血液の鉄人の理解しやすく役立つ臨床検査の部屋 Headline Animator

2016年12月25日日曜日

ヘルペスウイルスについて-7.HHV-4(エプスタイン・バール・ウイルス=Epstein-Barr virus:EBV)ー

【HHV-4とは】

ガンマヘルペスウイルス亜科に属するウイルスの一種です。

HHV-4は、伝染性単核球症(伝染性単核症)を引き起こすウイルスです。

日本では2~3歳までに70%が感染し、 20代では90%以上がこのウイルスの抗体を持つという調査結果があります。

HHV-4の感染者の約15~20%は、無症状の状態でウイルスを持っており、唾液中に排泄している事からして、感染予防を行うことはまず不可能です。

言い換えれば、ほとんどの成人はすでに、小児期に感染して、抗体を持っていることからして、 特に感染予防法は無いのが実際です。

一度感染して症状が治まれば、再感染はしませんが、ヘルペスと同じように免疫力が低下した場合、発病することもあります。

【HHV-4の感染源と感染経路】

思春期以降は唾液を介して感染することから、多くはディープキスによって感染することから"キス病"とも呼ばれています。

ディープキスや飲み物の回し飲みなどから、唾液を介して口から感染します。

小児期に感染していない人が、HHV-4を含む唾液が口の中にはいると、ほぼ100%感染し、50%の人が発病します。

【HHV-4の感染の症状】

一般に、「発熱」、「咽頭痛」、「リンパ節腫脹」の三徴を特徴する症状が現れます。

1~2歳程度の幼少児の初感染では、発熱と口蓋扁桃の膿栓(白苔)を伴った腫脹・発赤が見られる程度の症状を呈さないことからして、この年齢の幼少児の初感染では伝染性単核球症と診断されないことが多く咽頭炎または扁桃炎と診断されている症例が多いのが実情です。

青年期あるいはそれ以上の年齢で初感染した場合は、発熱・全身倦怠感・口蓋扁桃の発赤腫脹・咽頭痛・全身特に頚部のリンパ節腫脹・肝脾腫を引き起こします。

【HHV-4の治療】

幸いな事にほとんど自然に治ってしまいます。

思春期以降に感染した場合、約50%が発病しますが、約4~6週間で症状は自然になくなると言われています。

6ヶ月以上症状が続く場合は重症化している可能性があり、注意が必要ですので受診されることです。

【検査を受ける時期】

唾液を介するオーラルセックスの後、4~6週後に症状が出ますので、その際に受診して検査を受けることです。

しかし、感染しても症状が出ない人もありますから、検査を受ける時期を判断するのは難しいです。

【HHV-4の検査】

血液検査では、ほとんどの症例でAST・ALT値の上昇が見られることから、肝炎と診断を誤ることがあります。

白血球総数は、正常かやや増加、好中球数は正常かやや減少し、リンパ球の著しい増加、異型リンパ球の出現(5%以上になることが多い)が特徴的です。

抗EBV EA-IgG抗体または、抗EBV VCA-IgM、抗EBV VCA-IgG抗体、抗EBNA-IgG抗体の抗体価を測定する。

抗EBNA抗体が初感染後、数ヶ月を経ないと出現しないのに対し、抗EA、VCM抗体は急性期にも出現します。

【感染パターンの分類】

1.初感染パターン

抗EBNA抗体陰性、抗VCA-IgGまたは/かつIgM抗体陽性となりますが、抗EA抗体は偽陰性が多いが、EA陽性ならば急性感染の可能性が高い。

2.既感染パターン

抗EBNA抗体陽性、他の抗体は(通常)陰性となれば、このような場合は症状の原因としてEBV感染は考えにくい。

EBウイルスについては、抗CMV-IgGおよびIgMを調べたり(IgM陽性例は急性感染の可能性が高い)、血液中のEBウイルスDNAを核酸増幅法(PCR)で調べることもある。

【治療】

伝染性単核球症に特異的な治療法はなく、対症療法が中心となります。

抗生物質は、伝染性単核球症それ自体には効き目がありません。

しかし、伝染性単核球症になると、比較的高率に細菌による混合感染を起こすことがあるので、血液検査所見から細菌による混合感染が疑われた場合には、抗生物質の投与を行います。

発熱が長期に持続する、全身状態が著しく不良である、血球減少が見られ血球貪食症候群の合併が懸念される、などの重症で例では、副腎皮質ステロイド投与やガンマグロブリン大量投与が行われることもあります。

【HHV-4とHIVの関係】

HHV-4感染は、性行為感染症でありませんので、HHV-4に感染してもHIVに感染しやすくなることはありません。

2016年12月19日月曜日

ヘルペスウイルスについて-6.HHV-5(ヒトサイトメガロウイルス)ー

【HHV-5とは】

ベータヘルペスウイルス亜科に属し、ヒトサイトメガロウイルス(human cytomegalovirus:HCMV)と呼ばれています。

※サイトメガロウイルス(CMV)とも呼ばれます※

※本稿ではサイトメガロウイルス(CMV)と呼ばずにHHV-5として解説していきます※

宿主の細胞の核内に光学顕微鏡下で"フクロウの目(owl eye)"様の特徴的な封入体を形成する特徴があります。す。

※封入体とは、ウイルスに感染した細胞の核内にみられる顆粒状の異常な構造物のことをいいます※

このウイルスは種特異性が強く、ヒト以外の動物には感染しません。

日本人の場合、乳幼児期の感染率が高く大多数の人が感染し抗体を持っていることから再感染することはありませんが、ヘルペスと同様に再発することはあります。

健康な人は感染しても症状が出にくいですが、乳幼児期に感染していない人で、性的に活発な若い成人層に感染が多いとされています。


【HHV-5の感染源と感染経路】

HHV-5は、感染者の体液(唾液、涙、母乳、尿、便、血液、腟液、精液など)に周期的に排出され、これらの体液との密接な接触により感染します。

したがって性行為・オーラルセックスによって感染する。

以上のことから性行為感染症のひとつに分類されています

感染方法としては、

1.先天性感染

妊娠中に母親が初めて感染して、それが胎盤を通して胎児に感染した場合に、出産時に異常がある場合が1割程度あります。

2.後天性感染

感染者の体液(唾液、涙、母乳、尿、便、血液、腟液、精液など)に周期的に排出されるこれらの体液との密接な接触により感染します。

ただし、乳幼児期などに一度感染していれば再度感染することはありません。

一度感染すると再度感染しませんが、体内にHHV-5が潜んでいるため免疫力が低下すると症状が出ることがあります。

【HHV-5の感染の症状】

男女ともに同じような症状が出ます。

主な症状としては、

倦怠感(だるさ)
発熱
のどの痛み
首のリンパ節のはれ
湿疹が出る
肝臓や脾臓の拡大、肝機能異常など

【HHV-5の治療】

治療薬としてはガンシクロビル、フォスカーネット、シドフォビル、バラシクロビルなどの抗ウイルス薬、抗CMV高力価免疫グロブリン、ヒト型抗CMV単クローン抗体などあります。

【検査を受ける時期】 

ウイルスを含む体液や血液に接触してから、20~60日後に症状が出ますが、感染しても全く症状のでない人もあります。

検査を受ける時期としては、ウイルスを含む体液や血液に接触してから、20~60日後に受ける必要があります。

また、何らかの自覚症状を感じたら医療機関で早期診断を受ける必要もあります。

【HHV-5の検査】

1.mRNAを検出するNASBA (nucleic acid sequence based amplification )法
2.ウイルス抗原を検出するantigenemia 法
3.DNA 検出するPCR 法
4.直接ウイルスを分離する方法
5.抗体検査

【抗体検査の判定方法】

○IgM陰性、IgG陰性の場合・・・過去・現在において感染なし。

○IgM陰性、IgG陽性の場合・・・過去にCMVに感染経験があり、既にCMVに対する免疫を保持しており、CMVは体内に潜んだ状態になっていると考えられる。

○IgM陽性、IgG陰性の場合・・・最近CMVに初めて感染したこと考えられます。。

○IgM陽性、IgG陽性の場合・・・比較的最近CMVに感染したと考えられますが、それが初感染か再感染または再活性化かの区別はできません。

【HHV-5と妊娠】

妊娠中にHHV-5に初感染すると、胎児に先天性の障害が発生する可能性があります。

最近では、妊娠可能な年齢の女性における抗体保有率が90%~70%まで下がっていることが明らかになっていることから、妊婦の間でHHV-5の初感染者が増えていまする。

したがって妊娠前にはHHV-5に感染した既往があるかを知っておく必要があります。

【HHV-5とHIVの関係】

AIDSで死亡した人の約70%以上にHHV-5感染が見られています。

HHV-5に感染しているとHIVに感染しやすくなるのではなく、HIVに感染して体の免疫機能が低下することにより、 HHV-5に感染しやすくなると言うことです。

2016年12月12日月曜日

ヘルペスウイルスについて-5.HHV-3(水痘・帯状疱疹ウイルス)-その2.帯状疱疹について-ー

【帯状疱疹の感染源】

水痘が治癒した後に脊髄知覚神経節に潜伏感染したHHV-3が回帰発症して起こります。

また加齢、免疫抑制剤の使用等、細胞性免疫の低下によって潜伏しているHHV-3が再活性化し発症します。

※体内に侵入して感染したHHV-3は、感染者が免疫不全や体調不良に陥ると体内に潜むHHV-3は、再び目覚め(再活性化する)帯状疱疹を引き起こします、これを回帰発症と言います※

【帯状疱疹の症状】

ほとんどの場合、体の左側か右側のどちらか片方の神経に沿って帯状にあらわれ、体の両側にまたがることはほとんどありません。

虫に刺された様な、あるいは虫に噛まれたような痛みと赤いひとつの発疹が出来るのが最初です。

その後チクチクとした痛みが増し、痛みを感じた場所にブツブツとした赤い発疹ができ、小さな水ぶくれとなって帯状に広がっていきます。

この症状は、特に胸から背中、腹部などによくみられ、顔や手、足にも現れます。

この症状が現れるのは体の左右どちらか片側だけ、一度に2ヵ所以上の場所に現れることはほとんどありません。

約1週間水疱は痂皮形成し、2~3週間で色素沈着を残して治癒します。

【帯状疱疹の治療】

対症療法により2~3週間で治癒します。

薬剤としてはアシクロビル、ビダラビン(Ara-A)が有効です。。

※帯状疱疹治癒後の後遺症として,三叉神経第1枝や肋間神経に生ずる持続性で刺すように痛みが続くヘルペス後神経痛(「帯状疱疹後神経痛」)が起こることが多いです※

治りにくく1年以上も痛みが続くこともあります。

【帯状疱疹は他人に感染するのか】

帯状疱疹が他人に感染することはあまりありません。

しかし、水疱の中にはHHV-3が存在し、水痘にかかったことがない人には感染する可能性もあります。

この場合の感染は、帯状疱疹の症状ではなく、水痘と同じ症状が出ます。

帯状疱疹の水疱が治るまでは、水痘に感染したことのない赤ちゃんや子供、妊婦には接触しないようにする必要があります。

【水痘・帯状ヘルペス検査】

水痘・帯状ヘルペス抗体検査にはCF法、EIA法によるIgM抗体とIgG抗体検査があります。

初感染である水痘を疑う場合は、IgM抗体またはCF法ペア測定を行います。

再活動の帯状疱疹ではIgG抗体ペア測定を行います。

リアルタイムPCR検査もあります。

【ワクチンについて】

帯状疱疹に使われるワクチン(Zostavax)は、日本では使用されていません。

アメリカで使用されている帯状疱疹に使われるワクチン(Zostavax)と、水ぼうそうに使われるワクチン(Varivax)では濃度が全く異なります。

Zostavaxの濃度はVarivaxの10倍以上含まれています。

そのことから帯状疱疹ワクチン(Zostavax)を、水痘予防のために子供に接種することはありません。

水痘ワクチン(Varivax)を帯状疱疹の予防のために使用することもありません。

日本においては、帯状疱疹専用のワクチンは存在しますが、未だ広く認識されていないことから、費用は自費負担(2016年4月の時点)となり、およそ6,000~9,000円のところが多いようです。

※2016年3月から、現在まで水痘の予防の目的で使われていた乾燥弱毒生水痘ワクチン(「ビケン」)が、50歳以上の人に限って、帯状疱疹の予防にも使えるようになっていますので、帯状疱疹の予防について心配な方は、医師に相談されることです※

次回はHHV-6(ヒトサイトメガロウイルス=human cytomegalovirus:HCMV)について解説いたします。

2016年12月5日月曜日

ヘルペスウイルスについて-4.HHV-3(水痘・帯状疱疹ウイルス)-その1.水痘について-ー

水痘・帯状疱疹ウイルスは、α-ヘルペスウイルス亜科に属するウイルスで、HHV-3と呼ばれますが別称としてVZV(Varicella Zoster virus)とも呼ばれています。

ヒトに対して水痘(Varicella)と帯状疱疹(Zoster)を引き起こすウイルスです。

このウイルスは、初感染としては水痘を発症します。

水痘が治癒した後は、脊髄後根神経節に潜伏し続け何らかの原因で免疫力が低下するとウイルスが再び活性化し、帯状疱疹を引き起こします。

顔面神経の膝神経節に潜伏していたものが再発した場合は、皮膚症状・顔面神経麻痺・難聴・めまいを引き起こします。

【水痘の感染】

患者の鼻腔粘液、水疱からでる浸出液との接触で感染します。

典型的な症状を引き起こす1~2日前から空気感染(飛沫感染)します。

潜伏期は11~21日です。

【水痘の症状】

顔から発疹が出始め、有髪頭部から体全体に出現し、やがて手足全体にも出現します。

発熱は発疹の出現する最初の3~4日のみ認めることが多いです。

発疹の出始めは、小さい紅疹で数時間で丘疹となりやがて水泡に変化していきます。

痂皮の脱落まで1~2週間かかります。

※すべての発疹が痂皮となれば、他人に感染させることはありません※

【痂皮とは】

皮膚の表面出来た小水疱、水疱あるいは膿疱が炎症を起こし破れ、壊死塊またはびらん面の分泌物が凝固して一時的に表面を覆ったものを言います。  

【水痘の終生免疫】   

HHV-3に感染して水痘となり、完治すれば終生免疫を獲得し、二度と水痘になることはありません。

しかし、回帰発症と言われるものがあります。

それが帯状疱疹です。

【水痘の合併症】

髄膜炎、脳炎、神経炎、肺炎。催奇形性あり。

※免疫抑制剤を使用中(免疫抑制状態)の時にHHV-3に感染すると、無数の水疱が出来出血することからは重症化しやすく(出血性発疹)死亡率が高くなります。

【検査】

体液性免疫の有無を見る血液検査と、細胞性免疫を調べる方法としての皮内テストがあります。

血液検査としては、水痘ウイルスの抗体を調べる検査としてELA法が一番多く用いられています。

水痘の抗体が血清中に残っていなくても、細胞の中に抗体がある場合もあることから、皮内テストも合わせて行います。

皮内テストは、水痘・帯状疱疹ウイルスの一部から作られた水痘抗原を皮内接種して反応を見るテストで、結核の抗体を調べるツベルクリン反応と同じ原理です。

※水痘の判断は視診が主となります※

現れた症状を見て行う場合がほとんどで、水痘による水疱は特徴的ですから発症後2~3日で診断はつきます。

子供の水痘の診断のために、上記のような検査を実施することはまずありません。

【治療】

ヘルペスウイルスなので、アシクロビル、バラシクロビル、ファムシクロビルが有効です。

水痘、帯状疱疹とも同容量を使用します。

【予防】

水痘ワクチン・帯状疱疹ワクチンを接種します。

日本では長く任意接種ででしたが2014年より定期接種となっていることから、1歳になってから間隔をあけて2度の接種を行う。

【大人の水痘予防について】

水痘の感染発症が心配なときは、抗体検査を受けるのではなく予防接種を受けることです。

仮に既に水痘に感染していて水痘に対する抗体があったとしても、予防接種を受けても健康上の問題はありません。

次回はHHV-3(水痘・帯状疱疹ウイルス)の帯状疱疹について解説いたします。

2016年11月28日月曜日

ヘルペスウイルスについて-3.HHV-2(単純ヘルペスウイルス2型)-

【HHV-2とは】

主に性器ヘルペス、新生児ヘルペス、ヘルペス髄膜炎、ヘルペス脊髄炎の原因となりうるウイルスで仙髄の脊髄神経節に潜伏感染する。

【感染者の実態】

5~10%の人が感染していると言われており再発を繰り返すのが特徴です。

推定年間72,000人が感染していると言われています。

そのうち、男女とも20代以降の性的活動が活発になる年代に感染者が多く、どの年代でも男性より女性の患者数が多く、女性がかかりやすい病気です。

HHV-2に感染している人のうち、60%は何らかの症状があるのに本人は気づいていないと言われています。

自覚症状がない場合も多く、患者本人が病気に気がつかないまま、性行為を通して感染が広がっているのが現状です。

【HHV-2の感染力】

HHV-2は感染力が極めて強く、しかも一度感染すると、症状は治まってもウイルスその物は仙髄の脊髄神経節に潜伏感染し、一生そこに棲みつき生体から消えることはありません。

そのため、しばしば再発を繰り返します。

【感染場所と症状】

接触や飛沫による感染が一般的です。

男性の場合は亀頭や陰茎体部が多く、太ももやおしり、肛門周囲、直腸粘膜に症状が出ることもあります。

最初は患部の表面にヒリヒリ感やむずかゆさなどを感じ、2~10日ぐらいでかゆみを伴った赤いブツブツや水ぶくれが出来、やがてそれが破れて潰瘍ができると強い痛みがあり、発熱を伴う場合もあります。

更に太もものリンパ節の腫れや痛みもみられる場合もあります。

女性の場合は、外陰、腟の入口とおしりが多く、子宮頸管や膀胱まで感染が広がることもあります。

患部に水ぶくれや潰瘍ができ、強い痛みで排尿が困難になったり、発熱を伴ったりすることもあり、同時に太もものリンパ節の腫れや痛みがみられることもあります。

男女ともに、再発の場合は小さな水ぶくれや潰瘍ができるだけの軽い症状ですむのが一般的です。

再発の前には神経痛のような症状が出たり、局所がムズムズする違和感を感じたりすることがあります。

【体内に侵入したHHV-2は排除できるのか】

現在の医学では、体内に侵入したHHV-2を完全に排除することは不可能です。

抗ウイルス薬を用いてHHV-2の増殖を抑えることは可能です。

早く治療すればするほど、症状は軽くてすみます。

【治療法とHHV-2の抗ウイルス薬】

抗ウイルス薬の外用薬や内服薬を用います。

バルトレックス、ゾビラックス、アラセナAなどがあります。

5~10日間、処方された薬を内服または軟膏塗布します。

何れも医師の処方を必要とします。

性器ヘルペスの薬と成分が似ている口唇ヘルペスの市販薬や、個人輸入代行業者を介した薬をインターネット等で入手した薬を使用すると危険な場合があります。

医師の診断のもとに処方された薬を使用しないと、かえってウイルスが広がったり、症状が悪化したりする恐れがあるので素人療法は厳禁です。

【再発に注意】

薬の使用により患部の症状が治まれば治療は終了ですが、性器ヘルペスにかかった場合、1年以内に80%以上の人が再発すると言われているので、その後も体調管理などの注意が必要です。

再発を頻繁に繰り返す場合は、「性器ヘルペス再発抑制療法」という治療法もあります。

【HHV-2の感染予防対策】

人に感染する力が極めて強く、人と人との直接的な接触のほか、タオルなどを介して感染してしまうことがあります。

皮膚に傷や湿疹ができて抵抗力が弱まっていると、HHV-2が侵入しやすくなるので注意が必要です。

一度HHV-2に感染した人は体内にHHV-2を持っているので、身体の抵抗力が低下すると、体内に潜むHHV-2が暴れ出し、再発しやすくなります。

再発のきっかけとして考えられるのは、かぜ・性交渉・過労・ストレス・紫外線などです。

身の回りのものは共用しないことです。

特にタオルの共用は避ける必要がありますし、コップやグラスなどの食器も、HHV-2の症状が出ている間は、症状の出ている人と同じものは使わないようにする配慮が必要となります。

【検査】

血液検査によりヘルペスウイルスに対する抗体を検査しています。

感染の初期ではIgMを測定することによりヘルペスであることを診断し、感染から時間が経過しているものや再発型が疑われている場合は、補体結合検査によるヘルペス抗体価を測定し診断します。

また、イムノクロマト法による抗体検査もありますが、やはりHHV-1とHHV-2の感染の区別はできません

その他の抗体検査法としては、中和反応、酵素免疫測定法がありますが、やはりHHV-1とHHV-2の感染の区別はできません

結果は5日程で分かります。

※gG ELISAは、ウイルスの外郭に存在するglycoplotein G に対する抗体を測定する方法で、抗体検査のうち、唯一HHV-1とHHV-2の感染の区別が可能ですが、研究室レベルでなければ検査は出来ず医療機関で一般に受けることは出来ません※

【HHV-1と性行為について】

HHV-2を発症しているときは、性的接触は避ける必要があります。

性器ヘルペスによる感染だけではなく、口唇ヘルペスの人とのオーラルセックスによって感染し、性器ヘルペスを発症することもあります。

たとえ自覚症状がなくても、唾液や精液などにHHV-2が排泄されていることがあり、キスやセックスでパートナーに感染させてしまうことがあります。

※一昔前には上半身に感染するHHVは、HHV-1、下半身に感染するものはHHV-2即ち性器ヘルペスと言われていましたが、現在その区別は出来ません※

【注意】

HIVや一部の性行為感染症はコンドームで予防可能ですが、現実ヘルペスに限って言えばそれほど高い効果は得られません。

なぜなら、コンドームは男性の性器を包むだけで、性器の周囲は無防備ですしコンドームに包まれている部分以外の箇所に病変があれば、感染してしまいます。

【HHV-2とHIVの関係】

性器ヘルペスに感染すると感染した性器に炎症など起こし、そこからHIVが侵入しやすくなります。

粘膜局所に炎症があると、正常な場合の2倍から5倍感染しやすくなり、まして潰瘍があると50倍から数百倍感染しやすくなります。

次回はHHV-3(水痘・帯状疱疹ウイルス)について解説いたします。

2016年11月20日日曜日

ヘルペスウイルスについて-2.HHV-1(単純ヘルペスウイルス1型)-

【HHV-1とは】

口唇ヘルペス、ヘルペス性歯肉口内炎、カポジ水痘様発疹症、角膜ヘルペスなどを引き起すウイルスです。

【感染者の実態】

日本人の場合、HHV-1には50~70%、2型には5~10%の人が感染していると言われており、どちらも再発を繰り返すのが特徴です。

【HHV-1の感染力】

接触や飛沫による感染が一般的です。

HHV-1は感染力が極めて強く、しかも一度感染すると、症状は治まってもウイルスその物は体内の神経節(※)に潜り込み、一生そこに棲みつき体から消えることはありません。

そのため、しばしば再発を繰り返します。

※神経節は、神経細胞が集まっている場所※

【症状】

唇や口の周りの皮膚にピリピリ・ムズムズした不快感や痛がゆさから始まり、数時間から数日で患部に皮膚の赤みや水ぶくれができます。

そして水ぶくれは破れてかさぶたとなり、2週間程度で治ります。

初感染(初めて感染した場合)の場合は、高熱などの重い全身症状を伴うことがあります。

もし感染してしまった場合にも、症状を悪化させずに早期に治療すること、人に感染させないこと、そして再発を予防していくことが重要となります。

【体内に侵入したHHV-1は排除できるのか】

現在の医学では、体内に侵入したHHV-1を完全に排除することは不可能です。

抗ウイルス薬を用いてHHV-1の増殖を抑えることは可能です。

早く治療すればするほど、症状は軽くてすみます。

【治療法】

抗ウイルス薬の外用薬や内服薬を用います。

全身症状が現れるなどの重症例や免疫不全の人に対する治療では、入院した上で抗ウイルス薬の点滴静脈注射を行います。

【HHV-1の抗ウイルス薬】

アシクロビル(経口薬・軟膏・点滴)、塩酸バラシクロビル(経口薬)、ビダラビン(軟膏)があります。

【HHV-1の感染予防対策】

人に感染する力が極めて強く、人と人との直接的な接触のほか、タオルなどを介して感染してしまうこともあります。

皮膚に傷や湿疹ができて抵抗力が弱まっていると、HHV-1が侵入しやすくなるので注意が必要です。

一度HHV-1に感染した人は体内にHHV-1を持っているので、身体の抵抗力が低下すると、体内に潜むHHV-1が暴れ出し、再発しやすくなります。

再発のきっかけとして考えられるのは、かぜ・性交渉・過労・ストレス・紫外線などです。

特にタオルの共用は避ける必要がありますし、コップやグラスなどの食器も、HHV-1の症状が出ている間は、症状の出ている人と同じものは使わないようにする配慮が必要となります。

【検査】

血液検査によりヘルペスウイルスに対する抗体を検査します。

感染の初期ではIgMを測定することによりヘルペスであることを診断し、感染から時間が経過している場合や再発型が疑われている場合は、補体結合検査によるヘルペス抗体価を測定し診断します。

また、イムノクロマト法による抗体検査もありますが、HHV-1とHHV-2の感染の区別はできません

その他の抗体検査法としては、中和反応、酵素免疫測定法があります。

結果は、即日から5日程で分かります。

※但、以上の抗体検査ではHHV-1とHHV-2の感染の区別はできません※

※gG ELISAは、ウイルスの外郭に存在するglycoplotein G に対する抗体を測定する方法で、抗体検査のうち、唯一HHV-1とHHV-2の感染の区別が可能ですが、研究室レベルでなければ検査は出来ず医療機関で一般に受けることは出来ません※

【HHV-1と性行為について】

HHV-1を発症しているときは、性的接触は避ける必要があります。

性器ヘルペスによる感染だけではなく、口唇ヘルペスの人とのオーラルセックスによって感染し、性器ヘルペスを発症することもあります。

たとえ自覚症状がなくても、唾液や精液などにHHV-1が排泄されていることがあり、キスやセックスでパートナーに感染させてしまうことがあります。

※一昔前には上半身に感染するHHVは、HHV-1、下半身に感染するものはHHV-2即ち性器ヘルペスと言われていましたが、現在しその区別は出来ません※

次回はHHV-2(性器ヘルペス)について解説いたします。

2016年11月13日日曜日

ヘルペスウイルスについて-1.その種類-

人に感染するヘルペス科ウイルスは以下の8種類が知られています。

1.アルファヘルペスウイルス亜科

HHV-1(単純ヘルペスウイルス1型=herpes simplex virus-1)

HHV-2(単純ヘルペスウイルス2型=herpes simplex virus-2)

HHV-3(水痘・帯状疱疹ウイルス=VZV:herpes simplex virus-2)


2.ベータヘルペスウイルス亜科

HHV-5(ヒトサイトメガロウイルス=human cytomegalovirus:HCMV)

HHV-6(突発性発疹を引き起こす)・・・HHV-6AとHHV-6Bに分類される

HHV-7(突発性発疹を引き起こす)


3.ガンマヘルペスウイルス亜科

HHV-4(エプスタイン・バール・ウイルス=Epstein-Barr virus:EBV)

HHV-8(カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス=Kaposi's sarcoma-associated herpesvirus:KSHV)

次回からこれらヘルペス科ウイルスについて順次解説していきます。