血液の鉄人の理解しやすく役立つ臨床検査の部屋 Headline Animator

2021年11月14日日曜日

新型コロナウイルス-44.新型コロナワクチンの種類-

2021年11月 時点で使用されている新型コロナワクチンについて解説いたしします。


1.ドイツビオンテック/米ファイザー製やモデルナ製は、mRNAというウイルスの遺伝子コードの一部を注射することで人間の免疫システムを活性化して感染予防するワクチンです。

※有効性 90%


2.英国アストラゼネカ製は、チンパンジーがかかる風邪ウイルスを遺伝子操作したもので、「スパイクたんぱく質」と呼ばれる新型コロナウイルスの一部の「設計図」が含まれ、これを体内に接種することで生体はスパイクたんぱく質を作り始めます。


そして人の免疫系がこれを攻撃することを学習し、やがて実際に新型コロナウイルスが体内に入ったときには、同じようにこれを攻撃できるようになるワクチンです。


※有効性 76%


3.中国製ワクチンは、新型コロナウイルスを化学的に処理して不活性化した新型コロナウイルスの一部を使って体の免疫系を刺激する不活化ワクチンです。


※有効性 79%とされていますが、実際はもっと低いと考えられています※


※※妊婦に対する安全性や、高齢者や基礎疾患のある人への安全性と有効性のほか、承認後の安全性監視手続きで発覚した副反応の評価について、信頼できる科学的証拠が足りないとも指摘されています※※


4.ロシア製スプートニクスVワクチン


ロシア2020年8月、世界に先駆けて国産ワクチンのスプートニクVを承認し使用し始めましたが、最終段階の大規模な治験の結果が出る前だったため、安全性を疑問視されています。


このワクチンはアデノウイルスウイルスベクターワクチンで、コロナウイルスのタンパク質を作る遺伝子を改良したヒトの風邪ウイルスを使って体内に運び、免疫反応を引き起こす。


医学雑誌ランセット誌のコメントは批判の背景として、開発のスピードや透明性の欠如があったと指摘しています。


有効性は91.6%とされています。


まとめ


新型コロナワクチンの開発で、異なる有効性のデータが表れるのは中国製ワクチンだけでなく、スプートニクスV、英アストラゼネカ、ドイツビオンテック/米ファイザー製やモデルナ製も同様です。


問題は中国やロシアの開発メーカーは欧米企業に比べて安全性や試験に関する情報の開示が少なく、疑いを高めているということです。


2021年11月時点では、日本国内に置いて認可されたワクチンは、ファイザー製、モデルナ製、英アストラゼネカ製の三種類だけです。


中国製とロトア性ワクチンは日本国内では認可されておらず使用されていません。


日本製ワクチンは未だ1社も認可されていません。

2021年11月7日日曜日

2020年1年間のHIV感染者とAIDS患者数

 1.新規HIV感染者数・・・750人


2.新規AIDS患者数・・・345人


3.新規HIV感染者数と新規AIDS患者数総数・・・1095人


4.新規HIV感染者の感染経路と年齢層


・同性間感染・・・543人(全HIV感染者報告数の約72%)


・異性間感染・・・96人(全HIV感染者報告数の約12%)


・薬物注射・・・5人


・母子感染・・・1人


※年齢別では特に 20~40 歳代が多い※


5.新規AIDS感染者の感染経路と年齢層


・同性間感染・・・190人(全AIDS感染者報告数の約55%)


・異性間感染・・・57人(全AIDS感染者報告数の約16%)


・薬物注射・・・3人


・母子感染・・・0人


※年齢別では特に 30~50 歳代が多い※


6.まとめ


1)2020年の新規HIV感染者報告数は、2019年より減少しており、4年連続での減少となっていますが、新型コロナウイルス流行による検査者の減少が影響している可能性は否定できません。


2.新規HIV感染者及び新規AIDS患者報告の感染経路は、性的接触によるものが80%以上を占めており、やはり男性同性間性的接触によるものが多い。 


2021年10月31日日曜日

新型コロナウイルス-43.マスクの種類別の新型コロナウイルスの予防効果-

 まずマスクの正しい使用法とは、


1.マスクは鼻にフィットさせてしっかりとした着用を徹底し、感染リスクの比較的高い場面では、過能な限りフィルター性能の高い不織布マスクを着用し、三密のいずれも避け、特に人と人との距離は十分に取る。


2.いくらマスクをしっかりと着用していても、室内で会話時間は可能な限り短くし、大声は出さないように心がける。


3.当然換気には注意する。


国立研究開発法人・理化学研究所のスーパーコンピューター「富岳」によるシミュレーション結果から判明した、マスク着用者が吐き出す飛沫のカット率は以下のとおりです。


【マスク着用者が吐き出す飛沫のカット率】


1.不織布マスク・・80%


2.ウレタンマスク・・50%


3.布マスク・・66~82%


【他人から吐き出される飛沫のカット率】


1.不織布マスク・・70%


2.ウレタンマスク・・35~45%


3.布マスク・・30~40%


この結果からして不織布マスクとそれ以外のマスクの性能差、とりわけ頻用されているウレタンマスクの性能の低さは明白となっています。


この差からして感染力の非常に強いデルタ株でこの差はかなり大きいと推測されます。


※敏感肌や皮膚疾患があるため、かぶれ防止で不織布以外のマスクを選択している方は、不織布マスクと皮膚の間に綿ガーゼを挟む・マスクの接触部分の汗をこまめに拭くなどで、一定のかぶれ防止効果が得られます※


マスクでの感染予防において装着法が重要となります。


不織布マスクを着用する際には鼻の部分をフィットさせ、着用時はまずノーズピースをきちんとフィットさせ、そこを抑えたままプリーツを引き延ばして顎にかけ、最後に耳ゴムをかけることでマスクと顔面の隙間を過能な限り少なくすることが感染対策して重要となります。


外出は必要最低限しかしなかった、更に外食もせず、職場でも常にマスクをしていたが感染してしまったと嘆く話をよく耳にすることがありますが、これは何故なんでしょぅか?


これらを分析しますと以下のことが明らかになっています。


1.勤務先でマスクをしていたが、窮屈になり顎マスクにした時に隣席の人と会話をした。


2.休憩所や更衣室でマスクを外した時に他の人と会話をした。


3.混み合っていた喫煙所に入ってタバコを吸った時。


デルタ株が流行している現在1~3の行為は当然感染リスク高い行為となってしまいます。


また、ウイルス量が多いデルタ株の場合、当然ながらマイクロ飛沫感染のリスクが高まるため、室内の換気も今まで以上に重要となります。


換気を行う場合は、窓や扉を2ケ所以上開けて空気の流れを作ることが重要です。


窓が1箇所しかない場合は、空気の流れを作るために扇風機や換気扇を併用して空気の流れを作り換気できるようにすることです。

2021年10月24日日曜日

2021年冬インフルエンザ大流行の可能性!!??

 新型コロナウイルスが猛威を振るった昨季(2020~2021)はインフルが全くと行って良いくらい流行せず、今季(2021~2022)も2021年10月現時点で患者はほぼ報告されていません。

しかし日本感染症学会関連学会は、今季は流行の可能性があると予測していて、ワクチン接種を検討してほしいと呼び掛けています。


厚生労働省は2020年、秋から春にかけて全国の医療機関から届出があった患者数は9人で、流行の兆しは見られていないとしています。


ところが世界保健機関は、バングラデシュやインドなどで今夏に流行が確認されていて、海外では今後の流行を警戒する動きが出ており、英国政府は今年は例年の1.5倍の流行になる可能性があるとして注意を呼び掛けています。


日本感染症学会は、新型コロナウイルス感染防止で2020年から定着したマスク着用などの感染対策が効果を発揮したと指摘しています。


反面今季については、海外からの人の往来が再開されれば、世界中へインフルエンザウイルスが拡散されると懸念しています。


現時点ではインフルエンザと新型コロナウイルス感染症との症状の見分けがつかないことから、治療の遅れも懸念されています。


2019~2020年シーズン、インフルエンザに罹患した人は極めて少なかったことからして社会全体の集団免疫が形成されていないことから、一度流行が始まれば大流行する危険性が指摘されています。


個人的な意見となりますが、2021~2022年シーズンにおいても、インフルエンザワクチンの積極的な接種を推奨します。


ただしインフルエンザワクチンを接種するか否かは、メリット、デメリットを良く判断して決めてください。


日本感染症学会の『2021-2022年シーズンにおけるインフルエンザワクチン接種に関する考え方』のリンクページを以下に記載しておきますから、よくお読みください。


https://www.kansensho.or.jp/modules/guidelines/index.php?content_id=44


日本感染症学会 https://www.kansensho.or.jp/

2021年10月17日日曜日

新型コロナウイルス-42.新型コロナウイルス抗原検査キットについて-

 現在ネット等で販売されている新型コロナウイルス抗原検査キットは、国が承認した体外診断用医薬品ではなく、研究用として販売されている検査キットです。


この研究用検査キットは、感度や特異性など検査キットが本来有する性能等が確認されていません。


研究用検査キットは、新型コロナウイルス感染の有無を調べることを目的としているものではありません。


研究用検査キットの中には、あたかも国が承認したものであるかのような表示をしている物もあることから購入時には十分注意して体外診断用医薬品を購入してください。


【購入時の注意点】


薬局にて薬剤師に相談して必ず「体外診断用医薬品」と表示されたキットを購入してください。


2020年5月エスプラインSARS-CoV-2(富士レビオ)、2020年8月クイックナビ-COVID19Ag(デンカ株式会社)、2020年10月イムノエースSARS-CoV-2、キャピリア SARS-CoV-2(株式会社タウンズ)が順次承認を受けた、2021年10月現在14社16製品のイムノクロマト法による抗原簡易検査キットが承認されて薬局で販売されています。


【特徴】


・感度はPCR検査に比べてかなり低い。


・特異性は非常に高い。


【検査検体】


鼻の奥、鼻咽頭の中に綿棒を入れる「鼻咽頭ぬぐい液」の採取がもっとも感度がよい方法ですが、一般の人にはなかなか難しい手技であるため、「鼻腔ぬぐい液」を採取するのが一般的です。


【判定】


15~30分で結果が分かります、この時間はメーカ添付文書に記載された時間を厳守する必要があります。


・陰性・・・抗原検査陰性即ち感染していないことを正しく判定できる感度は約40~90%と製品ごとにばらつきがあります。


※無症状の場合、ウイルス量がとても少ない可能性があるので、感染していても陽性とならない「偽陰性」が起こることは否定できません※


※検査が陰性であっても新型コロナウイルス感染症の症状がある場合は、迷わず医療機関を受診してください※


・陽性・・・抗原検査陽性即ち感染しているを正しく判定できる特異度はほぼ100%です。


・判定保留・・・陰性又は陽性の判断がつきにくい場合ですが、再度検査をする必要があります。


【抗原検査を薬局販売した目的】


厚生労働省の承認を受けた新型コロナの抗原検査キットは、現時点では「健康なときに薬局であらかじめ購入しておき、症状が出た場合に自宅で検査をおこなう」という使い方を想定していますので、体調不良時に近所の薬局へ抗原検査キットを買いに行くのではなく、このような場合は薬局ではなく医療機関を受診する必要があります。


【購入時の注意点】


承認された抗原検査キットを購入する場合、薬剤師から検体の採取方法などの説明を受け、最後に内容を理解したかどうか確認する書類に署名が必要です。

2021年10月10日日曜日

新型コロナウイルスについて-41.デルタ株“空気感染”する?!-

 感染力が強いデルタ株の流行が主流になるにつれ"新型コロナは空気感染する"と考える人が多く出てくるようになりました。

新型コロナウイルスは本当に空気感染するのでしょうか??!!

今、わかっていることをまとめました。

2020年2月当初は新型コロナウイルスの感染対策にあたっていた日本の専門家は、下記のような感染の特徴に気付きました。

新型コロナウイルス流行の最初の頃、世界保健機関や各国の権威ある研究機関は、新型コロナウイルスの感染は、以下の2つと考えていました。

1.咳をしたり、大声を出した際に出される飛沫に含まれるウイルスからの"飛まつ感染"。

2.ウイルスが付着した手で鼻や口を触ることで感染する"接触感染"。

その後の感染経路を調査した結果、密閉された空間で一定の時間、ウイルスが含まれたごく小さな飛沫がしばらく漂い、それを吸い込むことで感染することが分かりました。

咳などで口から出た飛沫は、空気中に漂わずすぐに落ちてしまいますが、空間を漂う"マイクロ飛沫"による感染があることに気付いたのです。

この発見をもとに、日本で考え出された感染対策として、手洗いや消毒・マスク無しでの会話を避ける・「密閉・密集・密接」の3密を避けるという対策が生まれ、世界保健機関や世界各国の研究機関などでも紹介されるようになった訳です。

それでは感染力が強いと言われているデルタ株が主流になった現在、さらに感染しやすくなって"空気感染"が発生しているのでしょうか??

その前に空気感染とは どのような感染なのでしょうか。

感染者から体の外へ出た唾液などの飛沫が乾燥し、その中のウイルスが感染力を持ったまま空気に漂って広がり、これを吸い込むことで起きるのが空気感染と言います。

この空気感染は、直径5マイクロメートル(1000分の5ミリ以下)の"飛沫核"が数時間空中を漂い、同じ空間にいる人が吸い込んで感染することから、対策は極めて難しいとされています。

空気感染は同じ部屋の離れた場所で咳をしても、同じ部屋の中にいる多くの人が感染するとされています。

米国の疾病対策センター(CDC)によりますと、空気感染するのは結核菌・はしか・水ぼうそう・帯状疱疹の各ウイルスに限られているとしています。

はしかのウイルスの感染力は強く、感染対策を取らない場合、1人から12~18人に感染すると言われています。

新型コロナウイルスは、飛沫よりは小さいものの飛沫核ほど小さくはなく、一定の時間空間を漂うマイクロ飛沫での感染があるとされてきました。

米国疾病予防センターは、デルタ株の感染力や広がり方は、従来の株より2倍以上の感染力があり、ワクチン接種なしではより重症化する可能性があることなどウエブサイトには記載されていますが、"空気感染"についての記載は見当たりません。

日本国内でも政府の分科会が2021年8月中旬にまとめた提言でも「感染力の強いデルタ株で感染拡大が起きやすくなっている」と言いつつ、「主な感染様式はこれまでと変わらず、飛沫、もしくはマイクロ飛沫と考えられ、これまでの対策を徹底する必要がある」としています。

一方、米国疾病予防センターの内部資料では、従来の新型コロナウイルスでは、1人の患者は平均1.5人~3.5人程度に感染させていたのに比べ、変異株のデルタ株では平均5~9.5人程度に感染させる可能性がある記載されいて、最も高い感染力の場合には「水ぼうそうと同程度の感染力」がある可能性があると推定しています。

日本国内の専門家の多くは、デルタ株の感染力が強いが、現在時点では空気感染するという証明はされていないと発言しています。

デルタ株で感染力が強いのは患者が排出するウイルス自体の量が多いことが影響している可能性を指摘しています。

感染者から吐き出されるウイルス量が非常に多くなっていることから、あたかも空気感染するように見えるの可能性も否定できず、今後さらなる分析が必要とされています。

2021年10月時点において新型コロナウイルスは空気感染するという確たる証明はされていません。

しかし現実デルタ株には、空気感染を疑わせるほどの感染力があることは事実です。


2021年10月3日日曜日

抗体依存性感染増強とはなに

 抗体依存性感染増強(antibody-dependent enhancement:ADE)とは、ワクチンの接種などにより起こりうる現象です。


本来、ウイルスなどから体を守るはずの抗体が、免疫細胞などへのウイルスの感染を促進し、その後、ウイルスに感染した免疫細胞が暴走し、本来体を守るべきシステムがあろうことか症状を悪化させてしまうという現象ということになります。


現在抗体依存性感染増強の詳細なメカニズムについてはほとんど解明されていません。


これまでに、複数のウイルス感染症で抗体依存性感染増強に関連する報告が一部されています、例えば、重症急性呼吸器症候群(severe acute respiratory syndrome:SARS)や中東呼吸器症候群(Middle East Respiratory Syndrome:MERS)に対するワクチンの研究では、フェレットなどの哺乳類動物にワクチンを投与した後、ウイルスに感染させると症状が重症化したとの報告があり、これは抗体依存性感染増強が原因と考えられています。


今まで新型コロナウイルスに感染し、自然免疫を獲得した人の間では抗体依存性感染増強のような問題は見られないことが複数の研究で示されています。


しかし最近では新型コロナウイルスに感染すると、感染を防ぐ中和抗体ばかりでなく、感染を増強させる抗体(感染増強抗体)が産生されることが発見されています。


新型コロナウイルスワクチンによる抗体依存性感染増強の危険性は2020年から一部の専門家らにより指摘されてきましたが、影響はないとする見方が大半でした。


またデルタ株に関して、ウイルスのトレードマークであるスパイクタンパク質に対する親和性が驚くほど高まったことにより、ワクチンが感染を促進したと考えられています。


そのことからして一部の専門家は、新型コロナワクチン接種により、SARS-CoV-2感染時に抗体依存性感染増強が起こることを懸念しています。


ファイザー社、或いはモデルナ社のワクチンでは中和作用のある抗体が十分に産生され、Th1細胞活性化も誘導されるため、抗体依存性感染増強が起こる可能性は極めて低いと考えられています。


実際にこれらのワクチンは、感染防御だけでなく、重症化防止にも有効であることが証明されています。


そのことからして新型コロナワクチン接種により誘導される抗体が結合しにくい新規変異株の出現や、経年的な抗体価低下への懸念は当然残こりますが、抗体依存性感染増強によるデメリットがワクチンのメリットを上回る可能性はどの段階においても極めて低いと考えられています。