血液の鉄人の理解しやすく役立つ臨床検査の部屋 Headline Animator

2011年12月8日木曜日

感染症検査-2.HIV検査④第四世代の迅速(即日)抗原抗体検査法-


④第四世代の迅速(即日)抗原抗体検査法

『エスプライン HIV Ag/Ab』と呼ばれる検査キットで、サンドイッチイムノアッセイ法を用いたイムノクロマト法(IC法)です。

このキットは、HIV-1の抗原の一部であるp24を早期に検出できることと、HIV-1とHIV-2の抗体をも検出可能です。

検査を受ける時期としては、

1.不安な行為から30日でHIV-1のp24の検出が可能ですから、この時期陰性であれば、HIV-1の感染は否定できます。

※この時期検査が陰性であってもHIV-2の感染は否定できません。

2.不安な行為から12週でHIV-1とHIV-2の抗体の検出が可能ですから、この時期陰性であれば、HIV-1とHIV-2の感染は否定できます。

【参考資料】


以下を参照してください。

http://tetsujin.hiho.jp/newtisiki/newtisiki01.html 

http://tetsujin.hiho.jp/newtisiki/newtisiki02.html



2011年12月6日火曜日

感染症検査-2.HIV検査③迅速(即日)抗体検査法-


③迅速(即日)抗体検査法

ダイナスクリーン・HIV-1/HIV-2と呼ばれる検査キットで、サンドイッチイムノアッセイ法を用いたイムノクロマト法(IC法)です。

血液を滴下後、15分で判定しますが、この時必ずコントロールラインに赤色の線が出ていることを確認する必要があります。

コントロールラインに赤色の線が出ていないときは、必ず再度検査を行います。

また、判定は必ず15分で行い、この時点で判定ラインに赤色の線が認められなければ陰性と判定します。

15分経過後に判定ラインに幾ら赤色の線が見られても、これはニセの判定とします。

この検査は、不安な行為から12週で受けることにより、第三世代の抗体検査と同じ信頼性が得られます。

次に偽陽性反応の件ですが、検査の感度を高くして感染者を見逃さないように造られていることから、偽陽性反応が出やすくなっています、また判定を肉眼で行うことから判定者の主観に大きく左右され、どうしても偽陽性反応の出現率が高くなる傾向にあります。

PA法では0.5%前後ですが、迅速(即日)抗体検査では約3%の偽陽性反応が認められます。

迅速(即日)抗体検査は、短い時間で信頼性の高い結果が得られることから、クリニックや保健所では多く採用されています。

ちなみに、ダイナスクリーン・HIV-1/HIV-2は、発売当初アボットジャパン社から販売されていましたが、2007年12月1日から、アリーアメディカル株式会社から販売されています。

現在日本で医療機関及び保健所で採用されている迅速(即日)抗体検査法は、ダイナスクリーン・HIV-1/HIV-2しか存在しません(抗原抗体迅速抗体検査を除く)。

2011年12月4日日曜日

感染症検査-2.HIV検査②第四世代抗原抗体検査法-


②第四世代抗原抗体検査法

HIV-1のコア蛋白質であるP24抗原を検出するのが第四世代検査薬で、HIV抗原抗体検査と呼ばれます。

HIVが生体に侵入すると、HIV-1のコア抗原p24の量はHIVのRNAレベルの上昇にともなって増加し、かつ急性感染期にはすぐに血液中に出現することから、血液中のp24抗原の検査はウインドウ期を短縮することができ、HIV-1の早期診断に役立ち、臨床面におけるすぐれた検査法です。

p24が血液中から消失してしまうと、p24を検出できなくなりますが、その後出来てくるHIV抗体を検出可能となります。

第四世代抗原抗体検査法は、日本国内ではそりぞれ特徴のある製品が数社から販売されて使用されていますが、いずれのメーカ製も、感度と特異性には大差はありません。
 
検査を受ける時期

1.不安な行為から30日:HIV-1の感染の判断ができる。

※この時期検査を受けてもHIV-2の感染の判断はできません。

2.不安な行為から12週:HIV-1とHIV-2の感染の判断ができる。

2011年12月現在では、大手病院のおよそ80%が第四世代抗原抗体検査法を採用していますし、検査専門の検査会社では全て第四世代抗原抗体検査法に変更されています。

ただし、保健所ではまだまだ採用されているところは少ないのが現状です。

2011年12月2日金曜日

感染症検査-2.HIV検査①PA法-


①PA法

ゼラチン粒子凝集法(Particle Agglutination)と呼ばれ、HIV-1とHIV-2のIgMとIgG型のHIV抗体を見つけるHIV抗体検査法です。

第三世代に分類されるHIV抗体のスクリーニング検査法で、日本で開発されました。

検査の原理は、ゼラチン粒子に精製したHIVを界面活性剤で処理して作ったHIV蛋白質をタンニン酸処理したゼラチン粒子に吸着させて、これに検査する人の血清を加えて、トレイの中で2時間静置しておきます。

HIV抗体が陽性の時は、トレイの中でゼラチン粒子が大きな円に広がります。

HIV抗体が陰性の時は、トレイの中でゼラチン粒子が一点に集まります。

この状態を見て、陰性・陽性の判断をします。

この検査は、不安な行為から12週で信頼できる結果が得られます。

また、HIV-1/HIV-2を同時に見つけることが出来ます。

この検査法は、HIV-1とHIV-2のIgM型のHIV抗体を検出可能ですから、1~2ケ月で検査を受けた場合、信頼できる結果が得られるとも言われますが、HIV早期感染者でHIV-1とHIV-2のIgM型がこの検査で見つかる量が血液中にあれば検出できますが、量が少なければ偽陰性反応となってしまいます。

そのことからして、不安な行為から12週で受ける必要があります。

非常に簡単な検査でどこでも実施できることから、日本でも多くの施設で採用されていますし、発展途上国でも広く採用されています。

更に、偽陽性反応の出る割合がエライサ法に比べて低いという利点もあります。

2011年11月30日水曜日

感染症検査-1.B型肝炎検査⑦HBV検査のまとめ-


⑦HBV検査のまとめ

各種HBV検査のまとめとして、検査結果の解釈を簡潔に解説します。

1.HBs抗原 陽性

HBVに感染していることを意味します。

2.HBs抗体 陽性

HBV感染の既往があり、その結果身体の中にHBV感染防止防御として働く中和抗体が出来ているので、以後HBVが身体の中で活動することも、第三者にも感染させることがありません。

3.HBc抗体 陽性

HBV感染の既往があったことを意味し、とくにHBc抗体の著増は現在HBVに感染していることを意味します。

4.IgM型HBc抗体 陽性

低抗体価の場合は、B型急性肝炎の回復期、あるいはB型慢性肝炎の増悪期を意味します。
高抗体価は、B型急性肝炎の発症期を意味します。

5.HBe抗原 陽性

血液中のHBV濃度が高いとされ、感染力が高いことを意味します。

6.HBe抗体 陽性

感染性は低いか、あるいはほとんど無く、HBs抗原陽性でHBe抗体陽性の場合は、血中にはHBVがほとんど認められず、感染性は低いことを意味します。

7.HBV-DNAとHBV関連DNAポリメラーゼ 検出

HBV増殖のマーカーで、血液の中のHBV量を示します。
この検査で血液中のHBVの量を調べて、抗ウイルス剤投与後の治療効果の指標とします。


2011年11月28日月曜日

感染症検査-1.B型肝炎検査⑥HBe抗原とHBe抗体検査-


⑥HBe抗原とHBe抗体検査

HBVに感染すると、血液中にHBV-DNAのほかに、体にとって異物となるHBV由来の蛋白質である抗原や、抗原を排除するために免疫機構によって作られた抗体が造られます。

HBVの抗原にはHBs、HBe、HBcの三種類があり、HBe抗原が陽性の場合、血液中にHBVが多量にあるか、またはHBVが増殖中であることを意味します。

その為に、HBe抗原が陽性の場合は第三者へ感染させやすい状態であるため注意が必要となります。

更にHBe抗体が陽性の場合は、HBVの量や活動性が低下しており、他者への感染力は弱いことを意味します。

基準値

HBe抗原 陰  性

HBe抗体 陰  性

異常値の解釈としては、

1.HBe抗原陽性の場合:HBVの活動性が高く、体内でHBVが増殖していることから、血液中にHBV量が多い状態で、感染力が強い。

2.HBe抗体陽性の場合:HBVの活動が低下して、HBVの量が減少していることを意味しますが、HBV無症候性HBVキャリア、B型慢性肝炎の非活動期の可能性もあります。

2011年11月27日日曜日

感染症検査ー1.B型肝炎検査-⑤HBV-DNA検査-


⑤HBV-DNA検査

HBVは、DNA遺伝子をもつDNAウイルスで、HBVに感染してるか否かを血液中のHBV量を直接検出する方法がHBV-DNAの測定です。

測定方法にはいくつかの種類がありますが、現在行われている検査は、HBV-DNA 定量法《TaqManPCR 法》です。

この検査方法は、今までの核酸増幅検査よりも感度がよく、特に定量下限が1.8Log コピー/mL まで拡大したことでこれまで以上に抗ウイルス療法薬の治療効果の判定に有用となります。

今までの検査法と検出限界を比較しますと、

  TaqManPCR 法       1.8 ~ 8.8Log コピー/mL
  PCR 法            2.6 ~ 7.6Log コピー/mL
  TMA 法            3.7 ~ 8.7 LGE/mL
  HBV DNA ポリメラーゼ    30 cpm ~(6Log コピー/mL~)

この検査法の感度がいかに優れているか分かります。

 
基準値外の場合は、B型肝炎、無症候性HBVキャリアである可能性が考えられます。

この検査は、HBV感染の判断をするより、HBV感染者の治療によって血液中のHBVの量そのものを調べるのに用いられています。

即ち、抗ウイルス剤の治療効果や投与を終了する時期の判断などに利用されています。