血液の鉄人の理解しやすく役立つ臨床検査の部屋 Headline Animator

2016年2月8日月曜日

脂質検査-5.LH比-

【LH比とは】

脂質異常症の診断で最近"LH比"が重視されています。

LH比とは、LDLコレステロール値÷HDLコレステロール値で示される比率です。

LDLとHDLは別々に考えるのでなく、両方のバランスが重要とされ、LH比はその目安として注目されています。

【LH比は何故注目されているのか】

LDLコレステロールが140未満の人でも心筋梗塞になる場合もあることと、HDLコレステロールが高くてもまれに動脈硬化を起こすことが明らかになり、今まで言われてきた基準値内でも動脈硬化になる可能性が指摘され、そこで注目されたのがLH比です。

【基準値】

1.5以下・・・健康的な状態

2.0以上・・・動脈硬化の疑いあり

2.5以上・・・血栓ができている可能性あり

【LH比の考え方】

LH比が高いほど、血管中の悪玉のLDLコレステロールの比率が高く、善玉のHDLコレステロールの割合が低くなります。

従ってLH比が高いことは動脈硬化になりやすく、脳梗塞や心筋梗塞などの病気を引き起こす危険性が高くなります。

【LH比を下げるには】

LH比を下げるには、悪玉コレステロールであるLDLコレステロールを減らし、かつ善玉コレステロールであるHDLコレステロールを増やす必要があります。

LDLコレステロールが正常値でも、HDLコレステロールが低めであれば、LH比は当然高くなります。

また、HDLコレステロールが正常値で、LDLコレステロールが高めの場合も同様となります。

重要な事は、LDLコレステロールとHDLコレステロールのバランスです。

【LH比を下げる手段は】

LH比を下げるには、適度な運動を心がけること、禁煙、それから食生活に気を付けること、この3つが基本です。

2016年1月26日火曜日

脂質検査-4.LDLコレステロール-

LDLコレステロールは、肝臓でつくられたコレステロールを各臓器に運ぶ働きをしている低比重リポたんぱくですが、このLDLコレステロールが血液中に増えすぎると、血液内に使われなかった余分のコレステロールが残り血管に染み込んでしまいます。

これが動脈硬化を引き起こす原因となります。

この動脈硬化の最大の危険因子となるのが、一般的に「悪玉」と呼ばれているLDLコレステロールです。

【検査目的】

動脈硬化を促進するのはLDLコレステロールですから、正確に脂質異常症を判定するには、総コレステロールの値よりもLDLコレステロールを測定することが必要となります。

成人病検診や一般検診で検査されます。

【基準値】

70~139mg/dl

【異常値】

高値…脂質異常症、動脈硬化、糖尿病、甲状腺機能低下症、ネフローゼ症候群、肥満など

低値…肝硬変、甲状腺機能亢進症、先天性無βリポ蛋白血症、慢性肝炎など

【低LDLコレステロール血症とは】

低コレステロールでは低栄養や死に至るリスクが高くなることが認められており、その点からみると実は低LDLコレステロール血症も恐ろしいということを認識しておく必要があります。

"LDLコレステロール値が低いほど死亡率が高まる"、"LDLコレステロール値が低いほどがんの発症率が高くなる"といったデータ報告があります。

また、LDLコレステロール値が低いと、"血管が破れやすくなる"、"免疫力が低下する"、"貧血を起こしやすくなる"ともいわれています。

【おまけ】

総コレステロール値に関係なく、LDLコレステロールの値が高いというのが良くありません。

高い場合には過食を避けて運動量を増やすように生活を改める必要があります。