血液の鉄人の理解しやすく役立つ臨床検査の部屋 Headline Animator

2018年12月1日土曜日

免疫グロブリン検査-1.免疫グロブリンの種類-

免疫の中で大きな役割を担っているのが免疫グロブリン(Immunoglobulin、略称Ig)で、血液中や組織液中に存在しています。

免疫グロブリンとは、血液や体液中に存在し抗体としての機能と構造を持つ蛋白質の総称で、IgG、IgA、IgM、IgD、IgEの5クラスに分類され、それぞれの分子量、その働く場所・時期にも違いがあります。

これら5種類の免疫グロブリンの基本的な形はY字型をしています。。

1.IgG

5種類の免疫グロブリンのうち血中にもっとも多量に存在しており、生体内に侵入してきた病原体(細菌やウイルス)の抗原と結合して、白血球の働きを助けたり、ウイルスや細菌が出す毒素と結合して無毒化する働きを担っています。

2.IgA

喉の表面、腸の内側、気管支の内側の壁などの粘膜の表面に存在し、侵入してきた病原菌やウイルスなどの侵入を防ぐ働きを担っています。

3.IgM

細菌やウイルスに感染した初期段階で産生される抗体で、補体という蛋白質と共同して病原菌やウイルスなどの抗原を破壊したり、白血球がこれらを食べるの働きを担っています。

4.IgD

リンパ球の成熟、分裂になんらかの役割を果たしているものと考えられていますが、今のところまだ働きはよくわかっていません。

5.IgE

免疫グロブリンとしては最も量が少なく、アレルギー反応に主要な役割を果たしており、アレルギー性疾患、寄生虫感染症などで増加します。

次回から免疫グロブリン個別の解説をしていきます。

2018年11月22日木曜日

シェネリックとオーソライズド・ジェネリック-2.オーソライズド・ジェネリック-

オーソライズド・ジェネリックとは、は新薬メーカから許諾を受けたジェネリックで有効成分・原薬・添加物・製法・製造工場(注:同一でない場合もある)・効能効果全てが新薬と同じ薬です。

しかし、薬の色、味、形状、添加物、などにおいて新薬と異なる場合があります。

要するに新薬と同じ作り方をした薬をオーソライズド・ジェネリックと言います。

オーソライズド・ジェネリック(Authorized Generic)は略してAGと呼ばれています。

残念なことに全てのジェネリックにオーソライズド・ジェネリックはありません。

その理由としては、別の医薬品メーカーが特許を保有している場合もあり、同じものが利用できなかったり、飲みやすくするための工夫をしている場合や、安定性を良くするために変更していること等が挙げられます。

患者の体質によっては、添加剤の違いにより、アレルギー反応などの副作用を引き起こすことがまれにあります。

これは、ジェネリック医薬品に限らず、新薬であっても同様に起こりうることです。

2018年11月11日日曜日

シェネリックとオーソライズド・ジェネリック-1.シェネリック-

臨床検査から少し外れますが、多くの方から質問のありますシェネリックとオーソライズド・ジェネリックについて解説いたします。

一回目はシェネリックについて解説いたします。

シェネリックとは、新薬(先発医薬品)の特許が満了した後に、他のメーカによって製造販売される薬を言います。

新薬と同じ有効成分の医薬品ですが、開発にかかるコストが安価なために新薬より価格が安いのが特徴です。

新薬と、有効成分が同じで、効果、有効性や安全性について違いはなく、厚生労働省の審査を経て、新薬と同じ効き目・安全性、品質であることが証明されてから初めて、販売することが認められています。

気をつけなければいけないのは、薬によっては先発医薬品の効能・効果の一部がないものがあります。

その理由としては「先発医薬品に新しい効能・効果が追加され、再審査期間が設けられている」または「用途に対して特許がある」などが考えられます。

新薬で効き目があったのにジェネリックに変更後効き目が悪くなった場合、ジェネリック医薬品への不安感による心理的要因も考えられますが、ジェネリックそのものに問題がある可能性も完全に否定はできません。

実際薬の種類によってジェネリックは新薬より効き目が悪いものもあるのは事実です。

例を上げますと、

・ステロイドを含む塗り薬のジェネリックは効き目が悪いことがありますが、これは皮膚に塗った時、有効成分を均一に浸透させていくのに技術が必要なためと考えられます。

・湿布などの貼り薬では、有効成分の放出をコントロールするといった製剤技術に特許があるために、この技術に関する特許が失効していなければ、その製法は使えないことから効き目に違いが出てきますし、仮に特許が切れていたとしても、ジェネリックメーカーによっては製剤技術に差があることから効き目が悪い場合も当然あります。

アメリカやイギリスなどの先進国にもジェネリック薬はありますが、それらの国には、専門の審査機関があり、厳しい品質管理が行われています。

しかし我が国においては、ジェネリック薬専門の審査機関はなく、医薬品の品質管理の遵守は、製造するメーカーごとに義務づけられていますが、第三者によるチェックは行われていないため、品質管理が甘くなる場合があります。

更に新薬とは違い、開発費用のかからないジェネリック薬を製造するメーカーには、小規模の会社も多く存在することから、どうしても品質の悪いジェネリックは存在しています。

要するに大手製薬会社による一流のジェネリック薬がある一方、三流のジェネリック薬も存在することを頭に入れておく必要があります。

ジェネリック薬に切り替えたあとに効き目がなくなったり、これまでになかった副作用が続いたりする場合は、症状の悪化を考える前に、「ジェネリック薬のせいかな」と疑って医師に相談されることです。

ジェネリックの良いところは、コスト面ですが、飲みやすいように大きくて飲みづらい錠剤を小さくしたり、またコーティングすることによって、薬そのものにある苦味などを抑えるなど改良を加えた薬もあります。

ジェネリックを国が推奨するのは、医療費削減を第一目標にしているからです。

なぜならジェネリック医薬品を広めることにより、国の医療費削減にも繋がるからです。

2018年10月31日水曜日

甲状腺検査-2.遊離トリヨードサイロキシン(FT3)-

遊離トリヨードサイロニン(Free triiodothyronine:FT3)は、甲状腺ホルモンです。

TSH(甲状腺刺激ホルモン)は脳から分泌される甲状腺のホルモン分泌を促すホルモンでT3、T4の調節をしています。

T3(トリヨードサイロニン)、T4(総サイロキシン)とは血液中の甲状腺ホルモンのことで、糖の代謝や蛋白質の合成など、エネルギー代謝を行うために分泌されています。

血液中では蛋白質と結合しホルモンとしては作用していません。ホルモンとして作用しているのは結合してこないFT3(遊離トリヨードサイロニン)、FT4(遊離サイロキシン)です。

これらの甲状腺ホルモンの分泌を見ることによって甲状腺の働きと亢進症と低下症の異常がわかります。

T3もT4同様、血中では大部分が蛋白と結合し、FT3は総T3の約0.3%しか存在しません。

しかしT4よりもT3の方が優れた甲状腺機能の指標となります。

体内での必要に応じ、T3、T4が結合蛋白から離れて遊離T4(FT4)や遊離T3(FT3)になりますが、末梢組織においてはT4がT3に変換されることも知られています。

甲状腺疾患の診断にはTSHとFT4(またはFT3)の測定が重要です。

【検査方法】

電気化学免疫測定法(Electro Chemiluminescence Immunoassay:ECLIA)

【基準値】

2.1~4.1pg/ml

※検査に使用する機器や施設によって異なることがあります※

【異常値】

高値:甲状腺機能亢進症(バセドウ病、プランマー病)、無痛性甲状腺炎、亜急性甲状腺炎(急性期)、TSH産生下垂体腺腫、T3甲状腺中毒症など

低値:原発性甲状腺機能低下症(粘液水腫、クレチン病)、二次性(下垂体性)甲状腺機能低下症、慢性甲状腺炎(橋本病)、低T3症候群など

【検査値に影響を及ぼす要因】

1.薬物の服用(甲状腺ホルモン剤、ヨード剤など)の影響を受ける。

2.測定方法によっては、抗T3自己抗体や抗マウス抗体の影響を受ける。

3.低アルブミン血症の場合も影響を受ける。

【附則】

1.通常、FT4, FT3は一緒に変動するので、一方のみを測定すれば十分。

2.しかし両者が一致しない病態があるので、その場合は両者とも測定する必要がある。

例えば以下のことが考えられます。

①FT4が正常なのに、FT3が低い場合をlow T3症候群という。この場合は両方測
 定する。

②抗甲状腺剤治療中にFT4は正常になっても、FT3が高いことがあり、この場合、
 TSHは低く、甲状腺機能は亢進状態にある。

③橋本病で甲状腺機能低下が軽度のとき、FT4だけが低値で、FT3は正常値のこ
 とがある。

2018年10月22日月曜日

前立腺がん腫瘍マーカー ガンマ-セミノプロテイン (γ-seminoprotein:γ-Sm)

今回は前立腺腫瘍マーカーのガンマ-セミノプロテイン (γ-seminoprotein:γ-Sm)について解説いたします。

ガンマーセミノプロテイン(γ-Sm)は,前立腺腺上皮細胞と精漿にのみ存在する前立腺特異抗原で,分子量28000~29000の糖蛋白です。

アミノ酸配列の検討により、γ-Smは前立腺特異抗原(PSA)の遊離型(フリーPSA)と同一であると考えられています。

PSAは前立腺由来の分子量約34kDの糖蛋白で、蛋白分解酵素セリンプロテアーゼの一種で、血中PSAは前立腺癌の診断補助に用いられていることは周知のことです。

γ-Smは,PSAであることが明らかにされたことから,PSAと同等の意義があると考えられています。

しかし,前立腺癌を疑う場合や前立腺癌のスクリーニングや経過観察を行うときには,通常はPSAキットを用いるのは、臓器特異性が高,前立腺疾患の悪性および良性腫瘍マーカーとして有用であるからです。

【検査方法】

CLEIA法

【基準値】

4.00ng/mL以下

【高値疾患】

前立腺癌・急性前立腺炎・前立腺肥大症

【注意点】

・前立腺触診や尿道膀胱鏡検査後は前立腺刺激でも高値となるため、24時間以上の間隔をおいて採血する必要がある。

・急性前立腺炎,急性尿閉塞,前立腺手術後などでも高値となる事がある。

・生理的変動として、年齢により高値傾向を示すが,疾患の発症を意味するかどうか充分解明されていません。

2018年10月13日土曜日

甲状腺検査-1.甲状腺刺激ホルモン-(TSH)

甲状腺刺激ホルモン(TSH:Thyroid Stimulating Hormone)は、下垂体前葉の甲状腺刺激ホルモン分泌細胞から分泌されるホルモンで、甲状腺に働きかけ甲状腺ホルモンの分泌を促す働きがあります。

【甲状腺の機能と働き】

甲状腺は、のどの下部にあり、大きさが縦4cm、重さが15~20g程度の蝶が羽を広げたような形で気管の前方(喉仏のすぐ下)に付いています。

薄くやわらかい臓器ですから普段はのどを触ってもわかりませんが、腫れてくると手で触ることができ、見ただけでも腫れがわかる場合があります。

甲状腺は脳の下垂体前葉から分泌される甲状腺刺激ホルモンの刺激を受けて、食物に含まれるヨードを材料にし、トリヨードサイロニン(T3)と、サイロキシン(T4)という甲状腺ホルモンを合成し分泌します。

この2つのホルモンは、糖や蛋白のエネルギー代謝の調節に関与しているほか、心臓、消化管、骨、脳の発育を促進させるなどの重要な働きをしていますから、この甲状腺に異常があると、ホルモンが出過ぎたり、逆に不足したりしてさまざまな障害が出現します。

【検査をする目的】

血中TSHは視床下部-下垂体-甲状腺系の機能診断に有用で、主に甲状腺機能障害のスクリーニング、下垂体前葉機能検査などに用いられる。

健常人の血中TSHは、年齢、性別による差異はなく、食事、運動による変化もありません。

【甲状腺に異常があるときの症状】

甲状腺ホルモンが出過ぎる場合、これを甲状腺機能亢進と言います。

分泌が足りなくなる場合を甲状腺機能低下)と言います。

【検査方法】

電気化学発光免疫測定法(Electro Chemiluminescence Immunoassay:ECLIA)で検査。

【基準値】

0.33~4.05μU/mL

※使用する機器や施設によって若干異なる※

【異常がある場合】

1)高値の場合

原発性甲状腺機能低下症(粘液水腫、クレチン病)、慢性甲状腺炎(橋本病)、無痛性甲状腺炎、TSH産生下垂体腺腫

2)低値

甲状腺機能亢進症(バセドウ病、プランマー病)、二次性(下垂体性)甲状腺機能低下症、亜急性甲状腺炎(急性期)

【追加事項】

甲状腺疾患の診断には主に、TSHと共にFT3(遊離トリヨードサイロキシン)とFT4(遊離サイロキシン)を検査しますが、TSHが最も鋭敏に異常を検出する事ができます。

甲状腺ホルモンは建てないの代謝に関するホルモンですから、機能が亢進すると微熱が続きます。

軽い微熱程度の発熱が長く続く場合や、寒気が続く、体重の増減などが激しい場合なども甲状腺の機能検査を行う必要性があります。

風邪を引いていないのに微熱が続く、寒気や悪寒が走るなどの自覚症状が長期的に継続して体感される場合は要注意です。

甲状腺機能に何らかの異常をきたしている可能性があります。

妊婦はTSHと同じ様な構造を持つヒト絨毛性ゴナドトロピン(Human Chorionic Gonadotropin:HCG)が多量に分泌されますから、HCGの働きかけの結果、TSHの分泌を抑制させることからTSHの数値が減少します。

2018年9月27日木曜日

ふたつの抗体について-2.中和抗体-

この抗体は、体内に侵入した細菌やウイルスを無毒化する抗体です。

例えば、麻疹に感染しますと、生体の免疫機能は、麻疹のウイルスと戦い、免疫機能が勝てば麻疹の中和抗体を作ります。

次ぎに麻疹のウイルスが生体に侵入しても、この麻疹の中和抗体が、麻疹のウイルスを無毒化することから、二度と麻疹にはかかりません。

予防ワクチンは、毒力を弱めた病原体を生体に感染させて、中和抗体を作り出します。

ワクチン接種で中和抗体が体の中にできあがれば、それに対する病原体が生体内に侵入しても、この中和抗体が、病原体を無毒化するために感染しないわけです。

仮に感染しても症状は軽く直ぐに治ってしまいます。

インフルエンザのワクチンも、インフルエンザ予防ワクチンを接種して、生体にインフルエンザウイルスを無毒化する中和抗体を作りますが、インフルエンザワクチンを接種しても、インフルエンザに感染することがあります。

これは何故でしょう?

疑問に思われませんか?!

その理由は、予防接種に使用したインフルエンザの株以外のインフルエンザが流行すれば、予防接種で生体内に出来た中和抗体は、別の株のインフルエンザウイルスには働かないために感染してしまうわけです。

予防接種に使用するウイルスの株以外のウイルスが生体内に入れば、感染してしまうわけです。

HIVは中和抗体が現時点では確認されていませんので、一度HIVに感染してしまえば、感染を示す感染抗体は出来ますが、HIVを無毒化する中和抗体は出来ないために、HIVは生体から排除されることなく、増殖するわけです。

【代表的な中和抗体】

ジフテリア、猩紅熱、百日咳、麻疹、水痘、流行性耳下腺炎(おたふく風邪)

ご理解頂けましたでしょうか?