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2022年8月14日日曜日

新型コロナウイルス-66.ブレークスルー感染とは?-

 もともとブレークスルーとは「通り抜ける」という意味で、文字通りワクチンの網から「通り抜けて」感染してしまうことを言います。


新型コロナワクチンの場合は、2回目の接種から約2週間で十分な免疫の獲得が期待されるので、それ以降に感染した場合にブレイクスルー感染と呼んでいます。


新型コロナワクチンを接種してブレイクスルー感染が起きることから、ワクチンを接種しても意味がないのでしょうか?


いいえワクチン完全接種者では、ワクチン未接種者よりも生存可能なウイルスの排出期間が短く、2次感染率が低いことが示されていますからワクチン接種は意味があります。



ある調査から明らかになったことは、2,717人のブレイクスルー感染者のうち、10人(0.37%)の死亡を確認され、年代はすべて60代以上でしたが65歳未満の死亡者はゼロでした。


一方、103,357人のワクチン未接種の感染者のうち、366人(0.35%)の死亡を確認されています。


60代以上の死亡割合についてワクチン接種の有無で比較すると、ワクチン未接種の感染者の死亡割合は4.22%であり、ワクチン接種後の感染者の死亡割合は、0.76%と明らかに差が認められています。


ブレイクスルー感染はどうしても一定程度発生しますが、ワクチンを2回接種することで、死亡や入院に至る率が低下することがわかっています。


そのことから、ワクチンには死亡や重症化による入院を防ぐ有効性があります。


更にワクチン完全接種者では、部分的接種者/ワクチン未接種者よりも生存可能なウイルスの排出期間が短く、2次感染率が低いことが示されてます。


【参考資料】

『 ワクチン接種および非ワクチン接種者における感染性SARS-CoV-2放出動態』

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2022年8月7日日曜日

サル痘-4.従来の症状と異なる新たな症状-

 世界保健機関の報告ではこれまでに75ケ国から16000件以上の症例が報告されてます。


一方米疾病対策センター(CDC)によると、2022年7月29日時点の感染者数は5189人と報告されています。


欧米を中心にサル痘ウイルスの感染拡大がまることなく、2022年7月末時点で米国の感染者数はスペインを抜いて世界最多となり、スペイン、ブラジル、インドでは死亡者が出ています。


ロンドンの重大感染症センター(High Consequence Infectious Diseases :HCID)で最初に確認されたサル痘患者197例のデータを解析してその特徴や症状をイギリス医師会誌ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(British Medical Journal:BMJ)(2022; 378: e072410)に報告しています。

 【参考資料】

『2022年のアウトブレイク中のロンドン中心部のセンターにおけるヒトサル痘の臨床的特徴と新しい症状:説明的なケースシリーズ』


その結果ほぼ全例が男性間性交渉者(MSM)であることに加え、直腸痛や陰茎浮腫、孤立性の皮膚病変、扁桃浮腫、皮膚病変が全身症状に先行する症例など、これまでサル痘ウイルス感染の典型とされていなかった新たな臨床的特徴が確認されています。


アフリカにおける従来のサル痘はワクチン未接種の幼児を中心に発生していましたが、今回の症例は全例が男性で、年齢中央値は38歳(範囲21~67歳)、1例を除きゲイやバイセクシャルなどのMSMとの解析がなされています。


更に従来の流行と異なり、直腸痛と咽頭痛、陰茎浮腫が高頻度に認めらています。


皮膚粘膜病変の発生部位は性器(56.3%)、肛門周囲(41.6%)に偏っています。


これらのことからして従来の流行と異なり他疾患と誤認されやすい臨床像が多く含まれていて、サル痘の鑑別に支障をきたしています。

2022年7月31日日曜日

新型コロナウイルス-65.ケンタウロス-

 新型コロナウイルスのケンタウロスとは、新型コロナウイルスのオミクロン株の一種"BA.2.75"のことです


 新型コロナウイルスのオミクロン株の一種"BA.2.75"がインドを中心に増えています。


"BA.2.75"は2022年6月2日世界で初めてインドで確認されています。


世界の多くの地域では日本でもほぼ置き換わったオミクロン株の"BA.5"が主流で、"BA.2.75"の感染力や感染した場合に重症化しやすいかなどは現時点でははっきり分かっていません。


"BA.2.75"は、日本国内で2022年6月まで感染の中心となっていたオミクロン株の"BA.2"系統の変異ウイルスです。


欧州疾病予防管理センター(European Centre for Disease Prevention and Control:OEDC)"BA.2.75"を「注目すべき変異株=VOI」に位置づけていますが、7月15日の報告では、感染力や免疫への影響、感染した場合の重症度はまだはっきりとはしていませんが、"BA.2"や"BA.5"よりも強い可能性はある程度想定されています。


"BA.2.75"は"BA.2"と"BA.5"の両方の特徴を持っていることから、ギリシャ神話に登場する上半身は人、下半身は馬の怪物、「ケンタウロス」と呼ばれています。


ケンタウロスという呼び方は世界保健機関が正式に命名したものではなく、研究者たちの間やSNS等で使用されるうちに普及した名称です。


日本だけでなく世界的に"BA.2.75"はケンタウロスと呼ばれていますが、名付け親は不明です。


"BA.2.75"は日本国内では、2022年7月時点で東京都や大阪府、神戸市ですでに確認されています。

以下に参考サイトを紹介しておきます。

『新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の変異株BA.2.75系統について』


2022年7月24日日曜日

帯状疱疹-2.帯状疱疹ウイルスとは-

 帯状疱疹は、水ぼうそうと同じウイルスの"水痘・帯状疱疹ウイルス"が引き起こす病気です。 


水ぼうそうになると、治った後もウイルスは症状を出さない状態で体内に潜み続けていることから、水ぼうそうになったことのある人なら、ウイルスが体内に潜み続けているため、帯状疱疹になる可能性があります。


初感染後の"水痘・帯状疱疹ウイルス"は、脊髄後根神経節に潜伏感染し宿主は長期間、無症状に過ごすし、加齢・過労・ストレスによって活動して帯状疱疹を引き起こします。


"水痘・帯状疱疹ウイルス"の保有者であれば誰でも帯状疱疹になる可能性があります。


日本人の殆どは幼少期に水ぼうそうに罹患しているため、日本の成人の90%以上の人がこのウイルスを保有しています。


活性化した"水痘・帯状疱疹ウイルス"は、潜伏している神経細胞の奥から体内の神経を経由して体表に出てこようとすることからまず神経が痛み(神経の炎症)、その皮膚の炎症が発症するという順序で帯状疱疹は進行します。


1度目の発症を水ぼうそう(水痘)と呼び、2度目の発症を帯状疱疹と呼びます。


帯状疱疹は1度発症すると、"水痘・帯状疱疹ウイルス"に対する強い抗体ができますので、再発することはほとんどありませんが、中には数年後に再発することもあります。


この原因は、免疫力の低下と関係があります。


帯状疱疹は、他の人に帯状疱疹として感染ことはありません。 


帯状疱疹の患者から、水ぼうそうにかかったことのない乳幼児などに、水ぼうそうとして感染することがあります。

2022年7月17日日曜日

帯状疱疹-1.増加傾向にある-

 50歳を過ぎると発症率が上がる病気で、日本人が一生涯のうちで、大体3人に1人が経験するという非常に多くみられます。


2021年に入ってから、皮膚科では帯状疱疹にかかる人が多くなっていると指摘されています。


その原因としては、新型コロナウイルスに感染し発症で体力が落ちることや、新型コロナウイルス流行によるストレスが増えたと考えられています。


外出制限や在宅勤務で運動量が減れば体も弱り抵抗力が低下する可能性があり、帯状疱疹を発症するリスクをともなっています。


従来は加齢などで発症が増える傾向にありましたが、近年は若年層でも目立ち、コロナ禍で拍車がかかっている恐れがあります。


生活スタイルが激変することもストレスになり、生活リズムを崩して睡眠不足になったりしても、免疫力が低下することから発症します。


人によっては痛みが長期間続くこともあり、医師らは早期治療とワクチン接種の重要性を呼び掛けています。


2022年7月10日日曜日

新型コロナウイルスについて-65.新型コロナウイルス再流行のおそれ-

 新型コロナウイルスの感染が全国各地で再び増えつつあります、新規感染者数は5月中旬から減少傾向が続いていましたが、ここ1週間平均を見ると、32都府県で前週より増加傾向にあります(6月30日時点)。


その原因はオミクロン株の変異株のひとつ「BA.5」への置き換わりが進んでいることと、一時期感染者が減少したために自粛ムードが緩んだことにあります。


従って油断するといっきに感染者が増える恐れがあります。


6月20日までの1週間にBA.5の疑い例は25・1%を占め、前週の13・6%から倍増しつつあります。


今まで流行の主流だったBA.2に代わり勢力を伸ばしつつあることが増加の要因となっています。


世界保健機関は、オミクロン株の「BA.4」と「BA.5」がヨーロッパやアメリカ大陸で主流となり世界で確認された新型コロナウイルスの新規感染者数がこの2週間で30%近く増えたと発表しています。


米国疾病対策センターは、2022年7月2日現在、アメリカで新たに報告された新型コロナウイルスの感染者のうち、オミクロン株の「BA.5」の割合は53.6%、「BA.4」の割合は16.5%で合わせて70%を超えたと発表しています。


欧州疾病予防管理センター(European Centre for Disease Prevention and Control:ECDC)はBA.5が、BA.2よりも12~13%感染者が増えやすいと報告しています。


さらにこれまでに体が免疫を獲得していても、BA.5系統には働きが悪くなると指摘されています。


2022年7月7日時点で全国の感染者数は47977人となっています。


これから人流が大幅に減るなど感染者数が大きく減少する要因がなければ、1か月後の来月25日でも一日およそ1万5000人と高い水準が続くという計算結果となることが発表されています。

呉れ呉れも機を緩めずに感染対策をして下さい。

2022年7月3日日曜日

2022~23年季節性インフルエンザ大流行の危惧

 2022年これから本格的な冬シーズンに入るオーストラリアで、直近2年はほとんど流行しなかった季節性インフルエンザの患者報告数が増えています。


すでに過去5年でもっとも多かった2017年のピーク時と並び、3月から報告が増え始め5月に入ると1週間あたり約5000人を超え、同月末には同約25000人に急増しています。


これは過去5年で最も流行した2017年8月中旬のピーク時とほぼ同じ水準となります。


流行の原因は、新型コロナウイルスへの対策が緩和されたことが影響しているとの見方もあり、専門家は、日本でも冬のインフルエンザ流行に備える必要があると、警戒をよびかけています。


日本国内においても2022年6月21、22日に東京都内の小学校で2年3ケ月ぶりとなるインフルエンザによる学年閉鎖がされています。


2022~23年にかけてのインフルエンザ流行期には、日本国内での大流行が危惧されています。


一般的にインフルエンザは、南半球で流行後北半球で同様に流行する傾向が強いことから、流行のなかった日本ではインフルエンザに対する免疫がない人が多いことから大流行の可能性が専門家の間で指摘されています。


【ご注意】


インフルエンザは冬場だけでなく、夏場の流行もあります。


数年前にも沖縄で流行がありました。


一昔前までは夏場にはインフルエンザキットは殆どなく、発熱患者にはインフルエンザ検査キットを使用できませんでしたが、現在は通年にわたりインフルエンザ検査キットは流通していますから、検査してインフルエンザと分かるようになってきています。


日本ワクチン学会は、2022年6月23日に『2022-23 シーズンの季節性インフルエンザワクチンの接種に関する日本ワクチン学会の見解』を学会ホームページで公開し今季インフルエンザワクチンの接種を強く推奨しています。


参考サイト

『2022-23 シーズンの季節性インフルエンザワクチンの接種に関する日本ワクチン学会の見解』

日本ワクチン学会