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2016年6月6日月曜日

AIDS指標疾患

今回はAIDS指標疾患について解説いたします。

AIDS指標疾患とは、HIV感染者がこの疾患を発症した段階でAIDS患者と診断される、23種類の疾患を指します。

当然HIV検査及びその確認検査で陽性であることが前提となります。


A. 真菌症    

 1.カンジダ症(食道、気管、気管支、肺)
 2. クリプトッコカス症(肺以外)
 3. コクシジオイデス症
 4. ヒストプラズマ症
 5. ニューモシスチス肺炎

B. 原虫感染症

 6. トキソプラズマ脳症(生後1カ月以後)
 7. クリプトスポリジウム症(1カ月以上続く下痢を伴ったもの)
 8. イソスポラ症( 1カ月以上続く下痢を伴ったもの)

C. 細菌感染症  

 9. 化膿性細菌感染症
10.サルモネラ菌血症(再発を繰り返すもので、チフス菌によるものを除く)
11. 活動性結核(肺結核又は肺外結核)
12. 非結核性抗酸菌症

D. ウィルス感染症

13. サイトメガロウィルス感染症(生後1カ月以後で、肝、脾、リンパ節以外)
14. 単純ヘルペスウィルス感染症
15. 進行性多巣性白質脳症

E. 腫瘍

16. カポジ肉腫
17. 原発性脳リンパ腫
18. 非ホジキンリンパ腫(a. 大細胞型・免疫芽球型、b. Burkitt型)
19. 浸潤性子宮頸癌

F. その他

20. 反復性肺炎
21. リンパ性間質性肺炎/肺リンパ過形成:LIP/PLH complex(13歳未満)
22. HIV脳症(痴呆又は亜急性脳炎)
23. HIV消耗性症候群(全身衰弱又はスリム病)

日本国内において1985年から2014年までの統計によるAIDS指標疾患の上位3位は、以下のとおりです。

1位 ニューモシスチス肺炎

2位 カンジダ症

※カンジダ症は食道、気管、気管支、肺に発症するカンジダ症で、性器カンジダ症や口腔カンジダ症は含みません※

3位 サイトメガロウイルス感染症

1~3位の疾患で全体のおよそ68%を占めています。

2016年5月31日火曜日

いきなりエイズとは

HIVに感染しても、すぐにAIDSを発症しません。

一昔前までは、HIVに感染後8~10年でAIDSを発症していましたが、最近では発症時期が早くなり早い場合は3~5年で発症しています。

これはHIVの変異によるものと考えられています。

HIVが体内に侵入すると免疫細胞を破壊することにより、徐々に感染者の免疫力を低下させていきます。

免疫力がある程度以上に下がると健康なときには感染しないような感染症(日和見感染症)をはじめとした、HIVに特徴的な疾患(AIDS指標疾患)に感染しやすくなります。

HIV感染者の免疫力は、CD4陽性リンパ球の数値で判断しますが、この数値が一定以下に下がったり、数値に関係なくAIDS指標疾患に感染した状態が、AIDSと呼ばれます。

日本におけるHIV感染症の特有な特徴として"いきなりエイズ"があります。

要するにHIVに感染するような危険な行為をしてもHIV検査を受けること無く放置し、体調が悪くなった時に医療機関を受診しその時に日和見感染症をきっかけにHIV感染が発見される、いわゆる"いきなりエイズ"の報告数が多いことです。

日本ではHIV・AIDS患者の新規報告数に占めるAIDS患者(=いきなりエイズ患者)の報告数の割合は、30%程度の高値で推移しています。

この高い数値は日本以外の先進国では見られません。

HIVに感染しても、早期に診断されれば、抗HIV薬でHIVの増殖を抑え、免疫力の低下を未然に防ぐことでAIDSの発症をおさえることが可能となっています。

そして普通の人と同様の社会生活を送れ、天寿をまっとうできる様になってきています。

更に自分がHIV感染者であると知っていれば、性交渉などにおいても適切な予防対策をとることができ、他人への感染を防げることにもなります。

HIV/AIDSに関する医療はこの10年で著しく発展し、一昔前までは「HIV感染イコール死」とされていましたが、HIVに感染したからといってすぐに生死に関わるといった病気ではなくなってきました。

HIV感染を早期に発見し早期治療がより重要なのです。

感染に気づくこと無く"いきなりエイズ"になって初めてHIV感染に気づき、治療を開始しても良い効果が得られません。

従ってHIVに感染するような行為をした場合には、必ず適切な時期にHIV検査を受けることが非常に重要となります。

リスクのある行為をした、心配な症状がある人は、ぜひ検査を受けに行くことをお勧めします。

当然HIVに感染しないように予防措置をとることは更に重要なこととなります。