血液の鉄人の理解しやすく役立つ臨床検査の部屋 Headline Animator

2017年10月7日土曜日

血液凝固機能検査ー3.D-ダイマー ー

D-ダイマー (D-dimer) はフィブリンがプラスミンによって分解される際の生成物で、 血液検査において血栓症の判定に用いられます。

【検査の目的】

主に深部静脈血栓症(deep veinthrombosis:DVT)と肺血栓塞栓症
(pulmonarythromboembolism:PE)というふたつの関連しあう血栓症が疑われる患者の評価において臨床的有用性があります。

※深部静脈血栓症と肺血栓塞栓症はほとんどセットの病気ですので、深部静脈血栓症を発症したら、ほとんどの場合、肺血栓塞栓症を合併症で引き起こしますからこのふたつは併せて"静脈血栓塞栓症(Venous thrombosis:VTE)"と呼ばれています※

【検査法】

3.2%のクエン酸ナトリウム液0.2mL入り容器に血液1.8mLを正確に入れ、全量2.0mLにしてよく混和後、1,500×g、15分間、冷却(2~4℃)遠心分離し得られたクエン酸血漿を使用します。

ラテックスの粒子にFDPが反応する物質を結合させてた検査試薬を採取したクエン酸血漿を加え、FDPが集まってきてかたまりをつくる反応で測定します。

ラテックス凝集反応を利用した検査です。

【基準値】

150ng/ml以下

※測定キットは10数種類が市販されており、基準値はそれぞれの検査キットで異なる※

【検査結果の判定】

高値・・・DIC(播種性血管内凝固症候群)、深部静脈血栓症(DVT)、肺血栓塞栓(PE)、悪性腫瘍、肝硬変症、大動脈瘤、手術後、妊娠中、血液凝固亢進状態など

低値・・・臨床的意義は少ない

【おまけ】

Dダイマーは多くの場合、血液中のFDPと同時に測定します。

2017年9月18日月曜日

キアゲン HPV Test

キアゲン HPV Test は、日本で初めて厚生労働省に承認された体外診断用医薬品です。

【検査の目的】

この検査は、子宮頸部の高度病変やがんを引き起こす可能性の高く臨床的にもっとも重要な13種類の高リスク型HPVグループに感染しているかどうかを判定します。

この検査はハイブリッドキャプチャー (HC2) 法と呼ばれる方法により“HPV DNA「キアゲン」HC II” により、子宮頸がんを引き起こす13種類の高リスク型HPV(16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、68型) の感染の有無を検査します。

高リスク型HPV をダイレクトに発見できるすぐれた検査法として、アメリカやヨーロッパで広く認められています。

30歳以上の女性が細胞診とHPV 検査を併用すると、子宮頸がんに進行するリスクについて、細胞診だけを受診した場合よりも、より正確に調べることができます。

【検査原理】

子宮頸部から採取した細胞を検体として、HPV-DNAを、ハイブリッドキャプチャー法により検出する検査。

【検査方法】

検体中のDNAを検体抽出液により抽出し、HPV プローブ試薬を用いてハイブリダイゼーションを行い、検体中にHPV-DNAが存在するとDNA/RNA ハイブリッドが形成されます。

これをマイクロプレートに固相化した抗DNA/RNA抗体により捕捉し、更にアルカリフォスファターゼ標識抗 DNA/RNA 抗体を反応させ、得られた抗原抗体反応複合物と化学発光基質を反応させ、その化学発光を測定することにより検体中のヒト・パピローマウイルスのDNAを検出します。

【利用方法】

子宮頸がん検診でHPV 検査を従来から実施されている細胞診と併用することにより、前がん病変の段階でほぼ確実に発見することが出来るとされています。

欧米では子宮頸がん検診の標準の検査法として普及しており、日本でもHPV検査の普及により子宮頸がん検診による子宮頸がんの予防が期待されています。

【注意点】

この検査が陽性となってもどのタイプのHPVに感染しているとは判断できません。

13種類の高リスク型HPV(16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、68型) のいずれかに感染していることしか分かりません。