血液の鉄人の理解しやすく役立つ臨床検査の部屋 Headline Animator

2021年6月13日日曜日

新型コロナウイルスについて-29.イベルメクチンは新型コロナウルス感染治療に有効なのか?-

 新型コロナの変異株の蔓延で感染爆発が起きていたインドで、2021年5月を過ぎてから、その状況に変化が生じています。

インドの各州が抗寄生虫病の特効薬「イベルメクチン」の本格投与に踏み切ってから、感染者数・死亡者数ともに減少し続けています。

イベルメクチンは、大村智・北里大特別栄誉教授が発見、開発し、2015年にノーベル医学生理学賞を受賞した抗寄生虫薬です。

イベルメクチンは今、新型コロナコロナウイルスのパンデミックで再び世界中の注目を集めている。

試験管レベルの研究で、新型コロナウイルスがヒトの細胞内で増殖する際に、ウイルスのたんぱく質の核内移行を妨害し、増殖を抑制することが明らかにされています。

世界的に見てもその有効性が確認されています。

WHOはイベルメクチンは効果がないと言っていますが、これは信用できません。

その理由としては、WHOは以前、マスクは要らないという方針をとっていましたが、今は一転してマスクが重要だと言っています。

WHOの考え方はその時の政治的背景で左右されている可能性が高いです。

今のWHO言うことはあまり信用できません。

イベルメクチンの新型コロナへの効果が注目される端緒になったのはアフリカでした。

アフリカは医療体制が整っている国は少ないにも関わらず国によっては感染者数が思ったほど増えていない国があります。

内容としてはイベルメクチンを配った国は感染者が少なく、配っていない国は感染者が多かったという事実があります。

例をあげますとアフリカで「投与ありの国」の感染者数は、10万人当たり131人で、「投与なしの国」が925人となり、死亡者数は、投与国が10万人当たり2.1人で、投与していない国は28・4人と、13倍以上の開きがあります。

このデータからしてもイベルメクチンの有効性を推し量ることが出来るのではないでしょうか?

日本国内においての研究においても80%に効果があるというデータが得られています。

現在イタリア・イギリス・日本・フランス・アメリカなど、先進国も治験を開始していることからして、今後先進国の結果がオープンにされれば、イベルメクチンの使用に反対する一番の理由がなくなってしまうので、情勢は変化して効く使い方が明らかになってくると考えられています。

新型コロナウイルス感染者に対する有効な薬剤がない現在、副作用がほとんどなく、有効性の高いイベルメクチンの使用を国はもっと推し進めてほしいものです。

イベルメクチンの知名度はアビガンに比べて低いことと、本来は駆虫薬なので、新型コロナウイルスに効くという認識がほとんど持たれていません。

また新型コロナの治療なのにどうして虫下しの薬を飲ませるのかと、抵抗を抱いてしまう人も多いののが現実でしょう。

※日本ではイベルメクチンは厚生労働省の「新型コロナウイルス感染症COVID-19診断の手引き」に記載されている治療薬です※

2021年6月6日日曜日

新型コロナウイルスについて-28.新型コロナウイルスの国内製造ワクチンの現状-

 国内の主なワクチンの開発現状を簡単に解説します。

1.塩野義製薬 国立感染症研究所/UMNファーマ

コロナウイルスのタンパク質を遺伝子組み換え技術で作成(遺伝子組み換えワクチン)

※第Ⅰ/Ⅱ相試験を2020年12月から開始

2.第一三共 東大医学研究所

コロナウイルスのmRNAを使用(mRNAワクチン)

※第Ⅰ/Ⅱ相試験を2021年3月から開始

3.アンジェス 大阪大学/タカラバイオ

コロナウイルスのDNAを人に投与(DNAワクチン)

※2021年3月、第Ⅱ/Ⅲ相の参加者500人全員に接種が終わり、今後数カ月の経過観察をした後、2021年内に大規模な第Ⅲ相試験に入る予定

4.KMバイオロジクス 東大医科学研究所/国立感染症研究所

不活化したコロナウイルスを使用(不活性化ワクチン)

※第Ⅰ/Ⅱ相試験を開始(2021年3月)

いずれのワクチンもまだ第Ⅲ相試験が行われていないか、完了してないことから申請にはまだ先となります。

感染予防ワクチンは、有効性が高いことも必要ですが、安全性が更に必要となります。

2021年5月30日日曜日

新型コロナウイルスについて-27.ワクチン接種の際にシリンジを引く逆血の確認は必要なのか?-

 ワクチン接種をする三角筋などの筋肉注射では通常大きな血管はないため、海外では逆血確認のシリンジを引く必要はないとされています。

これはあくまで予防接種についてのみの場合です。

予防接種において、筋肉注射でも皮下注射でもシリンジを引くと「痛い」ので不利益を被る人のほうが多いことからCDCの予防接種ガイドラインにも逆血確認は必要ないと記載されています。

確かに一昔前まではワクチン接種で逆血確認が必要と言われていました。

しかし医学は日々進歩しており、時代とともに医学はどんどん新しい知識や知見を学んでいく必要があります。

予防接種の筋肉注射を受けて接種者が逆血確認のためにシリンジを引かなくても間違いではありません。

いつまでも旧態依然の方法に固執することは出来ません。

現在世界の多くの国々では、生ワクチン以外のワクチンはこの筋肉注射での予防接種が広く一般的に行われています。

これは痛みも少なく、ワクチンによっては効果もより高いからです。

人は誰でももそうですが、昔から慣習的に行っていることを急に変えるという事に躊躇する気持ちや不安になる気持ちを抱くのが常です。

ワクチン接種が多い小児科の分野では、以前より筋肉注射への理解や知識を深めようとする動きはすでに行われています。

筋肉注射は垂直に針を刺すことから見た目は痛そうに思われがちですが、実際は皮下注射と比べると痛みなども少なく利点が多いのです。

痛みは人それぞれ感じ方に差がありますから、筋肉注射が皮下注射より痛みが少ないというのは海外での研究や海外での経験からわかっている一般的な知識として申し上げています。

人によっては筋肉注射の方が皮下注射より痛いと感じる人もいて当然ですし、その逆もそうです。


2021年5月23日日曜日

新型コロナウイルスについて-26.新型コロナウイルスの変異株に対してワクチンはどの程度効果あるのか?-

 2021年5月12日、横浜市立大学の研究グループがファイザー製ワクチンを接種した医療従事者105人を対象に感染予防に役立つ中和抗体がどの程度作られているか調査した結果を発表しました。

2回接種では変異株別に見ると、

・イギリス株は94%

・南アフリカ株は90%

・ブラジル株は94%

・インド株は97%

・カリフォルニア株は97%

・ニューヨーク株は98%、

・E484K変異のある由来不明株は97%

・従来株は99%

の人に感染予防効果が期待できる量の中和抗体が確認されたということです。

このことは、2回のワクチン接種で90%以上の人に感染予防効果のある中和抗体が確認されたことになります。

1回接種では中和抗体の出来る割合は、平均で57%と低くなります。

この調査結果は調査対象者が100人と少ないことから、確定的に事は言えないと思いますが、取り敢えず感染予防効果があることが明らかになったことは明るい道がひらけそうです。

今後調査対象を増やしてさらなる分析が必要となります。

2021年5月16日日曜日

新型コロナウイルスについて-25.スポーツ庁が購入したという"空間除菌"をうたう空気清浄機の有効性について-

2021年5月現在、医薬品医療機器法(薬機法)にもとづいて新型コロナ対策を標榜できる空間除菌の家電や雑貨はありません。

従ってスポーツ庁が購入したという"空間除菌"をうたう空気清浄機は、新型コロナウイルスの予防には全く意味がありません。

※新型コロナウイルス感染症対策として"空間除菌"をうたう空気清浄機は、人への有効性や安全性が未確立な技術であり、その有効性は医学的には証明されていません※

空気中の新型コロナウイルス対策として、厚労省は「こまめな換気」のみを推奨してます。

感染症対策の専門家は、「空間除菌」については「不安ビジネスでもあり、人々や社会に負担を増やしているのはよくない」と、指摘してます。

スポーツ庁が購入すると国によるお墨付きがあるとの誤解を一般に与えることから、極めて問題であると言えます。

役人は専門的な知識もなく、専門家に相談すること無く、税金を無駄に使用しているとしか言えません。

本当に嘆かわしいことです。


2021年5月9日日曜日

新型コロナウイルスについて-24.インド変異株-

 2020年10月頃インドのマハラシュトラ州で出現

特徴としては、スパイクタンパク質にふたつの変異

南アフリカ型及びブラジル変異株にみられるE484K変異と米国カリフォルニア州で確認されたL452R変異が同時に見られる二重変異株で、B.1.617と呼ばれています。

世界20ケ国で見つかっている。

日本国内では2021年4月26日時点で21件見つかっている。

「二重変異株」とも呼ばれ、免疫が働きにくくなったり、感染力が強まったりする可能性があるが、ワクチンの効果への影響ははっきり分かっていない。

現在、世界で拡大している新型コロナウイルスの変異株の中には、特に注意すべきものとしてVOC(variant of concern:懸念される変異株)やVOI(variants of interest:注意すべき変異株)などがあります。

VOCにはイギリス由来、南アフリカ由来、ブラジル由来の変異株が指定されています。

VOIには先日フィリピンからの入国者から見つかった変異株や、前述のカリフォルニア株などが指定されています。

このインド由来の変異株B.1.617が今後VOCやVOIに指定されるかどうかについては、

・感染性の増加の有無

・重症度の増加の有無

・再感染リスクの増加やワクチン有効性低下の可能性

などについての情報が集積されるのをもう少し待たなければなりません。

2021年5月2日日曜日

新型コロナウイルスについて-23.空間除菌グッズに騙されないように!!その2-

 某メーカーのサイトには「ウイルスを99%除去できる」などといった宣伝文句が書いてありますが、これは空間除菌グッズに空気中を漂うウイルスや細菌を不活化させる一定の働きがあるのは本当ですが、これは限られた、実験室の条件下でウイルスを除去出来るということにほかなりません。

日常生活で実際に使用される環境下でウイルスを除去出来る性能を持っていなければ何の役にも立ちません。

要するに消費者が、「ウイルスを99%除去できるから新型コロナの感染予防にも役に立つのだろう」と誤解するのは消費者の勝手ということになります。

消毒剤や治療薬は、試験管内や動物実験で良い効果が得られて、実際に使用すると全く効果がなく、逆に害が大きかったりすることはよくあります。

そのために世に出るまでには、大規模な臨床試験で効果や安全性を確認します。

このような大規模な臨床試験で効果や安全性を調べるには、多くの時間と多くの費用がかかります。

そのことから、「効果がありそう」という誤解を維持させ続けたまま「雑貨」で売り続けているのです。

感染を予防する可能性を否定出来なくても、空間除菌をやることはやらないよりはましだと考える人もいますが、これは空間除菌に害がなければの話です。

ウイルスに影響を及ぼす薬剤で、人体にはまったくの安全という化学物質はほぼ存在しません。

短時間で空気中のウイルスを不活化できる濃度の化学物質は、同時に人に有害である可能性が大なのです。

被害を防ぐために安全性を優先して濃度を薄くすると今度は効果がなくなってしまいます。

販売されている商品がそれぞれの使用条件下で、ウイルスを不活化できるが人体に害のない適正な濃度を維持できるとは限りません。

そもそもそんな適正な濃度があるのかどうかも疑問なのです。

空間除菌製剤による健康被害は実際発生しています。

咳、呼吸器、悪心のほか、重症度の高いものとして首からぶら下げるタイプの空間除菌製剤によって化学熱傷が起きたという事例が複数報告されています。

これらの被害に対して、製造販売しているメーカーは、『適切に使用すればこうした事故は起こらない』と言うかもしれませんが、本当に感染予防効果が明確であれはその言い訳は通用するかもしれませんが、効能があるのかどうかもわからないのに、使い方を間違えれば重大事故が起きうる製品を使うのは極めて非合理的です。

健康被害の起きるリスクの高い"雑貨"を念の為あるいは万が一のときのために使用するにはあまりにもリスクが大きすぎます。

空間除菌グッズには、医学的には感染予防効果が証明されていないこと、使い方によっては重大な健康被害が発生することを製造販売しているメーカーははっきりと告知する義務があると思います。

新型コロナウイルスの大流行で、人々は藁をもすがる思い出で製品を買って感染対策をせざるを得ない人々の弱みに付け込むことは許されるべきではないと思います。

国も指摘するだけでなく、取締をしてほしいものです。

少し長くなりましたが、ご容赦下さい。