血液の鉄人の理解しやすく役立つ臨床検査の部屋 Headline Animator

2022年1月30日日曜日

新型コロナウイルス-54.ステルスオミクロン株-

 ステルスオミクロン株とは、現在流行しているオミクロン株の「BA.1」が変異し、「BA.2」となったウイルスを言います。


このオミクロン株の「BA.2」は、現在日本国内で実施しているPCR検査では検出可能ですが、「BA.2」か否かの判別は詳細な遺伝子検査をしないとステルスオミクロンであるということが判断できません。

海外の一部のPCR検査では、オミクロン株の「BA.2」をデルタ株と判定してしまうという報告もあります。


現在イギリスでは、オミクロン株の「BA.1」という型が現在流行の主流になっています。


ところがイギリス国内では「BA.2」という亜種が増加しつつあります。


2022年1月25日現時点の分析では、「BA・2」は、従来型より増殖が早いなどと分析されていますが、「BA.2」が従来型に比べて重症化しやすいかなどの詳細は分析中とされています。


PCR検査では、新型コロナウイルスが陽性か陰性かの判断は可能ですが、詳細な遺伝子検査をしないとステルスオミクロンであると判別出来ないと言うことです。


オミクロン株は、多くのPCR検査が標的とする3つの遺伝子のうち1つが検出されない「S遺伝子ドロップアウト」という特長を持つため、PCR検査の段階で他の新型コロナウイルスと容易に区別できましたが、新たに発見されたオミクロン株はS遺伝子ドロップアウトを持たないことから、PCR検査での変異株特定が困難になります。


ウイルスそのものを検出できることからPCR検査は引き続き有効ですが、従来のオミクロン株かステルスオミクロン株価の判断は、PCR検査では出来ないことになります。


このステルスオミクロン株の感染力は、従来のオミクロン株の約2倍あると言われています。


現実ステルスオミクロン株は、すでに40ケ国以上で既に確認されていて、そこには日本も含まれています。


従来のオミクロン株が減少傾向のデンマークでは、2021年から増え始めて、今は減少傾向にありますが、逆にステルスオミクロンは、2021年12月から増え始め、一気に主流になり置き換わっていいます。


日本の空港検疫1826例を分析したところ、従来のオミクロン株(BA.1)が1626例で全体の約89.1%、ステルスオミクロン(BA.2)が198例で全体の約10.8%となっています。


感染力が強いことからして、ステルスオミクロン株は今後日本でも増えていく可能性があります。


このまま行けばステルスオミクロン株による第7波がやってくる可能性は否定できません。


日頃から従来の感染予防対策を怠らないようにする必要があります。


※オミクロン株には、3つの亜種(BA.1、BA.2、BA.3)が存在していますが、現在流行しているのはBA.1ですが、デンマークではBA.2が台頭して来ており、英国、ノルウェー、スウェーデンでも小規模ではあるが増加傾向が見られています※

2022年1月23日日曜日

新型コロナウイルス-53.オミクロン株が増殖する場所-

 従来の変異株は、肺組織で増殖することから肺炎を起こしやすくまた重症化しやすい特徴があります。


一方オミクロン株は、上気道で増殖しやすく肺では増殖しにくいことから鼻水や喉の痛みがあって飛沫感染しやすいですが重症化しにくいという特徴があります。


※糖尿病・高血圧などの基礎疾患のある人や高齢者は重症化しやすいとの報告もあります※


※新型コロナワクチン未接種者は、感染しやすく重症化しやすいとのデータも増えつつあります※


感染してから発症するまでの期間は、平均3日と従来の変異株の5日に比べて短くなってきています。


これは潜伏期が短い方が感染者が増加するスピードが速くなっている所以です。


オミクロン株は新型コロナワクチンを2回接種している人が持つ免疫や、過去に感染した人が持つ免疫からも逃れて感染が成立しやすいという特性もあります。


このことから、オミクロン株の感染の広がりやすさの一部は、これら特性によるものと考えられています。


オミクロン株は特殊な経路で感染するようになったわけではなく、これまでと同じ感染経路で、これまで以上に感染しやすくなっただけですので、これまでの感染対策が無効になったわけではありません


従って従来の感染対策は有効です。


・接触感染対策としては、ウイルスで汚染した物、感染した人の手などに触れることで自分の手などにウイルスが付着し、その汚染した手で目や鼻など粘膜に触れない。


・飛沫感染対策としては、会話などで発生する飛沫を浴びないようにする。


・エアロゾル感染対策としては、特に換気の悪い屋内での長居はしない。


・オミクロン株は上気道で増殖することからして、念入りなうがいは感染予防に役立つとも考えられます。


※以上に気をつけて、こまめで念入りな手洗い・マスク着用・3密を避ける基本的な感染対策をしていく必要があります※

2022年1月16日日曜日

新型コロナウイルス-52.フルロナとは-

 新型コロナウイルス感染症(COVID19)とインフルエンザに同時に感染することを言います。


インフルエンザのインフル(flu)とコロナの(corona)の合成語でフルロナ(flurona)と呼ばれています。


フルロナの感染事例は世界各地で報告されており、専門家は感染力の強いオミクロン変異株の拡散に伴い、フルロナも増加する公算が大きいと考えているようです。


一部の専門家はフルロナについては、過度に心配する必要はないと指摘していて、新型コロナ陽性者がインフルエンザに感染すれば免疫システムの負担が増すため、インフルエンザに感染しないに越したことはないが、同時感染の確率はそれほど高くないとコメントとしています。


更にフルロナがオミクロン株に取って代わることはないと説明しています。


ウィスコンシン大学の研究者が2021年5月に公表したメタ分析によると、新型コロナ陽性者の19%が同時に他の病原体(ウイルスや細菌、真菌)にも同時感染していたということが明らかにされています。


更に新型コロナ感染者の24%が引き続いて別の病原体に重感染したということをも明らかにしています。


それではインフルエンザは再び大流行する可能性があるのでしょうか?


殆どの国や地域では、で2021年昨シーズンのインフルエンザ患者は少数にとどまっています。


しかし2022年今シーズンはこれまでのところ、コロナ禍前に近い水準で推移しているようです。


この原因としては、一時期の新型コロナウイルス感染者の減少に伴い、社会的距離や衛生への意識が希薄になり、感染予防対策を怠ったことに加えて、2021年にインフルエンザウイルスにさらされず免疫がつかなかったためだと分析しています。


2021年1月時点で、フルロナはイスラエル・スペイン・ブラジル・米国でも発生しています。


当然日本国内においても今後発生する危険性は十分ありますから、対策としては新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスへの感染予防対策を怠らないようにする必要があります。


2022年1月9日日曜日

新型コロナウイルス-51.オミクロン株の流行で新型コロナウイルスのパンデミックが収束??!!-

南アフリカでは、新型コロナウイルスのオミクロン株の感染拡大が「前例のない速さ」で進みましたが、その症状は従来株に比べはるかに軽症で済んでいることと流行そのものが収まりつつあります。


2022年1月7日(現地時間)、南アフリカの研究陣がパンデミック(伝染病の世界的大流行)様相が終わりそうだという内容の研究結果を発表したことが注目されています。


南アフリカではオミクロン株が前例のないペースで急速に広がり、以前の変異株よりはるかに軽い症状を見せたというのがその根拠と指摘しています。


更にこうしたパターンが続き、世界的に繰り返されれば、"我々は感染者と死亡者の完全なデカップリング(脱同調化)を見ることができるだろう"と発言しています。


世界保健機関も2022年1月4日、オミクロン株について一部の地域の感染者数は過去最多となってるが、死亡者数は以前の流行と比べて少なく、デカップリング現象が表れていると伝えています。


こうした傾向はオミクロン株がコロナパンデミックの深刻な局面が終わる前兆になるというのが専門家らの分析です。


急速な伝染局面が終わり、特定の地域でインフルエンザのようなエンデミック(周期的流行)局面に入ったと言えるとしています。


オミクロン株が大流行している欧米に多いても南アフリカのように流行が、今後流行が収まるのかが注目されるところです。


我が国においてはこれからオミクロン株の大流行が始まる前夜と考えられています。


大流行すればその後収まると考えるのはあまりにも短絡的でしょう。


南アフリカの状況は、新型コロナウイルスの流行を告げる予兆とも考えられ、少し希望が見えてきたとも思われますが、やはり今まで通り感染対策をして、オミクロン株に感染しないように気をつけることです。


2022年1月3日月曜日

新型コロナウイルス-50.オミクロン株に対する注意-

 1.デルタ株より感染力が強い


2.多くの変異があることから、

1)免疫逃避があることからワクチンによる予防効果が低くなる


※免疫逃避能とは、人の免疫から逃避して感染させる可能性が高い※


2)発症予防効果はワクチンの2回接種では低く、3回接種でかなり高くなる


3)ワクチン接種により重症化しにくい


これらを踏まえて我々はどのように対処すればよいのか


1.3密を避ける


2.マスクを正しくつける


3.十分な手洗いをする


4.室内換気を行う


5.ソーシャルディスタンスを取る


6.ワクチン接種


以上基本的な感染予防対策は、従来と変わることはありません。

2022年1月1日土曜日

新年のご挨拶

 謹んで新春のお慶びを申し上げます。


旧年中はお世話になりました本年も宜しくお願い申し上げます。


本年も皆様のお役に立つ情報を発信して行く所存です。


血液の鉄人

2021年12月26日日曜日

新型コロナウイルス-49.オミクロン株について現在分かっていること-

 2021年12月25日時点でオミクロン株について分かっていることをまとめてみました。


オミクロン株は現在世界100ケ国以上で流行していおり、今後益々感染者が増えると懸念されています。


日本国内に置いても感染者数は増加しつつあります。


以下にオミクロン株で分かっていることをまとめてみました。


1.デルタ株よりも感染性が高い(実効再生産数がデルタ株の4倍)


※実効再生産数は、ある時点において1人の感染者が全感染期間に感染させる人数の平均値※


2.入院頻度はデルタ株より低く、重症化することはデルタ株より高くないとされていますが、今後感染者が増えれば重症者が増加することが懸念されており、感染者の増加が医療体制を圧迫してくることが懸念されています。


3.オミクロン株は免疫逃避があることから感染しやすいことが分かっていますが、新型コロナワクチン2回接種で重症化を抑制することが可能となり、3回接種でブレイクスルー感染・重症化を抑制する効果があることが確認されています。


4.オミクロン株は新型コロナワクチン接種した人は軽症、場合によっては「ただの風邪」でとどまる可能性があると言われていますが、現時点での毒性は未知数です。


5.高齢者など体力が弱っている人や基礎疾患のある人が感染すると、これまでの新型コロナウイルスと同様、重症化する可能性があるので見くびってはいけません。


現在日本国内では新型コロナウイルス感染者は、以前に比べて激減していますが、完全に収束はしていません。


一部の地域では感染者が増加する傾向が見られています。


感染は終わったなどと軽々しく考えず感染予防を怠ると欧米のように国中がオミクロン株感染者で埋め尽くされる危険性は十分にあります。


従って従来通りマスク着用・こまめな手洗い・3密を避ける、といった基本的な感染対策を続けていく必要があります。