【HHV-2とは】
主に性器ヘルペス、新生児ヘルペス、ヘルペス髄膜炎、ヘルペス脊髄炎の原因となりうるウイルスで仙髄の脊髄神経節に潜伏感染する。
【感染者の実態】
5~10%の人が感染していると言われており再発を繰り返すのが特徴です。
推定年間72,000人が感染していると言われています。
そのうち、男女とも20代以降の性的活動が活発になる年代に感染者が多く、どの年代でも男性より女性の患者数が多く、女性がかかりやすい病気です。
HHV-2に感染している人のうち、60%は何らかの症状があるのに本人は気づいていないと言われています。
自覚症状がない場合も多く、患者本人が病気に気がつかないまま、性行為を通して感染が広がっているのが現状です。
【HHV-2の感染力】
HHV-2は感染力が極めて強く、しかも一度感染すると、症状は治まってもウイルスその物は仙髄の脊髄神経節に潜伏感染し、一生そこに棲みつき生体から消えることはありません。
そのため、しばしば再発を繰り返します。
【感染場所と症状】
接触や飛沫による感染が一般的です。
男性の場合は亀頭や陰茎体部が多く、太ももやおしり、肛門周囲、直腸粘膜に症状が出ることもあります。
最初は患部の表面にヒリヒリ感やむずかゆさなどを感じ、2~10日ぐらいでかゆみを伴った赤いブツブツや水ぶくれが出来、やがてそれが破れて潰瘍ができると強い痛みがあり、発熱を伴う場合もあります。
更に太もものリンパ節の腫れや痛みもみられる場合もあります。
女性の場合は、外陰、腟の入口とおしりが多く、子宮頸管や膀胱まで感染が広がることもあります。
患部に水ぶくれや潰瘍ができ、強い痛みで排尿が困難になったり、発熱を伴ったりすることもあり、同時に太もものリンパ節の腫れや痛みがみられることもあります。
男女ともに、再発の場合は小さな水ぶくれや潰瘍ができるだけの軽い症状ですむのが一般的です。
再発の前には神経痛のような症状が出たり、局所がムズムズする違和感を感じたりすることがあります。
【体内に侵入したHHV-2は排除できるのか】
現在の医学では、体内に侵入したHHV-2を完全に排除することは不可能です。
抗ウイルス薬を用いてHHV-2の増殖を抑えることは可能です。
早く治療すればするほど、症状は軽くてすみます。
【治療法とHHV-2の抗ウイルス薬】
抗ウイルス薬の外用薬や内服薬を用います。
バルトレックス、ゾビラックス、アラセナAなどがあります。
5~10日間、処方された薬を内服または軟膏塗布します。
何れも医師の処方を必要とします。
性器ヘルペスの薬と成分が似ている口唇ヘルペスの市販薬や、個人輸入代行業者を介した薬をインターネット等で入手した薬を使用すると危険な場合があります。
医師の診断のもとに処方された薬を使用しないと、かえってウイルスが広がったり、症状が悪化したりする恐れがあるので素人療法は厳禁です。
【再発に注意】
薬の使用により患部の症状が治まれば治療は終了ですが、性器ヘルペスにかかった場合、1年以内に80%以上の人が再発すると言われているので、その後も体調管理などの注意が必要です。
再発を頻繁に繰り返す場合は、「性器ヘルペス再発抑制療法」という治療法もあります。
【HHV-2の感染予防対策】
人に感染する力が極めて強く、人と人との直接的な接触のほか、タオルなどを介して感染してしまうことがあります。
皮膚に傷や湿疹ができて抵抗力が弱まっていると、HHV-2が侵入しやすくなるので注意が必要です。
一度HHV-2に感染した人は体内にHHV-2を持っているので、身体の抵抗力が低下すると、体内に潜むHHV-2が暴れ出し、再発しやすくなります。
再発のきっかけとして考えられるのは、かぜ・性交渉・過労・ストレス・紫外線などです。
身の回りのものは共用しないことです。
特にタオルの共用は避ける必要がありますし、コップやグラスなどの食器も、HHV-2の症状が出ている間は、症状の出ている人と同じものは使わないようにする配慮が必要となります。
【検査】
血液検査によりヘルペスウイルスに対する抗体を検査しています。
感染の初期ではIgMを測定することによりヘルペスであることを診断し、感染から時間が経過しているものや再発型が疑われている場合は、補体結合検査によるヘルペス抗体価を測定し診断します。
また、イムノクロマト法による抗体検査もありますが、やはりHHV-1とHHV-2の感染の区別はできません
その他の抗体検査法としては、中和反応、酵素免疫測定法がありますが、やはりHHV-1とHHV-2の感染の区別はできません
結果は5日程で分かります。
※gG ELISAは、ウイルスの外郭に存在するglycoplotein G に対する抗体を測定する方法で、抗体検査のうち、唯一HHV-1とHHV-2の感染の区別が可能ですが、研究室レベルでなければ検査は出来ず医療機関で一般に受けることは出来ません※
【HHV-1と性行為について】
HHV-2を発症しているときは、性的接触は避ける必要があります。
性器ヘルペスによる感染だけではなく、口唇ヘルペスの人とのオーラルセックスによって感染し、性器ヘルペスを発症することもあります。
たとえ自覚症状がなくても、唾液や精液などにHHV-2が排泄されていることがあり、キスやセックスでパートナーに感染させてしまうことがあります。
※一昔前には上半身に感染するHHVは、HHV-1、下半身に感染するものはHHV-2即ち性器ヘルペスと言われていましたが、現在その区別は出来ません※
【注意】
HIVや一部の性行為感染症はコンドームで予防可能ですが、現実ヘルペスに限って言えばそれほど高い効果は得られません。
なぜなら、コンドームは男性の性器を包むだけで、性器の周囲は無防備ですしコンドームに包まれている部分以外の箇所に病変があれば、感染してしまいます。
【HHV-2とHIVの関係】
性器ヘルペスに感染すると感染した性器に炎症など起こし、そこからHIVが侵入しやすくなります。
粘膜局所に炎症があると、正常な場合の2倍から5倍感染しやすくなり、まして潰瘍があると50倍から数百倍感染しやすくなります。
次回はHHV-3(水痘・帯状疱疹ウイルス)について解説いたします。
主に性器ヘルペス、新生児ヘルペス、ヘルペス髄膜炎、ヘルペス脊髄炎の原因となりうるウイルスで仙髄の脊髄神経節に潜伏感染する。
【感染者の実態】
5~10%の人が感染していると言われており再発を繰り返すのが特徴です。
推定年間72,000人が感染していると言われています。
そのうち、男女とも20代以降の性的活動が活発になる年代に感染者が多く、どの年代でも男性より女性の患者数が多く、女性がかかりやすい病気です。
HHV-2に感染している人のうち、60%は何らかの症状があるのに本人は気づいていないと言われています。
自覚症状がない場合も多く、患者本人が病気に気がつかないまま、性行為を通して感染が広がっているのが現状です。
【HHV-2の感染力】
HHV-2は感染力が極めて強く、しかも一度感染すると、症状は治まってもウイルスその物は仙髄の脊髄神経節に潜伏感染し、一生そこに棲みつき生体から消えることはありません。
そのため、しばしば再発を繰り返します。
【感染場所と症状】
接触や飛沫による感染が一般的です。
男性の場合は亀頭や陰茎体部が多く、太ももやおしり、肛門周囲、直腸粘膜に症状が出ることもあります。
最初は患部の表面にヒリヒリ感やむずかゆさなどを感じ、2~10日ぐらいでかゆみを伴った赤いブツブツや水ぶくれが出来、やがてそれが破れて潰瘍ができると強い痛みがあり、発熱を伴う場合もあります。
更に太もものリンパ節の腫れや痛みもみられる場合もあります。
女性の場合は、外陰、腟の入口とおしりが多く、子宮頸管や膀胱まで感染が広がることもあります。
患部に水ぶくれや潰瘍ができ、強い痛みで排尿が困難になったり、発熱を伴ったりすることもあり、同時に太もものリンパ節の腫れや痛みがみられることもあります。
男女ともに、再発の場合は小さな水ぶくれや潰瘍ができるだけの軽い症状ですむのが一般的です。
再発の前には神経痛のような症状が出たり、局所がムズムズする違和感を感じたりすることがあります。
【体内に侵入したHHV-2は排除できるのか】
現在の医学では、体内に侵入したHHV-2を完全に排除することは不可能です。
抗ウイルス薬を用いてHHV-2の増殖を抑えることは可能です。
早く治療すればするほど、症状は軽くてすみます。
【治療法とHHV-2の抗ウイルス薬】
抗ウイルス薬の外用薬や内服薬を用います。
バルトレックス、ゾビラックス、アラセナAなどがあります。
5~10日間、処方された薬を内服または軟膏塗布します。
何れも医師の処方を必要とします。
性器ヘルペスの薬と成分が似ている口唇ヘルペスの市販薬や、個人輸入代行業者を介した薬をインターネット等で入手した薬を使用すると危険な場合があります。
医師の診断のもとに処方された薬を使用しないと、かえってウイルスが広がったり、症状が悪化したりする恐れがあるので素人療法は厳禁です。
【再発に注意】
薬の使用により患部の症状が治まれば治療は終了ですが、性器ヘルペスにかかった場合、1年以内に80%以上の人が再発すると言われているので、その後も体調管理などの注意が必要です。
再発を頻繁に繰り返す場合は、「性器ヘルペス再発抑制療法」という治療法もあります。
【HHV-2の感染予防対策】
人に感染する力が極めて強く、人と人との直接的な接触のほか、タオルなどを介して感染してしまうことがあります。
皮膚に傷や湿疹ができて抵抗力が弱まっていると、HHV-2が侵入しやすくなるので注意が必要です。
一度HHV-2に感染した人は体内にHHV-2を持っているので、身体の抵抗力が低下すると、体内に潜むHHV-2が暴れ出し、再発しやすくなります。
再発のきっかけとして考えられるのは、かぜ・性交渉・過労・ストレス・紫外線などです。
身の回りのものは共用しないことです。
特にタオルの共用は避ける必要がありますし、コップやグラスなどの食器も、HHV-2の症状が出ている間は、症状の出ている人と同じものは使わないようにする配慮が必要となります。
【検査】
血液検査によりヘルペスウイルスに対する抗体を検査しています。
感染の初期ではIgMを測定することによりヘルペスであることを診断し、感染から時間が経過しているものや再発型が疑われている場合は、補体結合検査によるヘルペス抗体価を測定し診断します。
また、イムノクロマト法による抗体検査もありますが、やはりHHV-1とHHV-2の感染の区別はできません
その他の抗体検査法としては、中和反応、酵素免疫測定法がありますが、やはりHHV-1とHHV-2の感染の区別はできません
結果は5日程で分かります。
※gG ELISAは、ウイルスの外郭に存在するglycoplotein G に対する抗体を測定する方法で、抗体検査のうち、唯一HHV-1とHHV-2の感染の区別が可能ですが、研究室レベルでなければ検査は出来ず医療機関で一般に受けることは出来ません※
【HHV-1と性行為について】
HHV-2を発症しているときは、性的接触は避ける必要があります。
性器ヘルペスによる感染だけではなく、口唇ヘルペスの人とのオーラルセックスによって感染し、性器ヘルペスを発症することもあります。
たとえ自覚症状がなくても、唾液や精液などにHHV-2が排泄されていることがあり、キスやセックスでパートナーに感染させてしまうことがあります。
※一昔前には上半身に感染するHHVは、HHV-1、下半身に感染するものはHHV-2即ち性器ヘルペスと言われていましたが、現在その区別は出来ません※
【注意】
HIVや一部の性行為感染症はコンドームで予防可能ですが、現実ヘルペスに限って言えばそれほど高い効果は得られません。
なぜなら、コンドームは男性の性器を包むだけで、性器の周囲は無防備ですしコンドームに包まれている部分以外の箇所に病変があれば、感染してしまいます。
【HHV-2とHIVの関係】
性器ヘルペスに感染すると感染した性器に炎症など起こし、そこからHIVが侵入しやすくなります。
粘膜局所に炎症があると、正常な場合の2倍から5倍感染しやすくなり、まして潰瘍があると50倍から数百倍感染しやすくなります。
次回はHHV-3(水痘・帯状疱疹ウイルス)について解説いたします。