血液の鉄人の理解しやすく役立つ臨床検査の部屋 Headline Animator

2016年10月6日木曜日

電解質検査-6.マグネシウム(Mg)-

電解質のひとつであるマグネシウム(Mg)について解説いたします。

マグネシウム(Mg)は、体内では4番目に多い電解質です。

血液中には僅かしか存在しておらず、ほとんどは骨の中にあります。

【マグネシウム(Mg)の働き】

役割としては骨や歯を作るのにはなくてはならないもので、更に神経、筋肉を正常に働かせるためにも必要です。

酵素の働きにもマグネシウムが必要とされます、マグネシムがないと酵素はうまく働いてくれません。

マグネシウムは人間の体で3000以上の酵素の補酵素としてはたらいていることから、マグネシウムが不足すると人間のほとんどすべての臓器が正常に働かなくなります。

また、心臓や血管が正常に働くのも、マグネシウムがあってこそです。

善玉コレステロールを増やし、悪玉コレステロールを減少させる働きをし、腸では水分を集めることで便通をよくすることも認められています。

更にマグネシウムはカルシウムと同様に、神経、筋肉の興奮に大切なミネラルです。

【検査方法】

イオン選択電極法で調べます。

【基準値】

マグネシウム(Mg)…1.4~2.1mEq/l

※検査方法や施設によって若干異なります※

【異常値】

高マグネシウム血症・・・血漿マグネシウム濃度が2.1mEq/L(1.05mmol/L)を上回る

主な原因としては、

・腎不全

症状としては、低血圧,呼吸抑制,心停止を引き起こすことがある。

※グルコン酸カルシウムを静脈内投与する※

※腎臓が正常に機能していない場合や、高マグネシウム血症が重症である場合は、透析が必要となる※

低マグネシウム血症・・・血漿マグネシウム濃度が1.4mEq/L(0.70mmol/L)未満

原因としては,

・大量のアルコール摂取により、食物の摂取量が減少しその結果マグネシウム摂取量も減少するとともに、マグネシウムの排出量が増加する。

・長期間の下痢によりマグネシウムの排出量が増加し、不足に陥る。

・アルドステロン、抗利尿ホルモン、甲状腺ホルモンの濃度の上昇により排出量が増加し、マグネシウムが減少する。

・マグネシウムの摂取不足および吸収不足

・高カルシウム血症またはフロセミドなどの薬物による排泄増加

※欠乏症が現れたとき、もしくは症状が持続するときは、マグネシウムを経口で投与する※

※アルコール依存症の患者にはもれなくマグネシウムを投与する※

※マグネシウム濃度が非常に低く、重度の症状が起きている場合や、口からマグネシウムを摂取できない場合は、筋肉または静脈に注射で投与する※。

【おまけ】

マグネシウムの不足は、筋細胞や神経細胞の情報伝達に影響を与え、筋肉の痙攣を引き起こすと考えられています。

従って日常生活や運動時にマグネシウムが不足すると、筋肉の痙攣や筋疲労の原因となりますから不足しないようにマグネシウムの不足には気をつける必要があります。

毎日80~210mgのマグネシウムを摂取する必要があります。

マグネシウムを豊富に含む食物やサプリメントで補う必要があります。


2016年9月26日月曜日

電解質検査-5.クロール(Cl)-

電解質のひとつであるクロール(Cl)について解説いたします。

【クロール(Cl)の働き】

クロールは、細胞外液の総陰イオンの約70%を占める電解質成分の内のひとつで、ナトリウムと同様に主に食塩として摂取されて体内に取り込まれ、大部分は尿中に排泄され、一部は糞便や汗などと一緒に排泄されます。

クロールの主な働きは、他の電解質と相互関係にあり、水分の平衡と浸透圧の調節などに関与し、血液中におけるクロールとナトリウムの比率は100:140で、普通はこの比率のもとで濃度が変わって行きます。

健常者の場合、狭い範囲でしか変動しません。

クロールを調べる際は、単独で行われる事は少なくナトリウムとの比率を確認します。

【検査方法】

イオン選択電極法で調べます。

【基準値】

クロール(Cl)…95~108mEq/l

※検査方法や施設によって若干異なります※

※クロールの値は一日の内での変化や運動などの影響は殆どありませんが、食後は胃酸として分泌されるので若干の低下があります※

【異常値】

クロールが高値…脱水症、腎不全、過換気症候群、低アルドステロン症、下痢、過換気症候群、呼吸性アルカローシス



クロールが低値…アジソン病、慢性腎炎、肺気腫、慢性腎炎、嘔吐、呼吸筋障害、呼吸性アシドーシス、水分過剰投与