血液の鉄人の理解しやすく役立つ臨床検査の部屋 Headline Animator

2022年5月15日日曜日

不織布マスクマスクW折りで感染予防効果は上がる

 新型コロナウイルスの感染にはマスクの正しい付け方が大切です。


不織布マスクに付いているノーズワイヤを山折りにする人は多くおられると思いますが、ひと工夫してW折りにすることで顔との密着度が高まり、予防効果が上がります。


これはノーズワイヤをW折りにすることで鼻と?との隙間をふさぎ、感染リスクを減らすことができるということです。


要するにマスクをつける前に、鼻の形に合わせてノーズフィットを折り曲げW状にすることで、鼻の部分にすき間ができにくくなり予防効果が高くなるとともに、眼鏡が曇りにくくなります。


鼻出しマスク・あご掛けマスク・あご出しマスクは、予防効果がなくなりますからNGです。

参考動画

https://www.youtube.com/watch?v=KYWhIsgb7Gc

2022年5月8日日曜日

マスクの必要性について

 新型コロナウイルスの流行に伴い、世界中でマスクが着用され、義務化されている国も多く存在しています。


日本国内においては、強制着用はされていませんが着用が一律に推奨されたままの状態が続いています。


それではいつまでマスクは必要となるのでしょうか?


2022年4月20日日本医師会の中川俊男会長は、「ウィズコロナの状態でマスクを外す時期が日本に来るとは思っていない」と発言しています。


日本国内では新型コロナウイルスの感染拡大初期から、症状がなくてもマスクを着用する"ユニバーサルマスク"が推奨され、国民の多くが自主的に感染拡大防止に努めてきた事実があります。


中川俊男会長は国民の公衆衛生意識の高さが、感染者数や死者数を抑えるのに効果的だったと指摘し、「マスクを外すのは新型コロナが終息したときだ」と発言しています。


また日本政府も「マスクの着用が極めて重要であることは言うまでもない」と強調しています。


国立感染症研究所の脇田隆字(たかじ)所長は2022年4月27日の衆院厚生労働委員会で、「感染リスクが高くない場面では、着用は必ずしも必要ではない」との認識を示していますが、これからの季節は気温と湿度が高くなり熱中症リスクもあることから、「屋外で人との距離が十分ある場合は、マスクを外すことが推奨される」とも発言しています。


それに加えて「具体的にどのような場面でマスクを着けるか外すかまでは、直ちに提言できる状況にはない」とし、今後議論を進めていく必要性を強調しています。


一方海外に目を向けますと、英国は2022年1月下旬、オミクロン株対策として2021年12月に導入した公共施設でのマスク着用義務を撤廃し、同株の流行のピークが過ぎたことなどを考慮し、混雑した場所にいるときや普段会わない人と会うときなどは、引き続き着用が推奨されるとしています。


米国でも2022年3月下旬、ハワイ州を最後に全50州で着用義務が解除され、ほとんどの地域で、屋内でも着用が必須ではなくなっています。


米疾病対策センター(CDC)が2022年4月中旬にマスク着用義務の延長を決めましたが、フロリダ州の連邦地裁が「義務化は違法で無効」と判決を下したことから主要な航空・鉄道会社は乗客に着用を求めていません。


韓国でも見直しの動きがあり、屋内でのマスク着用義務は当面維持する一方、屋外については2022年4月2日から、スポーツ観戦時などを除き解除することを決めています。


日本においても一律のマスク推奨するのではなく、どのような場面で着用して、どのような場面では必要がないことを明確にし国民に理解しやすいように説明する必要があると思います。

2022年5月1日日曜日

百日咳について-2.百日咳抗原検査-

 2020年5月29日に承認され、2021年5月1日に保険収載されています。


販売名は、リボテスト百日咳です。


製造発売元 極東製薬工業 株式会社


【使用目的】


鼻咽頭拭い液中の百日咳菌抗原の検出


【測定原理】


鼻咽頭拭い液中の百日咳菌L7/L12 抗原を検出するイムノクロマト法です。


テストプレートは、サンプルパッド、コンジュゲートパッド、メンブレン、吸収パッドから構成されていて、コンジュゲートパッドには金コロイド標識抗百日咳菌L7/L12 モノクローナル抗体(マウス)が含まれています。


テストライン上には、抗百日咳菌L7/L12 モノクローナル抗体(マウス)が固相化されています。

 百日咳菌L7/L12 抗原を含む試料を試料滴下部に滴下すると、試料はサンプルパッドを通って、コンジュゲートパッドに移動し、試料溶液中の百日咳菌L7/L12 抗原が金コロイド標識抗体と反応して免疫複合体を形成され、この免疫複合体は毛細管現象によりメンブレン上を移動し、テストライン上の固相化抗体に捕捉されると、赤紫色のランが現れます。

また、百日咳菌L7/L12 抗原の有無に関わらず、金コロイド標識抗体はコントロールライン上に固相化されている抗マウス免疫グロブリンポリクローナル抗体に捕捉され、赤紫色のラインが現れます。


※リボテスト百日咳添付文書参照※


【測定時間】


15分


【判定】


肉眼で出現ラインを確認する。


陽性 コントロールラインとテストラインの両方に赤紫色のラインが確認される。


陰性 コントロールラインのみに赤紫色のラインが確認され、テストラインには確認されない。


判定不能 コントロールラインに赤紫色のラインが確認確認されないか不明瞭な場合。


※コントロールラインに赤紫色のラインが確認確認されず、テストラインにのみに赤紫色のラインが確認される場合も判定不能とします※


判定不能の場合は、再検査。


試料滴下後15分を過ぎてテストラインが出現した場合、陰性と判定する。



【PCRとの一致率】


陽性一致率 86.4%


陰性一致率 97.1%


陽性陰性一致率 95.9%

2022年4月24日日曜日

百日咳について-1.百日咳とは-

 百日咳は、主にグラム陰性桿菌の百日咳菌 (Bordetella pertussis) による呼吸器感染症の一種で、特有の痙攣性の咳発作を特徴とする急性気道感染症です。


主に1歳未満乳児が罹ると認識され、特に生後6ケ月未満では容易に重症化して死の危険も伴うなど、極めて重要な感染症とされています。


百日咳は世界的に見られる疾患で、乳幼児に限らずいずれの年齢でも感染します。


患者に占める成人の割合が2001年にはわずか2.8%でしたが、この10年間毎年増え続け、2010年(1~4月)には56%に達しまし、現在では半数以上が、おとなの患者なのです


【症状】


潜伏期間は通常7~10日で、次に普通の風邪症状を示すカタル期が1~2週間続き、さらに乾いた咳と発作性の咳嗽(がいそう)が特徴の痙咳期が3~6週間続きやがて回復します。


百日咳特有の咳は、短い連続した咳嗽(スタッカート)の後、息を吸い込むときに笛を吹くようなヒューという音(笛声 てきせい:ウープ)が出て、これが繰り返されます。


※ 咳が治まるまで約100日間(およそ3ケ月程度)続くことから、百日咳と呼ばれる※


※咳嗽(スタッカート)とは、顔をまっ赤にしてコンコンと激しく咳き込む発作※


※(笛声 てきせい:ウープ)とは、息もできないくらい咳き込んだあとヒューッと音を立てて大きく息を吸い込む発作※


咳嗽は夜間に多く、何かしらの誘発原因によって咳き込むと、息も詰まることから顔面浮腫や充血、そして最悪の場合は呼吸停止から突然死に至ることもまれにあります。


【検査法】


鼻咽頭を綿棒で拭いそのぬぐい液で遺伝子検査として、LAMP(loop-mediated isothermal amplification)法やPCR( polymerase chain reaction)法。


血液による血清抗体検査。


鼻咽頭を綿棒で拭いそのぬぐい液での抗原定性検査。


【治療法】


マクロライド系抗菌薬を投与します。


エリスロマイシン(EM)、クラリスロマイシン(CAM)、またはアジスロマイシン(AZM)が使用され、投与期間はそれぞれ14、7、5日間です。


【感染予防】


百日咳の防御はワクチン接種が基本となります。


全菌体を使用した単味の百日咳ワクチン(P)はジフテリアトキソイド(D)との二種混合(DP)、更に1968年からは破傷風トキソイド(T)も含めた三種混合(DTP)で接種が進められました。


日本国内における百日咳患者数は、全数届出が始まった2018~2020年の3年間に発生動向調査に届出された百日咳患者は31,909例となっています。


患者は, 2018年が11,190例(94%), 2019年が15,972例(95%), 2020年が2,671例(91%)、2022年(3月時点)132例となっています。


百日咳は、1年を通じて発生が見られますが、春から夏、秋にかけての発生が比較的多く、流行の周期は2~5年とされています。


2022年4月17日日曜日

新型コロナウイルス感染症の“いま”に関する11の知識(2022年3月)

 厚生労働省は、「新型コロナウイルス感染症の“いま”に関する11の知識(2022年3月版)を2022年3月11日に公開しました。

ここには、COVID-19の感染者数・病原性・感染性・検査・治療・変異株について、現在の状況とこれまでに得られた科学的知見を11の知識として見やすくまとめられています。


今一度確認されることをおすすめします。


内容は以下から確認してください。


https://corona.go.jp/proposal/pdf/chishiki_20220311.pdf


2022年4月10日日曜日

新型コロナウイルス-64.オミクロンXE-

 2022年1月19日イギリスでは「オミクロンXE」と呼ばれる、新たな変異株が出現しています。


イギリスの健康安全保障局によると、オミクロンXEは1月中旬にイギリスで初めて検出され、その後600件以上の症例が確認されています。


オミクロンXEと呼ばれるウイルスは、オミクロン株のうち「第6波」で広がった「BA.1」というタイプと、より感染力が高いとされるBA.2が組み合わさったタイプです。


ウイルスの表面にあり、人の細胞に感染する際の足がかりとなるスパイクたんぱく質を含むほとんどの部分がBA.2、ほかの部分がBA.1となっています。


オミクロンXEは、従来のオミクロン株BA.1より感染力が強いステルスオミクロン株BA.2の要素を含む混合株とされています。


オミクロンXEは感染力が強いBA.2を約10%上回る可能性があると指摘されています。


WHOはオミクロンXEを感染力や感染した際の重症度、ワクチンの効果などに対する影響の度合いがはっきり分からないとコメントしています。


感染の広がりやすさなどは、現時点でははっきり分かっておらず、専門家は注目して監視する必要があるとしています。

【2022年4月12日追加】

2022年4月9日時点では、日本国内ではオミクロンXEは確認されていませんでしたが、2022年4月11日、2022年3月36日に米国から到着した30代女性の空港検疫で、オミクロンXEが検出されたと厚生労働省が発表した。

日本で確認されたのは今回が初めてで日本国内での感染拡大は現時点で確認されていないと付け加えています


専門家は現時点ではBA.2の流行が主流になってきていますが、オミクロンXEであっても基本的な日常の感染対策は変わらないし、3回目のワクチン接種を引き続き進めてほしいという方針も変わらないとコメントしています。


2022年4月3日日曜日

新型コロナウイルス-63.新型コロナウイルスはエアロゾル感染する-

 国立感染症研究所は、新型コロナウイルスはエアロゾル感染しないとの立場を取ってきました。


国立感染症研究所は2022年1月13日に公表したオミクロン株についての報告書で、「現段階でエアロゾル感染を疑う事例の頻度の明らかな増加は確認されず、従来通り感染経路は主に飛沫感染と接触感染と考えられた」と発表して、世界保健機関や米疾病対策センターなどと異なる説明をしていました。


要するに国立感染症研究所の考え方としては、エアロゾル感染はしなく飛沫感染と接触感染しかしないという立場でした。


しかし世界保健機関(WHO)や米疾病対策センター(CDC)などは2021年春、主な感染経路としてエアロゾル感染と飛沫感染を挙げ、接触感染は起きにくいとする報告書を発表していました。


そのことから日本国内の専門家からは、「世界の知見とは異なる」と説明を求めて公開質問状を出していました。


国立感染症研究所は2022年3月28日に公表した文書で、主な感染経路として、○エアロゾル感染○飛沫感染○接触感染の三つの感染経路があるとの見解を新たに示しました、


このことは感染者が呼吸をすると粒子が放出され、大きな声を出したり、歌ったりすると、放出される粒子の量が増える感染リスクが高くなる。


感染者との距離が近い(約1~2m以内)ほど感染する可能性が高く、距離が遠い(約1~2m以上)ほど感染する可能性は低くなると説明しています。


※気体中に浮遊する微小な液体または固体の粒子と周囲の気体の混合体をエアロゾル(aerosol)と言います※


※新型コロナウイルスを含んだ空気中に漂う微粒子をエアロゾルといいます※


【参考資料】

https://www.niid.go.jp/niid/ja/2019-ncov/2484-idsc/11053-covid19-78.html


新型コロナウイルスはエアロゾル感染するということは、取りも直さず新型コロナウイルスを含むエアロゾルで空間が汚染されているから換気が必要ということになります。