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2019年2月11日月曜日

HIV検査を受ける際の注意点-4.HIV検査の世代とは-

【検査で言われる何世代とは】

HIV検査でよくこの検査は何世代の検査という言い方をしますが、現在のHIV検査は第四世代の検査が殆どを占めています。

HIV検査が最初に開発された時は、第一世代検査と言われていましたが、その後改良が加えられて第二世代から第三世代そして第四世代となっています。

【現在のHIV検査の世代は】

2019年1月時点では、第一から第二世代の検査は使用されていません。

HIV抗体検査は第三世代、抗原抗体検査は第四世代となっています。

【現在使用されているは何世代なのか?】

2018年10月からほとんどの大手の病院では第四世代に切り替わっています。

検査センター(検査を専門に請け負う会社)では、すべてが第四世代に切り替わっています。

従って検査センターに検査を外注しているクリニックで検査を受けた場合は、第四世代となっています。

※クリニックで検査を実施している場合は、殆どが迅速検査ですから、この場合は第三世代抗体検査と第四世代抗原抗体検査のどちらかということになります※

※保健所での迅速抗体検査は、第三世代抗体検査と第四世代抗原抗体検査のどちらかということになります※

【HIV検査の世代による検出できるもの】

第一世代から第四世代のHIV検査で検出可能なものを一覧にしてみました。


2019年2月3日日曜日

HIV検査を受ける際の注意点-3.迅速抗原抗体検査-


【迅速抗体検査とは】

イムノクロマトグラフ法を用いて、血清、血漿及び全血中のHIV-1の抗原であるp24及びHIV-1とHIV-2抗体の検出をおこなう第四世代(抗原+抗体)のHIVスクリーニング検査試薬です。

【迅速抗体検査の種類】

日本国内では、エスプラインHIV Ag/Abとダイナスクリーン・HIV Comboの2キットが厚生労働省から認可受け使用されています。

【検査の特徴】

血清、血漿は検体滴下の1ステップ、全血は検体滴下1分後に全血展開液を滴下する2ステップ、と操作が容易であり、短時間(20分~40分)で結果が得られます。

さらに、イムノクロマトグラフ法でオート機器装置に匹敵するような高感度化を実現し、血液遠心分離機など検査設備が整っていない場所や状況においても、高感度なHIVスクリーニング検査を実施できるメリットがあります。

【検査の原理】

検体中にHIV抗体が存在していると、抗HIV抗体は、シート下部のセレニウムコロイド標識HIV抗原と反応し、抗HIV抗体-セレニウムコロイド標識HIV抗原の結合物を形成する。

この結合物はシート上を移動して、シート上部に固相化されたHIV抗原と結合し、固相化HIV抗原-抗HIV抗体-セレニウムコロイド標識HIV抗原のサンドイッチ型の結合物を形成する。

結果はシート上の判定窓に出現するセレニウムコロイド由来のライン(ダイナスクリーン・HIV Comboは赤色のライン・エスプラインHIV Ag/Abはブルーのライン)の有無により判定します。

【受ける時期】

HIV-1の抗原を検出するには、不安な行為から30~50日以内に受ける必要があります。

30日以前に受ければ感染していても抗原の量が少なく偽陰性となる可能性があります。

また、50日以降に受ければ感染していても抗原の量が少なくなっていることから偽陰性となる可能性があります。

HIV-1/-2の抗体は不安な行為から12週で受けないと信頼できる結果は得られません。

※HIV-2の抗原は検出することは出来ません※

【偽陰性反応】

どのような検査でも受ける時期が早すぎると、偽陰性反応は起きてしまいます。

HIV-1の抗原は不安な行為から30~50日以内にで受けることによって、偽陰性反応が起きることはありません。

HIV-1/-2の抗体は不安な行為から12週(84日)で受けることによって、偽陰性反応が起きることはありません。

【偽陽性反応の起きる原因】

判定を厳格にしすぎることから機械で行う抗原抗体検査に比べて、偽陽性反応が多く出現する傾向はどうしてもあります。

判定時間経過後のラインの出現を陽性と誤判定することがあります。

※判定時間は厳守する必要があります※

どのような時に起きるのかははっきり解明されていません。

HIVに感染していないのに毎回陽性となる人もいることも事実です。

【検体として利用する種類によって検査結果に差があるのか】

この検査は、全血・血漿・血清のいずれでも検査が可能です。

血漿・血清・全血を利用しての検査では、検出感度・特異度共に変わりがありません。

全血を使用すると赤血球の赤色の色調によって偽陽性反応の出現率が高くなる傾向が見られます。

2019年1月20日日曜日

HIV検査を受ける際の注意点-2.迅速抗体検査-

【迅速抗体検査とは】

ダイナスクリーン・HIV-1/2は、イムノクロマト法により、検体( 血漿、血清又は全血) 中の抗HIV-1抗体及び抗HIV-2抗体を検出する試薬です。

【迅速抗体検査の種類】

ダイナスクリーンは、アリーア メディカル株式会社から販売されています。

日本国内では、厚生労働省の認可を受けたキットはこれ一つだけです。

【検査の原理】

検体中にHIV抗体が存在していると、抗HIV抗体は、シート下部のセレニウムコロイド標識HIV抗原と反応し、抗HIV抗体-セレニウムコロイド標識HIV抗原の結合物を形成する。

この結合物はシート上を移動して、シート上部に固相化されたHIV抗原と結合し、固相化HIV抗原-抗HIV抗体-セレニウムコロイド標識HIV抗原のサンドイッチ型の結合物を形成する。

結果はシート上の判定窓に出現するセレニウムコロイド由来の赤色のラインの有無により判定します。

【受ける時期】

血液中に十分なHIV抗体が存在しないと、HIVに感染していても偽陰性反応を引き起こすことから、受ける時期が大切です。

受ける時期としては、不安な行為から12週(84日)で受ければ信頼できる結果が得られます。

【保健所では30~60日といっているが??!!】

HIVの感染していて検査で見つかるHIV抗体検査が血液中に産生されていれば、陽性となりますが、殆どの場合30日では偽陰性反応となってしまいますから、この時期検査を受けて陰性となっても感染していないとは言い切れません。

【不安な行為から30~60日で受けて陰性となったときの対処方法】

再度不安な行為から12週後に受けることです。

12週で受けて陰性であれば、HIVの感染はなかったことになります。

本当にHIVに感染していればこの時期に受ければ陽性となります。

※※真の陽性と判断するには確認検査で陽性となる必要があります※※

【保健所で30~60日で受ければよいというのは間違いか】

保健所で30~60日で受ければよいというのは間違いでもなく、間違っているとも言えません。

なぜならその理由は以下のとおりです。

・この時期受けて陽性となる人もいます。

・しかし感染していても陰性となる人の方が多いのも事実です。

・よくほとんどの人が見逃しているのは、不安な行為から30~60日で受けて陰性であっても再度3ケ月で受け直す必要があると言っています。

※※『再度3ケ月で受け直す必要がある』ことを見逃しているのです※※

早く検査を受けたい人のために30~60日でも検査を受けられると行っていると解釈しておくことです。

この時期に第3世代のHIV抗体検査を受けても、信頼できる結果は得られる確率は非常に低いということです。

【偽陰性反応】

どのような検査でも受ける時期が早すぎると、偽陰性反応は起きてしまいます。

不安な行為から12週(84日)で受けることによって、偽陰性反応が起きることはありません。

【偽陽性反応】

どのような検査でも偽陽性反応は起きます。

HIV抗体検査はHIVの感染している人を見つけるスクリーニング検査ですから、見逃さないように検出感度を非常に高くしていますから当然偽陽性反応は起きます。

これはスクリーニング検査の持つ宿命でどうしても無くすことは出来ません。

特にイムノクロマト法を利用した検査は、肉眼で判定することからどうしても判定者の主観に左右されてしまいます、その結果どうしても偽陽性反応の発現率が機械を使用した検査法に比べて高くなる傾向にあります。

【偽陽性反応の起きる原因】

判定を厳格にしすぎることから偽陽性反応が多く出現する傾向はどうしてもあります。

判定時間経過後のラインの出現を陽性と誤判定することがあります。

※判定時間は厳守する必要があります※

どのような時に起きるのかははっきり解明されていません。

HIVに感染していないのに毎回陽性となる人もいることも事実です。

【検体として利用する種類によって検査結果に差があるのか】

この検査は、全血・血漿・血清のいずれでも検査が可能です。

血漿・血清・全血を利用しての検査では、検出感度・特異度共に変わりがありません。

全血を使用すると赤血球の赤色の色調によって偽陽性反応の出現率が高くなる傾向が見られます。

【まとめ】

1.第3世代のHIV抗体検査は、不安な行為から12週(84日)で受けること。

2.30~60日で受けて陰性であっても、再度不安な行為から12週(84日)で受けること。

3.陽性となっても確認検査で陽性とならない限り、本当にHIVの感染しているとは言えな
い。

4.判定時間の厳守。

5.コントロールラインに必ず赤のラインが出ている必要があります。

2019年1月8日火曜日

HIV検査を受ける際の注意点-1.第3世代HIV抗体検査-

HIV検査を受ける際の注意点について数回に渡って解説いたします。

初回は第3世代HIV抗体検査についてです。

【第3世代HIV抗体検査とは】

現在利用されているHIV抗体検査は、第三世代の抗体検査で、第一及び第二抗体検査は現時点では日本では使用されていません。

第三世代の抗体検査は、HIV-1とHIV-2の感染抗体を検出する検査法です。

【第3世代HIV抗体検査の種類】

検査法としては、イムノクロマト法・EIA法・エライザ法などがあり、国内では数社のメーカから販売されています。

メーカによって検出感度に大差はありません。

【受ける時期】

血液中に十分なHIV抗体が存在しないと、HIVに感染していても偽陰性反応を引き起こすことから、受ける時期が大切です。

受ける時期としては、不安な行為から12週(84日)で受ければ信頼できる結果が得られます。

【不安な行為から30~60日で受けて陰性となったときの対処方法】

再度不安な行為から12週後に受けることです。

12週で受けて陰性であれば、HIVの感染はなかったことになります。

本当にHIVに感染していればこの時期に受ければ陽性となります。

※※真の陽性と判断するには確認検査で陽性となる必要があります※※

【保健所で30~60日で受ければよいと言っている理由とは】

保健所で30~60日で受ければよいというのは間違いでもなく、間違っているとも言えません。

なぜならその理由は以下のとおりです。

HIVの感染していて検査で見つかるHIV抗体が血液中に産生されていれば、陽性となりますが、殆どの場合30日ではHIV抗体の量が少ないことから偽陰性反応となってしまいますから、この時期検査を受けて陰性となっても感染していないとは言い切れません。

・この時期受けて陽性となる人もいます。

・しかし感染していても陰性となる人の方が多いのも事実です。

・よくほとんどの人が見逃しているのは、不安な行為から30~60日で受けて陰性であっても再度3ケ月で受け直す必要があると言っています。

※※『再度3ケ月で受け直す必要がある』ことを見逃しているのです※※

早く検査を受けたい人のために30~60日でも検査を受けられると行っていると解釈しておくことです。

この時期に第3世代のHIV抗体検査を受けても、信頼できる結果は得られる確率は非常に低いということです。

【偽陰性反応】

どのような検査でも受ける時期が早すぎると、偽陰性反応は起きてしまいます。

不安な行為から12週(84日)で受けることによって、偽陰性反応が起きることはありません。

【偽陽性反応】

どのような検査でも偽陽性反応は起きます。

HIV抗体検査はHIVの感染している人を見つけるスクリーニング検査ですから、見逃さないように検出感度を非常に高くしていますから当然偽陽性反応は起きます。

これはスクリーニング検査の持つ宿命でどうしても無くすことは出来ません。

【偽陽性反応の起きる原因】

どのような時に起きるのかははっきり解明されていません。

HIVに感染していないのに毎回陽性となる人もいることも事実です。

【まとめ】

1.第3世代のHIV抗体検査は、不安な行為から12週(84日)で受けること。

2.30~60日で受けて陰性であっても、再度不安な行為から12週(84日)で受けること。

3.陽性となっても確認検査で陽性とならない限り、本当にHIVの感染しているとは言えない。

2019年1月1日火曜日

新年のご挨拶

恭賀新年

昨年中は格別のご用命を賜り厚く御礼申し上げます。

本年も皆様方のお役に立てるよう頑張っていきますので、なにとぞよろしくご愛顧のほどお願い申し上げます。

2018年12月27日木曜日

免疫グロブリン検査-4.IgM抗体-

IgM抗体は5量体構造を持ち、補体結合性や凝集活性が強いが、IgG抗体と異なり胎盤透過性は無い。

IgM抗体は、IgG抗体が作られる時期になると産生量が低下し、半減期も5日と短いため感染症感染後に一過性に増加し直ぐに減少してしまいます。

その産生量は、IgG抗体に比較すると低値である。

IgM抗体に属する抗体には、同種血球凝集素、寒冷凝集素、ポールバンネル抗体、リウマチ因子、ワッセルマン抗体、グラム陰性菌体抗原に対する抗体などがある。

日常血清中のIgM抗体は感染症の診断のため感染要因に対するIgM型特異抗体として、測定されることが多い。

各種疾患の診断や、予後、重症度、経過観察などの目的でもIgM抗体は測定され、通常はIgG抗体やIgA抗体と組み合わせて判断される。

IgM抗体はFc部分を5個、Fab部分を10個とそれぞれIgG抗体の5倍もつため、補体結合性、凝集活性、オプソニン活性が強く細菌に対する免疫防御反応や、赤血球の凝集能などに強力な作用を及ぼしている。

分子量が大きいIgM抗体は、胎盤移行性がなく母親から胎児へ移行することがないため、新生児の血清濃度上昇は子宮内感染を受けたことを表しています。

【検査法】

免疫比濁法

【基準値】

男性:31~200mg/dl

女性:52~270mg/dl

※使用する機器や検査法によって若干異なる※

【高値】

急性感染症(初期)、自己免疫性疾患、多発性骨髄腫(IgM型)、単クローン性免疫グロブリン血症、高IgM症候群

【低値】

先天性無ガンマグロブリン血症、IgM欠損症、低ガンマグロブリン血症、多発性骨髄腫(IgM型以外)

【IgM抗体の特性】

感染症に対する抗体産生において、最初に産生されるのはIgM抗体で通常1~2ケ月のうちに減少し、その後順次IgA抗体、IgG抗体が産生されます。

【小児の基準値】

IgM抗体は免疫グロブリンのうち、Bリンパ球の成熟分化過程で最も早期に出現するクラスであり、生下時には活発な産生が行われており、血中濃度も成人レベルとほぼ同様ですが、その量は6~8歳で成人レベルに達する。

そして成人同様に、女性が男性に比べ高値になる傾向があります。




2018年12月19日水曜日

免疫グロブリン検査-3.IgA抗体-

IgA抗体は、形質細胞より産生され成人においては血中に存在する免疫グロブリンの約10%を占めています。

IgA抗体のほとんどは単量体ですが、二量体の分泌型IgAとしても存在し、唾液、涙液、鼻汁、気道・消化管分泌液、乳汁などの分泌液中に高濃度で存在し、局所免疫の中心として、感染防御や食物アレルギーの予防の働きを担っています。

IgA抗体は胎盤通過性はないので、出生直後はごく微量で、生後6ヵ月頃から徐々に産生され、思春期までにほぼ成人値となります。

IgA抗体は特に腸に多く存在しますが、これは食べ物一緒にウイルスや細菌などが侵入しやすいためだと考えられています。

【検査法】

免疫比濁法

【基準値】

90~400mg/dl

※使用する機器や検査法によって若干異なる※

【高値】

多クローン性: 慢性肝炎、膠原病、IgA腎症、ウィスコット・オルドリッチ症候群、慢性感染症、悪性腫瘍

単クローン性:IgA型多発性骨髄腫、形質細胞性白血病、IgA型無症候性M蛋白血症、H鎖病
【低値】

ブルトン型無γ-グロブリン血症、選択的IgA欠損症、IgA型以外の多発性骨髄腫、悪性リンパ腫、サルコイドーシス、毛細血管拡張型運動失調症、分類不能型免疫不全症、ネフローゼ症候群、ステロイド剤連用

【IgG抗体と新生児の関係】

母乳にはIgA抗体が特に多く含まれており、赤ちゃんを感染から守っています。

【小児の基準値】

生まれてすぐは10mg/dl以下で、加齢に伴い徐々に漸増し、15~18歳で成人レベルになります。