血液の鉄人の理解しやすく役立つ臨床検査の部屋 Headline Animator

2012年9月2日日曜日

A型肝炎検査-3.IgM-HA抗体検査-


HAVに感染すると血液中に発症の初期(1~4週間)からIgM-HA抗体が出現し、約3~6カ月後に消失します。

血液中のIgM-HA抗体を検査して陽性であれば、最近HAVに感染したことを意味します。

従ってA型肝炎の鑑別診断にはIgM-HA抗体の測定がより確実な手段となります。

【基準値】

測定方法:EIA法

単位:Cut off index

陰性  0.8未満

判定保留  0.8~1.1

陽性  1.2以上

【検査結果の解釈】

陰性  HAVに感染していない。

陽性  3~6ケ月以内にHAVに感染したことを意味します。

2012年8月26日日曜日

A型肝炎検査-2.HA抗体検査-


A型肝炎検査は、血液中のHAVに対する抗体を調べます。

血液を採取して、血液中にHA抗体(A型肝炎ウイルスに対する抗体)が存在しているかを調べます。

HAVに感染したA型肝炎患者の血液中には、発症の初期にはIgM-HA抗体が出現し、約3~6カ月後には消失します。

一方、IgG-HA抗体は、IgM-HA抗体にやや遅れて1~4週後に血液中に出現しますが、その後も長期間陽性を持続します。

HA抗体検査は、

①IgM-HA抗体検査

②IgG-HA抗体検査

の2種類の検査があります。

これら検査についての意義・検査結果の解釈等は、次回解説致します。

2012年8月19日日曜日

A型肝炎検査-1.A型肝炎とは-



A型肝炎はA型肝炎ウイルス(HAV:hepatitis A virus )によって起こされる急性のウイルス性肝炎です。

A型肝炎ウイルスの感染経路としては、A型肝炎に感染した人との接触、A型肝炎ウイルスに汚染された食品・魚介類、肛門を介したオーラセックスなどあります。

A型肝炎ウイルスの潜伏期は通常15-50日、平均で28-30日です。

症状としては、食欲不振、嘔気、嘔吐、腹痛、気分不快、発熱、頭痛などが挙げられます。

黄疸が現れる前に暗色の尿が出てから前触れ症状に続いて黄疸が現れ、黄疸の出現とともに、前触れ症状は消える場合もありますが、長引く場合もあります。

黄疸は日本人は肌が黄色いために分かりにくいですが、白い眼球の白目の部分が黄色く染まることから判断はできます。

黄疸などの症状が現れなくてもA型肝炎になっている場合がありますが、この場合は血液中のAST、ALTなどの肝機能検査や抗HAV抗体検査などをすることで感染の判断は可能となります。

A型肝炎ウイルスは、急性の肝炎を引き起こしますが、長期にわたる慢性の肝炎にはまずなりませんし、完治すれば、一生涯にわたる免疫を獲得することから、再度感染することはありません。

更にいつまでも感染源としてA型肝炎ウイルスを持ち続けることもありません。

※現在日本においては、A型肝炎ウイルスの流行はほとんど無く、発展途上国への旅行で、A型肝炎ウイルスに汚染された水・氷・女貝類・果物などから感染して帰国する人が多く見られます。

※肛門を口で愛撫するオーラルセックスで感染者(特に男性同性愛者)が多く発生しています。

2012年8月12日日曜日

C型肝炎検査-【附則】HCV感染予防ワクチンは何故出来ないか?-


多くのウイルス感染は、病原体であるウイルスに感染すれば、

1.感染指標となる感染抗体

感染の判断をするために調べる抗体(HCV抗体)

2.次回感染時にウイルスを無毒化する中和抗体(感染防御抗体)

が産生されます。

HCV の場合はHCVの外殻(エンベロープ)の一部が非常に変異を起こしやすいため、HCV に感染した宿主(人)がこの部分に対する抗体を作った時には、すでにHCVエンベロープのタンパク構造に変異が起こっているため、うまく抗原抗体反応を行うことができません。

このように、HCV には宿主に中和抗体(感染防御抗体)を作らせず、自分自身の身の保全を図っています。

このようにHCVは、エンベロープの変異を繰り返しながら持続感染状態を維持しています。

動物実験においても、感染させたHCVはエンベロープを次々と変化させて、生体の免疫機能の攻撃からうまく逃れて生存することが確認されています。

HCV はこのようなエンベロープの急速な変異を付く返す特徴を持っているため、現在のところ、感染を予防するために有効なワクチンや免疫グロブリンはまだできていません。

これは、HIVについても同じことが言えます。

2012年8月5日日曜日

C型肝炎検査-3.サブタイプ検査-


HCVは、いくつかの型に分類できます。

即ち、ジェノタイプ(genotype)とセログループ(serogroup)に分類できるということです。

これらの検査は、治療効果予測のために実施されます。

1.ジェノタイプによる分類(遺伝子型)

ジェノタイプ分類は地域別、疾患別のHCV型の頻度、感染源や感染経路の推定にも役立ち、C型慢性肝炎の病態把握、特にインターフェロンの治療効果の予測の上で重要な検査です。

HCVの遺伝子の塩基配列の類似性から分けられた遺伝子型で、1a型 1b型 1c型 2a型 2b型 2c型 3a型 3b型 4型 5a型 6b型に分類することができます。

日本では1b型が70%と多く、続いて2a型の20%、2b型の10%でこれ以外の型はごく少数にみられるに過ぎないことが明らかにされています。

2.セログループによる分類(血清型)

HCVの塩基配列の相違から作られる蛋白も異なり、それに対する抗体の違いから、その抗体を検出することによって分類する方法です。

1群(Group1):主に1a型 1b型 1c型
2群(Group2):主に2a型 2b型 2c型

※日本で見られるのは、主に1b型、2a型、2b型というタイプで、日本人に最も多いタイプは1b型ですが、インターフェロン療法の効果はあまり良くありません。

※インターフェロン療法の効果が最も期待できるのは、2a型と2b型のタイプです※

※ジェノタイプ検査は保険が通っていませんが、セロタイプ検査は保険適応となっています※

2012年7月29日日曜日

C型肝炎検査-2.HCV-RNA検査-


血液中のHCV遺伝子を検出する検査で、HCV(C型肝炎ウイルス)に感染しているかどうかの指標になります。

HCV抗体検査で陽性となった場合は、以下の区別をする必要があります。

1.現在HCVに感染していて体内にHCVが存在している状態(HCVキャリア)

2.過去にHCVに感染したが既に体内からHCVが排除された状態

HCVキャリアと過去に感染した人との区別を的確にするには、HCV抗体価を調べるのと同時にHCV-RNAの検出検査を実施する必要があります。

HCV感染既往者は、HCV抗体が陽性でも一般的には抗体価が低く、HCV-RNAは陰性ですが、HCVキャリアはHCV抗体が高く、HCV-RNAが陽性となります。

また、急性C型肝炎においてもHCV抗体の陽性化には感染後通常3ケ月を要するため、早期の確定診断には HCV-RNA定性検査を実施する必要があります。

現在HCV-RNA定性・定量検査法としては、リアルタイムRT-PCR法であるHCV-RNA定量(TaqMan)検査が広く採用されています。

【検査方法】 コバス TaqMan HCV 「オート」

【測定範囲】 1.2~7.8 LogコピーIU/ml

【基準値】 検出せず

【検査を受ける時期】 感染後約1週間後に血液中のHCV-RNAは検出可能となります。

2012年7月22日日曜日

C型肝炎検査-1.HCV抗体検査-


C型肝炎とは、C型肝炎ウイルス (HCV) に感染することで発症するウイルス性肝炎のひとつです。

C型肝炎ウイルス(HCV)が体内に侵入すると、身体はこれに対抗するためにHCV抗体という感染抗体つくります。

HCVは、直径55~57nmの球形をしたRNA型のウイルスで、HCV粒子は二重構造をしており、ウイルスの遺伝子(RNA)とこれを包んでいるヌクレオカプシド(コア粒子)、そして、これを被う外殻(エンベロープ)から出来ています。

HCV抗体とは、HCVのコア粒子に対する抗体(HCVコア抗体)、エンベロープに対する抗体(E2/NS-1抗体)、HCVが細胞の中で増殖する過程で必要とされるタンパク(非構造タンパク)に対する抗体(NS抗体:C100-3抗体、C-33c抗体、NS5抗体など)のすべてを含む総称です。

そのHCV抗体の有無及びその量(HCV抗体価)を血液検査によって調べるのがHCV抗体検査です。

HCV抗体陽性の人の中には、『現在HCVに感染している人(HCVキャリア)』と『HCVに感染したが治ってしまった人(感染既往者)』とが存在します。

そのため、HCV検査が陽性となった時は必ず、体内に今「HCVがいるかどうか」の精密検査が必要で、HCV抗原検査およびHCV核酸増幅検査を肝臓専門医によって調べて貰う必要があります。

HCV抗体陽性例のうち、HCV抗体「高力価」群では、その98%以上にHCV RNAが検出される即ちHCVキャリアですが、HCV抗体「低力価」群では、そのほとんどがHCV RNAは検出されないことから、ほとんどがHCVの感染既往例と判断されます。

HCVに感染した直後は、身体の中にHCVがいても、HCV抗体が作られる以前(HCV抗体陰性)の時期(HCV感染のウインドウ期)に検査を受ける場合もありますが、これは新規のHCV感染の発生が少ないわが国ではごくまれなこととされています。

C型肝炎は進行が極めて遅く、感染後10~20年たってから発病します。

急性肝炎では症状が現れず、気付かない人が殆どで、身体の中からHCVが排除されないまま無症候性キャリア(体内にウイルスがいるが障害が見られない状態)や慢性肝炎に移行します。

気付かないうちに病気が進行し肝硬変になると、10年後には70%の人が肝臓がんになります。

日本におけるHCV感染の原因は、20年ほど前までは注射針の共用や輸血用血液で大勢の人が感染した経緯があるので、1980年代以前に輸血を受けた人や針の使い回しで予防接種を受けた人は、症状の有無に関わらず検査を受けたほうがよいでしょう。

近年では、輸血時のHCV検査が行なわれているので、輸血によるC型肝炎は極めて少なくなってきています。

また、注射器の使い回しをしないことから予防接種や注射、採血からのHCV感染はありません。

【HCV抗体検査の受け方】

血液で調べます。

スクリーニング検査では、HCV抗原は測定せず、HCV抗体を測定して感染の有無をチェックします。

食事をしてからの検査でも何の問題はありません。

【基準値】

陰性(-)

※HCV抗体は感染後1ヶ月で血液中に現れるため、感染直後は陰性でも、1ヶ月後に陽性となることがあります※

※HCVの感染力は非常に弱く、現在では性行為での感染はまず無いと考えられています。