心室細動とは心室筋肉が組織だった興奮ができずに、有効な収縮ができなくなり、血液を送り出すことが出来なくなる状態を言います。
要するに心臓の部位のうち血液を全身に送り出す「心室」が細かく震える不整脈なのです。
心臓の筋肉が痙攣するように震え、収縮と拡張を正常に繰り返せなくなるため、やがて心臓の動きが止まってしまいます。
心室細動が起きると脳や心臓に血液が供給されなくなり、発症から6秒で意識を失い、3分で脳が重いダメージを受け、適切な処置が行わなければ死に至ります。
【心室細動の起こる原因】
心筋梗塞、心筋症など心臓の働きが悪くなっている人や、重症の心不全、大動脈弁狭窄症といった心臓の病気がある人に起きます。
血縁者に不整脈で突然死した人がいる場合は注意が必要です。
【心室細動の症状】
脈拍喪失、意識消失、全身痙攣、無呼吸ないしあえぎ呼吸が起こります。
整脈が長く続くと、動悸、息切れ、そして「吐き気」といった症状が現れます。
【心室細動の検査】
心電図、ホルター心電図、心エコー検査などがありますが、症状が出ないと検査に異常が見られません。
従って心室細動が起きていたということは、後から明らかになることが多いことから、日頃から心臓の異常があれば速やかに専門医を受診することです。
【心室細動の治療】
心室細動を正常な脈に戻すには、自動体外式除細動器(AED)を使い電気ショックを与え、心臓のけいれんを解除する「電気的除細動」を一刻も早く行う必要があります。
一度心室細動に至ったものが自然に正常の心拍に戻ることは極めて稀で、救命のためにはほとんどの場合電気ショックが必要となります。
およそ5分で死に至る心室細動は救急車の到着を待っていると死に至ります。
従って救命のためには周囲の人たちが直ちに「BLS(
Basic Life Support)」といわれる一次救命措置を行う必要があります。
※一時救急処置とは、急に倒れたり、呼吸停止を起こした人に対してその場に居合わせた人が救急隊や医師の到着までに行う応急手当を言います※
大勢の助けを呼び、皆で手分けをしてAEDを探し、人工呼吸や心臓マッサージを始めます。
救急車の到着までに的確な一次救命措置を行えるかが救命率を上げることに繋がります。
要するに心臓の動きが再開し、脳への十分な血流が再開されるまでの時間が短いほど、確実に救命率が上がります。
【心室細動の心房細動違い】
心房が血液を送り出す働きを失っても、心臓の血液拍出は保たれますが、心室がこの働きを失うと心臓停止の状態となります。
心室細動は心臓停止と同じことであり即死に結びつきます。
ところで、心房細動は不整脈の中でもよくみられるものであり、女性の場合ですと、閉経期以後になってみられる頻度が高くなります。
【心室細動が起こりやすい時間帯】
特に「朝の9時前後」は心室細動が起こりやすい時間帯といわれています。
その理由は朝は交感神経が働き、血圧が上昇して拍動が早くなるので、心臓に負担がかかりやすくなるためです。
中高年や心臓に病気のある人は、朝の運動はできるだけ控えたほうが無難です。