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2014年12月30日火曜日

寄生虫感染症検査-3.赤痢アメーバ-

【赤痢アメーバとは】

主にヒト及びサルの大腸に寄生して増殖し、腸管臓器を破壊して宿主に障害を与える腸管寄生性寄生原虫です。

赤痢アメーバはその生活史上、栄養型と嚢子(シスト)の2形態に分類され、ヒトへの感染は糞便中の成熟シストが経口摂取され回盲部辺りを中心に、大腸管腔で増殖・定着感染します。

熱帯や亜熱帯の発展途上国を中心に多くの患者の発生が認められているますが、先進国では性行為やオーラルセックスで感染が広まっています。

※赤痢菌が原因の「赤痢」とは別のものです※

【赤痢アメーバの感染経路】

赤痢アメーバのシストに汚染された飲食物等の経口摂取により感染します。

また、ヒトからヒトへの直接感染も起こります。

性行為では、肛門と口唇が直接接触すること(リミング)によって、口から感染します。

日本の男性同性愛者間では、赤痢アメーバ症と梅毒やHIVなど、他の性行為感染症との複合感染も少なくありません。

※※日本の3大都市で同性愛者の56%がHIV感染者で,そうち45%が症状がある赤痢アメーバ症であったとのデータが有ります※※

【赤痢アメーバの寄生部位】

大腸や肝臓に寄生し、赤痢アメーバ性の大腸炎や肝膿瘍を引き起こします。

【感染の実態】

他の寄生虫感染症に比べ、日本でも多くの感染が発症しており、年間700から800人(死亡者は
年間数例)の届け出があり、4?5年前と比較すると約1.7倍増加しています。

日本での感染者の8から9割は海外渡航歴がなく、ほとんどの場合が男性同性愛者です。

【症状】

男女共に同様の症状が見られます。

1.大腸感染

下痢

イチゴゼリーのような粘血便

渋り腹)排便するものがないのに便意をもよおし、何回もトイレに通う)

排便時の下腹部痛

2.肝臓感染

赤痢アメーバ性肝膿瘍

肝臓の一部に炎症が起こり、その組織内に膿が溜まる。

38度以上の発熱

上腹部痛

肝腫大

寝汗

【治療】

メトロニダゾール、テトラサイクリンなどを投与する。

【感染予防対策】

飲食物の加熱、手洗いの励行、そしてリミングをしないこと。

消毒は塩素の場合,細菌を殺すには十分な濃度でも赤痢アメーバの嚢子は殺せませんが、水を煮沸すれば嚢子も死滅します。

【検査】

1)赤痢アメーバ性大腸炎の場合は便を検査し、粘血便を伴う症例では栄養型を、軽症例や無症状キャリアではシストを顕微鏡下で調べます。

検出感度は低いため、連続3日程検査を行う必要があります。

2)赤痢アメーバ性肝膿瘍の場合は、超音波やCT検査で膿瘍を証明し、穿刺やドレナージにより採取した膿瘍液中にアメーバ(栄養型)を調べます。

3)血清赤痢アメーバ抗体を調べます。

血清アメ-バ抗体の陽性率は大腸炎で50~90%、肝膿瘍では95%以上と高く有用な検査です。

画像診断と併せて鑑定診断に用いられます。

※血清アメ-バ抗体検査でIgG抗体を検出する場合は抗体価のレベルに注意する必要があり、低くて陽性下限に近い時は糞便検査のデータと併せて総合的に判断する必要があります※

※IgM抗体が検出されたら初感染早期を疑う※

4)現在では、免疫酵素抗体法による赤痢アメーバの主要抗原蛋白質の検出や赤痢アメーバのDNAをPCR法で検出する方法が採用されています。

【注意事項】

赤痢アメーバ症は、便を感染源に経口感染により男性同性愛者間に感染する性行為感染症でもあるため、性的パートナーも同時に検査する必要があります。

2014年12月17日水曜日

寄生虫感染症検査-2.アニサキス検査-

【アニサキスとは】

線形動物門双腺綱桿線虫亜綱カイチュウ目アニサキス科アニサキス属に属する動物の総称で、海産動物に寄生する寄生虫です。

【アニサキスの感染経路】

サケ、サバ、アジ、イカ、タラなどの魚介類から感染する。

【アニサキスの寄生部位】

胃・腸などの消化管に寄生する。

寄生する場所によって、以下のように分類される。

1.胃アニサキス症

2.腸アニサキス症

3.腸管外アニサキス症

4.アニサキスアレルギー

アルサス型のアレルギー反応で、初回感染時は無症状ですが再感染により発症します。

イカ、サバ、ハマチ等を摂取した際、発疹などのアレルギー症状を起こすことがありますが、アレルギー検査で食べた魚介類では陽性反応を示さない場合は、アニサキスによるアレルギーが原因の可能性があります。

【症状】

胃アニサキス症は、食後数時間のうちに始まる激しい腹痛と嘔吐で、嘔吐に際しての吐瀉物は胃液のみで、下痢も一切認められません。

この激しい痛みは、アニサキスが胃壁や腸壁を食い破ろうとするために生ずる症状です。

【治療】

胃内寄生の場合は、胃カメラで消化管粘膜上のアニサキスを確認し、鉗子を用いてアニサキスを摘んで取り除くか、開腹手術を行いアニサキスを取り除きます。

寄生したアニサキスを取り除くことにより、痛みなどの症状が消失します。

特異的な治療薬は現在ではありません。

デカドロンRや強力ネオミノファーゲンシー、セレスタミンRやプレドニゾロンを投与すると症状が軽快するという報告があります。

【感染予防対策】

海産魚介類を生で食べないことと、60℃で1分以上の加熱処理後に食べる。

-20℃,24時間以上の冷凍保存によってアニサキスは感染性を失うので,魚を冷凍して解凍後に生で食することは感染予防に有効とされています。

※醤油・わさび・酢がアニサキス症の予防に有効と一部では言われていますが、料理で使う程度の量や濃度,処理の時間ではアニサキスは死ぬことはありません※

【抗アニサキスIgG・IgA抗体検査】

エライサ法によって血清中の抗アニサキスIgG・IgA抗体を調べます。

内視鏡で虫体を確認できないアニサキス症の診断に用いられます。

【検査の原理】

検体中の抗アニサキス抗体はマイクロプレートに固相されたアニサキス特異抗原と反応し、次に添加されたペルオキシターゼ標識二次抗体と複合体を形成し、固相の抗原に結合した抗体の量は酵素の量に反映されるので、その酵素活性を測定することにより抗体価を計算で求めます。

【判定】

カットオフインデックス1.50以上を陽性とする。

【異常値を示す場合】

アニサキス感染が疑われる。

2014年12月7日日曜日

寄生虫感染症検査-1.寄生虫について-

【寄生虫とは】

寄生生物のうち動物に分類されるものを言います。

【寄生虫の分類】

Ⅰ.外部寄生虫

宿主(しゅくしゆ)の体表あるいは皮膚内に一時的あるいは長期にわたって寄生する物を外部寄生虫と呼びノミ・シラミ・ダニなどの節足動物がいます。

※宿主(しゅくしゅ)とは、寄生虫・菌類などが寄生又は、共生する相手の生物のことを言います※

※よく"やどぬし"と音読されますが、学術用語としては"しゅくしゅ"と音読されるのが正しい呼び方です※

Ⅱ.内部寄生虫

宿主体内に寄生するものを内部寄生と呼び以下のものがあります。

1.魚類由来の寄生虫

海産魚由来アニサキス:日本海裂頭条虫・大復殖門条虫・異型吸虫など

淡水魚由来:横川吸虫・肝吸虫など

2.肉類由来の寄生虫

無鉤条虫・トキソプラズマ・有鉤条虫・イヌ蛔虫など

3.水の由来の寄生虫

エキノコッカス・ランブル繊毛虫・赤痢アメーバ・クリプトスポリジウムなど

【寄生虫感染症の現状】

寄生虫感染は,世界的(特に中南米,アフリカおよびアジア)にかなりの罹病および死亡の原因となっています。

日本を含めての先進国では、過去に比べて激減し一般的な感染症としては見られなくなってきています。

しかし、日本や先進国ではゲテモノ食いからの寄生虫感染症が新たな脅威となってきていることも見逃せません。

【寄生虫感染症の感染ルート】

多くの寄生虫感染が,食品や水の糞便汚染から流行します。

従って下水設備や衛生状態の悪い貧困地域で最も高頻度となります。

稀な感染経路としては、鉤虫など一部の寄生虫は汚染された砂泥、住血吸虫の場合は汚染された淡水との接触によって皮膚から感染します。

更に、輸血もしくは注射針の共有による寄生虫の伝播,または母親から胎児への先天的伝播も認められています。

2014年11月27日木曜日

エボラ出血熱-5.検査法-

【検査材料】

血液・血清・咽頭拭い液・尿

【検査方法】

1.分離・同定によるエボラウイルスの検出

2.PCR法によるエボラウイルスの遺伝子の検出

3.エライサ法によるエボラウイルスの抗原の検出

4.関節蛍光抗体法によるエボラウイルスのIgM抗体及びIgG抗体の検出

5.エライサ法によるエボラウイルスのIgM抗体及びIgG抗体の検出

【検査の判断基準】

Ⅰ.以下に記載したいずれかが満たされた場合,"エボラウイルス感染症"と判定する。

1.検体からエボラウイルスが分離される。

2.検体から PCR法でエボラウイルスの遺伝子が検出される。

3.検体からエライサ法でエボラウイルス抗原検出される。

4. エライサ法でエボラウイルス核蛋白が検出される。

5.間接蛍光抗体法またはエライサ法で、症状の急性期と回復期に採血したペア血清中のエボラウイルスの核蛋白に対する抗体価が,4倍以上有意に上昇する結果が得られる。

Ⅱ.以下に記載した場合は"エボラウイルス感染症"を疑う。

エライサ法でIgM抗体が検出された場合。

Ⅲ.陰性(エボラウイルスの感染なし)

上記に記載した1~5までの結果が陰性の場合。

2014年11月16日日曜日

エボラ出血熱-4.エボラウイルスの感染源-

【感染源】

・血液

・臓器及び組織

・唾液

・汗

・尿

・糞便

・膣分泌液

・精液

・母乳

・嘔吐物

【エボラウイルスの体外での生存期間】

液体又は乾燥有機物の中でも、室温では相当の日数、生存及び感染力を維持している。

汚染から6日後の室内環境から感染性を有するエボラウイルスが回収された事例が報告されています。

4℃でも数日間生存可能。

-70℃では永久的に感染能力を有しています。

凍結乾燥(フリーズドライ)でも感染能力を永久的に有しています。

体外でのエボラウイルスは、安定して感染力を長く有しますが、消毒剤には極めて感受性が高く簡単に死滅してしまいます。

【侵入経路】

傷のない皮膚は感染防護バリアがあることから感染はしません。

引っ掻き傷、切傷(大小問わず)、発疹、及び擦過傷は正常なバリア機能を損傷していることから、ウイルスは簡単に侵入します。

特に怖いのは飛沫感染することです。

ウイルスを含む血液や体液、唾液などが付着することによりウイルスが粘膜組織を通過して体内に侵入することも出来ます。

粘膜組織は眼、口、喉、肺、鼻腔内、膣組織、腸管、及び尿管を含む 箇所から感染します。

発病した人又は死亡した人以外の霊長類の取り扱及び葬儀の儀式における遺体との接触によっても感染します。



2014年11月6日木曜日

エボラ出血熱-3.消毒について-

【エボラウイルスの特性】

ウイルスは脂質を含む「エンベロープ」と呼ばれる膜で包まれているタイプと、エンベロープを持たない小型球形ウイルスに分類することが出来ます。

エボラウイルスはエンベロープと呼ばれる膜を持つウイルスであり,消毒薬抵抗性は低く、多くの消毒液が有効です。

【エンベロープとは】

エンベロープは偽装・宿主細胞への吸着の役割を果たすため、感染能力は高いのですが、このエンベロープを壊すことにより感染能力がかなり低下するのがエンベロープタイプのウイルスの特徴です。

エンベロープは、水に溶けにくく油に溶けやすい性質のため、エタノールなどの消毒薬によって簡単に破壊することがで可能です。

つまり、エンベロープタイプのウイルスは薬物耐性が低い(多くの消毒剤が有効)ということになります。

【消毒剤】

エボラウイルスのエンベロープは、アルコールなど簡単に破壊することが可能ですから、アルコール消毒液が有効となります。

以下に有効な消毒液を紹介しておきます。

1.アルコール

消毒用エタノール,70v/v%イソプロパノール


2.次亜塩素酸ナトリウム溶液

ミルトンR, ピューラックスR, テキサントR, ハイポライトRなど

3.グルタルアルデヒド

ステリハイドR, グルトハイドR, サイデックスRなど

4.加熱

60℃で 30~60 分間加熱

5分間の煮沸

【消毒方法】

1.手指の消毒

石けんを使用して流水で洗う。

手指に有機汚染物(血液、嘔吐物など)が付着しているとアルコール手指消毒剤の効果が低下するので、先に石けんを使用して手指に付着している有機汚染物を払い流してからアルコール手指消毒剤を使用する必要があります。

70~90%エチルアルコール(エタノール)ベースの手指除菌剤は、確実にエボラウイルスを死滅させます。

2.衣類などの消毒

水 10 に対し家庭用漂白剤1(10%v/v)を加えた塩素消毒剤に10分間つけ置きすればウイルスは死滅します。

3.器具・荷物

体液が付着した器具や道具、荷物などは家庭用漂白剤を水道水で2~3倍に薄めてこれを布などに染み込ませて拭き取れば十分効果が得られます。

2014年10月27日月曜日

エボラ出血熱-2.エボラウイルスとは-

【エボラウイルスの分類】

エボラ出血熱を引き起こすエボラウイルスとは、フィロウイルス科エボラウイルス属に属するウイルスです。

フィロウイルスとは、ラテン語で"糸"と言う意味です。

大きさは、80~800nmの細長いRNAウイルスで、ひも状、U字型、ぜんまい型など形は決まっておらず多種多様です。

【発見】

1976年にスーダン(現:南スーダン)のヌザラ (Nzara) という町で男性患者から発見されています。

【起源】

現時点では不明ですが、おそらくコウモリやげっ歯類が保有しているものが何らかの理由で人に感染したと考えられています。

【感染様式】

エボラウイルスに感染し、症状が出ている患者の血液、分泌物、吐物、排泄物や患者の体液等に汚染された医療器具物質に十分な防護なしに触れた際、ウイルスが傷口や粘膜から侵入することで感染します。

しかし、症状のない患者からは感染しませんし、空気感染もしません。

【ウイルスの危険度】

人類が発見したウイルスの内で最も危険なウイルスのひとつとされています。

数個のエボラウイルスが体内に入るだけで感染すると言われており、ひげ剃りあとの小さな傷や、目に見えない手先の擦り傷に微量のエボラウイルスが付着するだけで感染する可能性が指摘されています。

エボラウィルスはWHOのリスクグループ4の病原体に指定されており、バイオセーフティーレベル(BSL)は最高度の4が要求されています。

国は、世界保健機関が定めたウイルスの危険度バイオセーフティーレベルに応じて、ウイルスを扱うことができる施設を定めていますが、エボラウイルスのBSLは最高レベルのBSL-4で、国内では国立感染症研究所と茨城県つくば市の理化学研究所バイオリソースセンターの2ケ所でしか取り扱う事ができません。

現実これら国内のBSL-4の2ケ所の設備は、地域住民の理解が得られず稼働できないのが現状です。

従って現時点で日本国内にエボラ出血熱が発生すれば、検査やウイルスの解析のできる施設はないということです。

このように日本では、BSL-4に属するウイルスが侵入すればお手上げの状態です。

【予防ワクチン】

2014年10月現時点で医療現場で使用できる現在存在しませんが、WHOは2015年には予防ワクチンが出来上がり、使用可能と発表していますがその効果は今だ不明です。

【治療薬】

やはり2014年10月現在存在していませので、患者の症状にあわせた対症療法しか出来ません。

エボラ出血熱へ治療効果があるとされる薬剤としては、富山化学が開発した抗インフルエンザ薬として承認されているアビガン(一般名ファビピラビル)がありますが、この薬剤は現時点ではエボラ出血熱の治療薬としては承認されていません。

海外で使用されて、治療に成功したという報告もされていますが引き続き臨床検討が必要とされています。

それ以外に米国、カナダなどの未承認薬が治療効果がみられるとの報告がされていますが、完全な治療薬ではなくまだまだ臨床検討をする必要があります。

【日本国内での医療体制】

日本国内で患者が発生した場合は、全国で45ケ所の医療機関で対応すると国はしていますが、日本国内ではエボラ出血熱の治療経験のある意思が皆無に等しく、上記にも述べましたように検査体制も全く整っていないことからして、完全に対応はできないと指摘する専門家が大勢を占めています。

過去にもHIV感染者が出た時でも、大パニックとなり受け入れ拒否をした医療機関が続出したことからしても、十分な医療は難しいと考えざるを得ません。

取り越し苦労であれば良いのですが。