血液の鉄人の理解しやすく役立つ臨床検査の部屋 Headline Animator

2013年1月1日火曜日

謹賀新年

明けましておめでとうございます。

本年もよろしくお願い致します。

2012年12月28日金曜日

ノロウイルスについて-1.ノロウイルスとは-


2012年11月頃から日本全国でノロウイルスが流行し始め、12月現在大流行しています。

未だ終息する気配がないことから、緊急にノロウイルスについて解説していきたいと思います。

ノロウイルスは、以前は小さな球形状のウイルス形状を持つことから"小型球形ウイルス(SRSV)"と呼ばれていましたが、2002年の国際ウイルス学会にて"ノロウイルス"と命名されています。

ノロウイルスは、ヒトに経口感染して十二指腸から小腸上部で増殖し、伝染性の消化器感染症を引き起こします。

死に至ることは稀ですが、苦痛(刺すような腹痛・下痢と嘔吐・発熱)が極めて大きく、稀に十二指腸潰瘍を併発することもあります。

現在特異的な治療法は確立されていなく、対処療法のみです。

感染から発病までの潜伏期間は12時間~72時間(平均1~2日)。

症状が収まった後も便へのノロウイルスの排出は1~3週間程度続き、7週間以上続くとも言われています。

その為に症状が収まった人の便から第三者へ感染する危険性が極めて高いのが特徴です。

流行は1年中見られますが、特に11~3月の発症が多く報告されています。


【症状】

主症状としては、突発的な激しい吐き気や嘔吐、下痢、腹痛、悪寒、38℃程度の発熱。

嘔吐の始まる数時間前から胃に膨満感やもたれを感じる場合もあります。

これらの症状は通常、1~2日で治癒し、後遺症が残ることはありませんが、免疫力の低下した老人や乳幼児では治癒が長引くことがあります。

死亡した例としては、吐瀉物を喉に詰まらせることによる窒息や誤嚥性肺炎による死亡が報告されています。

また感染しても発症しない不顕性感染や風邪症候群と同様の症状が現れるのみの場合もあります。


【感染経路】

ノロウイルスによる感染症は経口感染(口からの感染)が原因となります。

・ノロウイルスで汚染された食材や食品を喫食しての感染。

・ノロウイルスで汚染された水を飲用しての感染。

・ノロウイルス感染者の糞便や吐瀉物から手指を介して感染。

・飛散した飛沫から空気感染

・ノロウイルス感染者が十分に手を洗わず調理した食品を食べての感染。

※ノロウイルスは、衣服や寝具、家庭用品、家具などの表面に付着しても数週間生存することができることから、十分な手洗いや器具の洗浄が必要となります※

※ノロウイルスはアルコール(75%エタノール)では死滅しませんので、消毒剤としては塩素が一番適しています※

※加熱に関しても60度では死滅せず85度以上の加熱が必要となります※

2012年12月18日火曜日

結核の新しい検査-結核菌特異的IFN-γ(ELISPOT)-


結核の新しい検査、結核菌特異的IFN-γについて紹介します。

ELISPOT法は、QFT (クオンティフェロン) 検査と同様に結核感染の有無を診断する検査方法です。

【検査方法】

結核感染が疑われる患者から採血してリンパ球を分離し、 抗ヒトインターフェロン-ガンマ (IFN-γ) 抗体を底部にコーティングした培養プレートに一定量を分注後、 結核菌特異抗原ESAT-6およびCFP-10を添加して、20時間前後培養します。

結核感染者のリンパ球からはIFN-γが分泌され、抗ヒトIFN-γ抗体と結合することから、この状態を可視化し、IFN-γを産生する細胞の個数を計測し、IFN-γ産生細胞の数により結核感染を診断します。

【使用目的】

結核感染疑いのある人に対する補助診断として使用。

原因不明の熱が続き、結核に似た症状のある方にこの検査を行えば、 短期間で結核を発病しているか否かの診断が行えます。

感度が97.1%と非常に高いことから、この検査で結核の可能性があれば、結核患者の早期発見につながり迅速な対応が可能となり、感染の広がりを防止することが出来ます。

感染リスクの高い人や発病リスクの高い人に有効な検査法です。


【感染リスクの高い人とは】

医療従事者や集団生活者は、結核を発病した場合周囲の第三者への感染拡大という大きな影響を及ぼすことから、定期的に結核菌への感染を確認し、必要に応じて予防内服を行うことから、集団感染リスクを抑えることが可能となります。

【発病リスクの高い人とは】

何らかの理由で免疫力が落ちている人は、一般的に結核の発病リスクが高いと考えられています。

例えば、透析患者、糖尿病患者、免疫抑制治療を行っている患者、HIV感染者は発病リスクが当然高くなります。

従って免疫抑制治療を行う前には、結核の感染診断を行うことが推奨されていますし、HIV感染者も当然結核感染の有無の検査をしておく必要があります。

2012年12月9日日曜日

結核について


結核は呼吸器感染症で、結核を発病している人が咳やくしゃみをしたときに、結核菌が飛び散り、 吸い込むことにより感染することがあります。

結核菌を吸い込んでもすべての人が感染をするわけではなく、体の免疫力が勝てば当然結核菌は体内から排除されますが、免疫力が負ければ当然感染することになります。

結核菌が体内に残っていても体内に封じ込められたまま活動しない状態を「感染」と言い、「発病」は結核菌が活動を始め、菌が増殖していく状態を言います。

症状がすすむと咳やたんとともに空気中に結核菌が吐き出される (排菌) ようになりますが、発病していても排菌していない場合は結核を第三者に感染させる心配はありません。

感染した人が発病する確率、5~10%と考えられていますが、発症原因の解明は未だされていません。

言えることは、過労蓄積などに酔って免疫力が弱まっている時には注意が必要ということです。

感染から発病への契機とる最も重要な契機は免疫低下で、近年では特にHIV感染が要因となっています。

結核は、依然として世界各国で蔓延しています。

開発途上国だけでなく先進各国及び日本でも蔓延しています。

日本人の結核の罹患率 (人口10万人対の新規結核患者数:17.7) は、米国 (4.1) の4.3倍、カナダ (4.7) の3.8倍と際立って高いのが現実です。

また、近年ではHIV感染による日和見感染症の一つとして結核が注目され、感染者も増加しています。

新しい結核検査については次回解説致します。

2012年12月3日月曜日

HLA検査-7.まとめ「HLAを知って病気を予防する」-


内外の多くの研究者により、HLAとある種の疾患に関係があることが明らかにされています。

自分自身のHLAを知ることによって、どのような疾患にどの程度かかりやすいかがわかることがあります。

例を上げますと、

・糖尿病に他人より4倍発症しやすい(B54、DQB1*04:01、DRB1*04:05)

・腫瘍性大腸炎を4倍発症しやすい(DRB1*09:01、DR2、B52など)

・ベーチェット病(Behcet病)に9.3倍発症しやすい(B51)などがあります。

しかしマーカーとなるHLAを保有していても必ずその疾患を引き起こすわけではありません。

自分自身のHLAを知ることによって、日頃から体調に気を配り検診回数を増やすなどの自己管理で病気を防ぐことができるので、自分自身のHLAを知ることは意味があります。

2012年11月25日日曜日

HLA検査-6.HLAとナルコレプシーとの関連性-


ナルコレプシーは、日中場所や状況の区別なく起きる、強い眠気の発作を主な症状とする睡眠障害で、「居眠り病」とも呼ばれています。

日本人における有病率は0.16~0.18%と言われています。

ナルコレプシーはすべての人種において発症が見られますが、日本人のナルコレプシーの有病率は世界で最も高く、1万人当たり16人~18人(0.16~0.18%)と言われています。

ナルコレプシーの発症年齢は、10代から20代前半に集中しており、特に14~16歳がピークという統計があり、中年期以降に発症することは稀とされています。

ナルコレプシー発症原因は、脳内物質や血液が深く関係していると言われていますが、未だ不明な点も多く、すべては解明されていないのが現状です。

ナルコレプシーの病因のひとつとして関連性が注目されているは、HLAとの関連性があります。

日本人症例の全例がHLA-DR2/DQ1という血清型をもつことが発見され、現在、HLA遺伝子のDQB*0602(ハプロタイプ)が生物学的指標として診断補助に用いられています。

※健康な人でも同じHLAを持っている場合もあるので、このHLAを保有していれば必ずしもナルコレプシーが発症するとは言えません※

2012年11月12日月曜日

HLA検査-5.HLAとベーチェット病との関連性-


ベーチェット病とは全身に色々な症状が繰り返し現れる病気で、トルコの皮膚科医ベーチェットによって初めて報告された病気です。

ベーチェット病には、口腔内アフタ、皮膚症状、眼症状、外陰部潰瘍の四つの症状があります。

ベーチェット病患者は、HLA-B51抗原を有していることが多く、患者群では40-80%と高率でであり、健常群の10-30%と比べて明らかに高い保有率が確認されています。

即ち、ベーチェット病患者ではHLA-B51抗原を保有する人が有意に多いことです。

このことは、国や人種を越えて認められる所見であり診断の参考になります。

※しかし、HLA-B51抗原を保有する人が必ずしもベーチェット病になるとは限りません※

近年、第6染色体のHLA領域の解析によってHLA-A26抗原が、HLA-B51抗原とは連鎖しないで独立にベーチェット病と相関していることもわかってきました。

その結果、HLA-A26抗原がベーチェット病の第2の疾患感受性遺伝子であることが示唆されています。

HLA-B51抗原、HLA-A26抗原の両抗原のどちらかを保有している患者は、ベーチェット病患者全体のおよそ80%に認められています。

HLA-B51抗原とHLA-A26抗原のどちらを有するか、または両抗原とも有するか、両抗原とも保有しないかということで、ベーチェット病の病態や重症度に違いも認められています。