血液の鉄人の理解しやすく役立つ臨床検査の部屋 Headline Animator

2020年1月28日火曜日

中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症について-3.新型コロナウイルス感染症についての速報(2)新型コロナウイルスの感染力とは-

便宜上感染症の人から人へのうつりやすさを「感染力」とします。

感染症の人への感染のやすさの指標として、"基本再生産数"がよく使われます。

【基本再生産数とは?】

基本再生産数(R0; R naught)とは、簡単に言うと「1人の感染症患者から何人に感染させるか」を表す数です。

正確には1人の感染者が生み出す2次感染者数の平均値のことを指し、感染症別の感染性の指標として利用されています。

これまでの患者の発生状況などから、推測して新型コロナウイルスの基本再生産数は1.4~2.5と暫定的に見積もられています。

1人の感染者からだいたい2,3人に感染するということになります。

その他の感染症の"基本再生産数"

インフルエンザは、1.4~4(1人のインフルエンザ患者から1人、最大4人に感染させる)

SARSは2~5人(1人のSARS患者から2人、最大4ー5人に感染させる)

麻しん(はしか)は、12~18人(1人の麻しん患者から12人、最大18人に感染させる)

風疹は、6~7人1人の風疹患者から6人、最大7人に感染させる)

以上のことからして、現時点では新型コロナウイルス感染症はSARSよりは広がりにくい性質を持っている考えられています。

しかし、今後この新型コロナウイルスが変異して、今以上に感染力が強くなる可能性も否定できていません。

※世界保健機関(WHO)や各国の疾病予防管理センターなどから収集した情報をもとに、米国ジョンズ・ホプキンス大学は、新型コロナウイルスの感染状況を地図上で可視化できるWEBページを公開していますので紹介しておきます※





2020年1月22日水曜日

中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症について-2.新型コロナウイルス感染症についての速報(1)-

中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症患者増加に伴い急遽"中国の武漢で発生した新型コロナウイルス感染症について"の現状をお知らせしておきます。

【発見日時】

2020年1月7日、新型コロナウイルスと特定されています。

【命名】

初期段階では原因不明であるため、「原因不明の肺炎」と呼ばれていましたが、2020年1月7日、香港の保健機関は「重度の新型感染性病原体呼吸器疾患」と命名しています。

世界保健機関(WHO)は、このウイルスを正式に「2019年の新型コロナウイルス」(2019-nCoV)と命名。

中国側は「新型コロナウイルスの感染による肺炎」と呼んでいます。

【最初の報告】

新型肺炎の最初の発症報告は2019年12月12日で、病原体の候補として新型のコロナウィルスが検出されたのが2020年1月9日。

魚市場の関係者が感染したという事実以外、まだ潜伏期間や感染経路は十分に解明されておらず、そんな中、春節を迎えて大量の帰省客が武漢を訪れ、そのまま中国各地に戻っていくこと、さらにその後日本をはじめとする海外へ渡航することを考えると、場合によってはそれがパンデミックにつながる可能性が危惧されていました。

【中国政府の対応】

武漢市当局によると、新たに発症したのは25~89歳の男女136人、1月18日までに発症した計198人の患者のうち、3人が死亡、35人が重症で、25人が退院したと発表していますが、本当の患者数を発表しているとは考えにくいです。

以前から中国は自国(中国共産党)のためにならないことは、隠したり、偽ったりする傾向があることから今回の新型コロナウイルス感染患者数の発表も信頼できません。

現にイギリスインペリアル・カレッジ・ロンドンのチームは、2020年1月19日中国の湖北省武漢市で集団発生している新型コロナウイルスによる肺炎患者は公式発表よりはるかに多く、1700人を超えている可能性があるとの研究結果を発表しています。

2020年1月21日に習近平国家主席が対応を支持すると、国民は感染を期にし始め、行政当局も感染者が増加していると報告し始めています。

前回のSARSの時も中国政府の対応が遅く感染が広まった経緯があります。

【人から人への感染は】

この新型コロナウイルスは人から人へ感染することが明らかになっています。

そして人から人に感染するため、帰省や旅行で人の往来が増える春節(旧正月)の連休(24~30日)に、さらに発症者が増えるとの見通しも示しています。

【感染予防対策はどうすればよいのか】

この新型コロナウルスは、SARSウイルスやインフルエンザウイルスよりも感染力が弱く、重症化しにくいと言われていますが、手洗い・マスク着用・うがいなどをして予防するしかありません。

間違った情報などに振り回されることなく、日本国内で発表される報道をしっかりと読み正しく対応することです。

※信頼できる情報が入り次第逐次紹介します※