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2021年12月26日日曜日

新型コロナウイルス-49.オミクロン株について現在分かっていること-

 2021年12月25日時点でオミクロン株について分かっていることをまとめてみました。


オミクロン株は現在世界100ケ国以上で流行していおり、今後益々感染者が増えると懸念されています。


日本国内に置いても感染者数は増加しつつあります。


以下にオミクロン株で分かっていることをまとめてみました。


1.デルタ株よりも感染性が高い(実効再生産数がデルタ株の4倍)


※実効再生産数は、ある時点において1人の感染者が全感染期間に感染させる人数の平均値※


2.入院頻度はデルタ株より低く、重症化することはデルタ株より高くないとされていますが、今後感染者が増えれば重症者が増加することが懸念されており、感染者の増加が医療体制を圧迫してくることが懸念されています。


3.オミクロン株は免疫逃避があることから感染しやすいことが分かっていますが、新型コロナワクチン2回接種で重症化を抑制することが可能となり、3回接種でブレイクスルー感染・重症化を抑制する効果があることが確認されています。


4.オミクロン株は新型コロナワクチン接種した人は軽症、場合によっては「ただの風邪」でとどまる可能性があると言われていますが、現時点での毒性は未知数です。


5.高齢者など体力が弱っている人や基礎疾患のある人が感染すると、これまでの新型コロナウイルスと同様、重症化する可能性があるので見くびってはいけません。


現在日本国内では新型コロナウイルス感染者は、以前に比べて激減していますが、完全に収束はしていません。


一部の地域では感染者が増加する傾向が見られています。


感染は終わったなどと軽々しく考えず感染予防を怠ると欧米のように国中がオミクロン株感染者で埋め尽くされる危険性は十分にあります。


従って従来通りマスク着用・こまめな手洗い・3密を避ける、といった基本的な感染対策を続けていく必要があります。

2021年12月19日日曜日

新型コロナウイルス-48.オミクロン株とワクチンの追加接種について-

 新型コロナウイルスワクチンのブースター(追加免疫)接種でオミクロン株による重症化を約85%防ぐことができるとする分析結果をイギリスの研究チームが2021年12月16日公表しました。


しかし新型コロナウイルスワクチンのブースター(追加免疫)接種による効果は、オミクロン株ではその他の変異株よりも低いことも発表されています。


オミクロン株の流行は世界的にも極めて速いスピードで拡散していて、全世界で流行するのは時間の問題となっています。


当然日本国内での感染者も増加しつつあります。


急速に流行が拡大し続けるオミクロン株についての医学的・科学的情報は少なく、ワクチンの効果がどの様になるのが、またオミクロン株に感染した場合、どれほど軽く済むのか、あるいは重症化するのかの研究を世界中の専門家が精力的に行っていますが、現時点では確定的なことは分かっていません。


2021年12月18日時点では、酸素吸入や人工呼吸器を必要としている患者は少なく、入院期間も短いこと、が言われていますが今後患者数が増えればこの現実は覆ることもありえます。


ワクチンを2回接種していても、すでに感染した人が多く存在することからして、このことがワクチンがオミクロン株の感染を防ぐ効果は低くなっていると言えます。


しかしワクチンが重症化は防いでいることも事実です。


現在の見解ではオミクロン株の毒性がほかの変異株より弱いという事も言えません。


従来通り感染予防対策に心がける必要があります。

2021年12月12日日曜日

新型コロナウイルス-47.オミクロン株に感染した場合の症状-

2021年12月11日現在世界50カ国以上で感染者が報告されていて、国内では4人の日本人の感染者が出ています。


オミクロン株に感染した場合の症状としては、現時点では無症状の人もかなり多く、強い頭痛、喉の痛み、体の痛み、気分が悪くなることが主な症状です。


一方、他の株感染でみられた現時点では、味覚・嗅覚異常はほとんどなく、酸素吸入療法を必要とするケースは無いようです。


更にオミクロン株に感染してで死亡したという報告はありません。


反面他の株に比べてオミクロン株は感染力が極めて高いのが特徴で、海外での報告では3倍ほど感染力は強いとされています。


南アフリカなどでは、2~3週間で75%の感染者がデルタ株からオミクロン株に変化しているとの報告が課されています。


オミクロン株が出現してから僅かしか経過していないことから、ワクチンの有効性や死亡率などは現時点でははっきりと分かっていません。


感染者が今後増加するにつれて死亡率が高くなる危険性は否定できていません。


2021年12月5日日曜日

新型コロナウイルス-46.オミクロン株の現状-

 オミクロン株は、2021年11月11日にボツワナで採取された検体から初めて発見され、その後南アフリカ共和国からも見つかっています。


その後南アフリカ共和国では新規感染者数が急増しています。


2021年12月3日時点でオミクロン株の症例が確認された国や地域は日本を含め36カ国になっています。


これまでに世界中で報告されているオミクロン株による症例のうち、重症度に関する情報が得られているものでは、約半数は無症状で、残り半数は軽症とのことです。


現時点では、重症化した症例や入院、死亡例は報告されていません。


今後ワクチン非接種者、高齢者にも感染が広がれば重症者が増えてくる可能性はあり得ることです。


オミクロン株は、30を超える変異を持ち、感染成立に関わるスパイク蛋白にも多くの変異があることから、ワクチンの効果を低下させ、再感染のリスクを高める可能性が懸念されています。


実際にこれまでにワクチン接種者でも感染例が報告されていますが、ワクチン接種による感染予防効果は時間とともに低下しますので、この報告だけでオミクロン株のワクチンへの影響を推し量ることはできません。


ワクチン接種者や回復者の血清のオミクロン株や疑似ウイルスに対する中和能力を評価する研究が必要ですが、この結果が得られるまでは数週間はかかるものと思われます。


2021年12月3日世界保健機関(WHO)の緊急事態対応を統括するマイク・ライアン氏は「オミクロン株」に対して、「既存のワクチンを改良する必要性を示す根拠はない」と述べていますが、現在の世界保健機関の言うことは説得力がありません。


2021年12月の時点ではオミクロン株は、デルタ株より感染力が強く、病原性も高い変異ウイルスなのか、感染力は強いものの、重症化の割合は低い変異ウイルスなのか全くわかっていません。


私たちができる対策は、三密を避ける・マスク着用・十分な手洗いなどこれまでと変わりません。


厚生労働省の専門家会合も、ワクチン接種の推進に加えて、マスクの着用、消毒や密を避けるといった基本的な対策を続けるよう呼びかけています。

2021年11月28日日曜日

新型コロナウイルス-45.南アフリカで見つかった新型コロナウイルスの変異株オミクロン-

 2021年11月26日世界保健機関は南アフリカで新たに見つかった新型コロナウイルスの変異株「B.1.1.529」に対して、懸念される変異株(Variant of Concern : VOC)に指定し、オミクロンと命名しました。


この変異株は2021年11月9日に南アフリカで初めて見つかり、同月24日に南アフリカによって世界保健機関に初めて報告されています。


オミクロン株は多数の変異があり、デルタ株など他の懸念される変異株(VOC)よりも再感染リスクが高いことを示す「暫定的な証拠」があり、感染拡大のペースも速い可能性があるとした。

従来のPCR検査で検出は可能ですがオミクロンの感染力・重症度・ワクチンに対する効果・治療などに関しての分析は今後数週間以上かかるとされています。


※懸念される変異株(VOC)は最も危険視される変異株の分類に属し、現在世界の主流株となっているデルタ株や、アルファ株やベータ株、ガンマ株が指定されています※


この変異株は南アフリカで急速に感染が拡大し、周辺国にも広がっていることから、感染力が強い可能性があり警戒が必要とされています。


ここでひとつ素朴な疑問がおこります。


世界保健機関は、新型コロナウイルスの変異株の命名方法として24文字のギリシャ文字を順番に使うと言っていながら今回はその順番を変えたことです。


一つ前の変異株はミュー株ですから本来ならこの変異株には、ミューの次のニューを使うはずですが、今回はなぜかニューとクサイのふたつを飛ばしてオミクロンを使いました。

これは何故なのでしょうか?


現在の世界保健機関のやることは全てといつて良いくらい一貫性がなく、信用できない国際機関となっています。


このことは多くの人が疑問に思っていることと思います。


【日本国内の動き】


2021年11月26日国立感染症研究所は、オミクロン株の警戒レベルを3段階中2番目に高い「注目すべき変異株(Variants of Interest:VOI)」に位置づけました。


日本国内では2021年11月26日までに国内や検疫で見つかってはいません。


このオミクロン株の性質は「十分な情報が得られていない」発表されていて監視態勢を強化しています。

2021年11月21日日曜日

HIV感染のタイムテーブル

 1.感染後5日間は、暗黒期(eclipse period)と呼ばれどの検査法でも感染を証明することは不可能です。


2.感染後6~8日においては、核酸増幅検査(リアルタイムPCR)で検出可能とされていますが、実際は11日以降に受けることで感染を見逃すことはありません。


3.感染後13~18日においては、HIV-1ウイルス蛋白(p24抗原)が検出可能となるりますが、その量が少ないと見逃す可能性が高いことから、感染後30~50日以内に受ければ見逃すことはありません。


※p24抗原は、HIV-1のカプシドの構造蛋白で、感染初期に検出され抗体陽転(seroconversion)すると消失します※


※HIV抗体が産生される前比較的初期HIV感染を検出できます※


3.感染後20日でIgM抗体検出が可能となりますが、やはり血液中のIgM抗体が少ないと見逃してしまいます。


4.感染後30日でIgG抗体検出が可能となりますが、やはり血液中のIgG抗体が少ないと見逃してしまいます。


第四世代のHIVの簡易検査は、HIV-1の「構造蛋白」p24抗原とIgM、IgGの抗体検出可能とされていてp24が感染後13~18日からわかることからして、不安な行為から3週間経過していればほぼ判定可能と言われていますが、人によっては血液中のp24抗原とIgM、IgGの抗体の量が少ない場合偽陰性となってしまいます。


従って第四世代のHIVの簡易検査は不安な行為から30日以降に受ければ偽陰性は防止できます。


5.確認検査


HIVスクリーニング検査で陽性となった場合、HIV-1とHIV-2をWestern Blotting(WB)法で鑑別確認を行いますが、この検査は感度が悪いことから、核酸増幅検査(リアルタイムPCR)で陽性となった場合や抗原抗体検査の早い時期に陽性となった場合は、あまり役に立たない検査です。


早期に陽性となった場合は、核酸増幅検査(リアルタイムPCR)で確認検査を行います。


HIV-2とはHIV-1発見より数年後に発見されたウイルスで西アフリカに多く、HIV-2に感染してもAIDSはめったに発症しません(LTNPs : long-term non-progressorsと言います)。


HIV感染して5年後AIDSを発症しないのはHIV-1が67%、HIV-2は100%という調査結果があります。


HIV-2が特に多い地域は、象牙海岸、ブルキナファソ、ギニアビサウ、セネガル、ガンビアなどの西アフリカ諸国です。


HIV-2は核酸増幅検査(リアルタイムPCR)やp24抗原で見つけることは出来ず、抗体検査のみでしか検出できませんので、HIV-2の感染を疑った場合は、確認検査としてWB法を行います。


HIV-2抗体は感染後12週で検出可能となりますから、現在でもHIV抗体検査でしか見つけられません。


日本国内でのHIV-2感染者は数例しか見つかっていません。

2021年11月14日日曜日

新型コロナウイルス-44.新型コロナワクチンの種類-

2021年11月 時点で使用されている新型コロナワクチンについて解説いたしします。


1.ドイツビオンテック/米ファイザー製やモデルナ製は、mRNAというウイルスの遺伝子コードの一部を注射することで人間の免疫システムを活性化して感染予防するワクチンです。

※有効性 90%


2.英国アストラゼネカ製は、チンパンジーがかかる風邪ウイルスを遺伝子操作したもので、「スパイクたんぱく質」と呼ばれる新型コロナウイルスの一部の「設計図」が含まれ、これを体内に接種することで生体はスパイクたんぱく質を作り始めます。


そして人の免疫系がこれを攻撃することを学習し、やがて実際に新型コロナウイルスが体内に入ったときには、同じようにこれを攻撃できるようになるワクチンです。


※有効性 76%


3.中国製ワクチンは、新型コロナウイルスを化学的に処理して不活性化した新型コロナウイルスの一部を使って体の免疫系を刺激する不活化ワクチンです。


※有効性 79%とされていますが、実際はもっと低いと考えられています※


※※妊婦に対する安全性や、高齢者や基礎疾患のある人への安全性と有効性のほか、承認後の安全性監視手続きで発覚した副反応の評価について、信頼できる科学的証拠が足りないとも指摘されています※※


4.ロシア製スプートニクスVワクチン


ロシア2020年8月、世界に先駆けて国産ワクチンのスプートニクVを承認し使用し始めましたが、最終段階の大規模な治験の結果が出る前だったため、安全性を疑問視されています。


このワクチンはアデノウイルスウイルスベクターワクチンで、コロナウイルスのタンパク質を作る遺伝子を改良したヒトの風邪ウイルスを使って体内に運び、免疫反応を引き起こす。


医学雑誌ランセット誌のコメントは批判の背景として、開発のスピードや透明性の欠如があったと指摘しています。


有効性は91.6%とされています。


まとめ


新型コロナワクチンの開発で、異なる有効性のデータが表れるのは中国製ワクチンだけでなく、スプートニクスV、英アストラゼネカ、ドイツビオンテック/米ファイザー製やモデルナ製も同様です。


問題は中国やロシアの開発メーカーは欧米企業に比べて安全性や試験に関する情報の開示が少なく、疑いを高めているということです。


2021年11月時点では、日本国内に置いて認可されたワクチンは、ファイザー製、モデルナ製、英アストラゼネカ製の三種類だけです。


中国製とロトア性ワクチンは日本国内では認可されておらず使用されていません。


日本製ワクチンは未だ1社も認可されていません。