型コロナウイルス、SARSやMERSの原因となったコロナウイルスについても、この経路が主体だと考えられている。

3.接触感染

皮膚や粘膜の接触、または医療従事者の手や聴診器などの器具、手すりやドアノブなど、患者周囲の物体表面を介しての間接的な接触で病原体が付着しその結果感染が成立する事を言います

流行性角結膜炎など眼科疾患が代表的な感染症ですが、精液や膣分泌液をを介した性行為感染症もこの感染様式を取ります。

新型コロナウイルスも接触感染で感染します。


2020年3月30日月曜日

中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症について-12.オーバーシュートとは何?-

予測の範囲を超えた突発的な感染者数の急上昇のことを意味する言葉としてオーバーシュートという言葉が使用されます。

言い換えますと爆発的拡大をオーバーシュートと呼びます。

どこかで感染に気付かない人たちによるクラスター(患者集団)が断続的に発生し、その大規模化や連鎖が生じ、オーバーシュート(爆発的患者急増)が始まっていたとしても、事前にはその兆候を察知できず、気付いたときには制御できなくなってしまうというのが新型コロナウイルス感染症対策の難しさなのです。

日本国内での新型コロナウイルスの感染者は、2020年3月20日時点では何とか持ちこたえており、拡大防止の取り組み強化が必要性が強調される一方で、感染が確認されていない地域では学校活動や屋外スポーツなどの再開も奨励しています。

政府は、臨時休校などの自粛要請の一部を解除する方針です。

北海道においては、週末の外出自粛やイベント自粛、休校などの対策が進み、クラスター感染を把握して制御下に置くことができた結果、ある程度の新規感染者の増加を抑えられていると評価されているようですが、どのような対策や市民の行動の変化が最も効果を上げたかははっきり分かっていないのが現実です。

北海道以外においては、感染者1人からの2次感染者数の平均値(実効再生産数)が3月上旬以降は1を下回っていますが、感染経路不明の感染者が増えるとオーバーシュートが起きかねない状況です。

今後は、全国一律の対策を講じるのではなく、患者推計に基づく医療提供体制を整えた上で、感染状況別にバランスを取った対策を各地域に求めていく必要があります。

それは感染が拡大中の地域は一律自粛の必要性などの検討し実施していく。

一定程度に収まっている地域はリスクの低い活動から徐々に解除することを検討し実施していく。

感染が確認されない地域では学校活動などの再開していく。

症状が軽い患者や症状がない人は自宅療養とするなど重症者を優先する医療体制の準備必要となります。

感染者全てが医療機関を受診すれば現在の医療体制では対応できなくなり、医療体制が崩壊していきます。