血液の鉄人の理解しやすく役立つ臨床検査の部屋 Headline Animator

2019年2月28日木曜日

HIV検査を受ける際の注意点-6.リアルタイムPCR検査検査について-

リアルタイムPCR検査は、HIV-1の核酸の一部の見つける検査法です。

HIV-1の核酸を化学的な方法で1億倍程度に増幅して検査をすることから、非常に少ないHIV-1の検出が可能です。

検出感度も非常に高く血液中の微量のHIV-1を調べることが出来ることから、HIV-1感染の早期判断検査として広く用いられています。

またHIV-1感染者の治療指針として血液中のHIV-1の量を調べる検査法としても利用されています。

リアルタイムPCR検査は、コバスTaqMan HIV-1「オート」と呼ばれます。

リアルタイムPCR検査は、一般的にNAT検査と呼ばれていますが、本当はNAT検査は血液センター専用の検査ですから、医療機関や一部の保健所で受ける検査はNAT検査ではありません。

便宜上NAT検査と呼ばれているだけで、真のNAT検査ではなくリ正式名称はアルタイムPCR検査です。

前回に述べましたように真のNAT検査は、血液センター専用の検査ですから医療機関や保健所では受けることはできません。

本来リアルタイムPCR検査は、HIV感染者の治療の際に血液中に存在するHIV-1の数を調べて、治療効果の判定をする検査法ですが、検査の感度がよく感染初期から血液中のHIV-1を検出可能なことから、HIV-1のスクリーニング検査に利用されています。

不安な行為から11日以降いつ受けてもHIV-1に関しては信頼できる結果が得られます。

まことしやかに囁かれていることに、感染するリスクのある行為から、3ケ月以降受けると血液中のHIV-1の量が少なくなることから偽陰性反応が起きと言われていますが、これは誤りです。

リアルタイムPCR検査は、2019年2月現在も、HIV-2の検出は出来ません。

リアルタイムPCR検査は、以下の二つの検査があります。

1.TaqMan HIV-1「オート」

2.アキュジーン m-HIV-1

TaqMan HIV-1「オート」とアキュジーン m-HIV-1は、感度、特異性、検出可能なHIV-1は同じです。


2019年2月19日火曜日

HIV検査を受ける際の注意点-5.NAT検査について-

NATとは核酸増幅検査(Nucleic acid Amplification Test)の頭文字を取ったものです。

HIVの遺伝子の一部の核酸を取り出し、その核酸を倍々で増やし増えた核酸を検出することでHIV遺伝子の有無を確認する検査法です。

NATを使用したウイルス検査法はウイルスの持つ遺伝子を一億倍以上に増やして検出するため極めて感度の高い検査法です。

NAT検査は、血液センター専用の検査法で日本赤十字社は1999年より、血液の安全性向上を図る目的でB型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)について特に有効なNAT検査を世界に先駆けて導入しました。

以下に核酸増幅検査の導入の推移を簡単に記載しておきます。

1.1999年10月:HBV・HCV・HIVの3種のウイルスに対するミニプールNAT(500検体プール)スクリーニングを初めて導入。

2.2000年 2月:検体のプールサイズを50検体に変更。

3.2004年 8月:検体のプールサイズを20検体に変更。

4.2014年 8月:新たなNATシステムに変更し、さらに1検体ごとのNAT(個別NAT)スクリーニングを開始。

要するにプール法では感度が低くなり検出できなかった事例が発生したことから、ブール法を廃止してひとりひとりの血液を検査する個別NATに切り替えたわけです。

病院等の医療機関ではNAT検査を実施しておらず、そのかわりにHIV-1リアルタイムPCR検査を実施しています。

従って病院で受ける場合は、HIV-1リアルタイムPCR検査が本当の呼び方ですが、NAT検査が有名になりすぎて、HIV-1リアルタイムPCR検査を総称してNAT検査と呼んでいます。

※医療機関で受けるリアルタイムPCR検査は、NAT検査ではありません※

NAT検査は病院・クリニック・保健所などの医療機関では受けることは出来ません。

その為に、医療機関で、NAT検査を受けたいと言っても、「当院では検査していません」と言う回答が返ってくるわけです。

その場合は、「HIV-1リアルタイムPCR検査を受けたい」HIV-1リアルタイムPCR検査を受けたいと申し出ることです。

2008年9月1日から、血液センターで採用された新しいNAT検査は、HIV-1とHIV-2の感染を同時に検出できるようになっています。

NAT検査のウインドウ期は11日です。

NAT検査は、輸血用血液のHIV・HBV・HCVを調べる検査です、この検査を医療機関では受けられないことから、検査目的で献血をすることは絶対にしてはいけません。



2019年2月11日月曜日

HIV検査を受ける際の注意点-4.HIV検査の世代とは-

【検査で言われる何世代とは】

HIV検査でよくこの検査は何世代の検査という言い方をしますが、現在のHIV検査は第四世代の検査が殆どを占めています。

HIV検査が最初に開発された時は、第一世代検査と言われていましたが、その後改良が加えられて第二世代から第三世代そして第四世代となっています。

【現在のHIV検査の世代は】

2019年1月時点では、第一から第二世代の検査は使用されていません。

HIV抗体検査は第三世代、抗原抗体検査は第四世代となっています。

【現在使用されているは何世代なのか?】

2018年10月からほとんどの大手の病院では第四世代に切り替わっています。

検査センター(検査を専門に請け負う会社)では、すべてが第四世代に切り替わっています。

従って検査センターに検査を外注しているクリニックで検査を受けた場合は、第四世代となっています。

※クリニックで検査を実施している場合は、殆どが迅速検査ですから、この場合は第三世代抗体検査と第四世代抗原抗体検査のどちらかということになります※

※保健所での迅速抗体検査は、第三世代抗体検査と第四世代抗原抗体検査のどちらかということになります※

【HIV検査の世代による検出できるもの】

第一世代から第四世代のHIV検査で検出可能なものを一覧にしてみました。


2019年2月3日日曜日

HIV検査を受ける際の注意点-3.迅速抗原抗体検査-


【迅速抗体検査とは】

イムノクロマトグラフ法を用いて、血清、血漿及び全血中のHIV-1の抗原であるp24及びHIV-1とHIV-2抗体の検出をおこなう第四世代(抗原+抗体)のHIVスクリーニング検査試薬です。

【迅速抗体検査の種類】

日本国内では、エスプラインHIV Ag/Abとダイナスクリーン・HIV Comboの2キットが厚生労働省から認可受け使用されています。

【検査の特徴】

血清、血漿は検体滴下の1ステップ、全血は検体滴下1分後に全血展開液を滴下する2ステップ、と操作が容易であり、短時間(20分~40分)で結果が得られます。

さらに、イムノクロマトグラフ法でオート機器装置に匹敵するような高感度化を実現し、血液遠心分離機など検査設備が整っていない場所や状況においても、高感度なHIVスクリーニング検査を実施できるメリットがあります。

【検査の原理】

検体中にHIV抗体が存在していると、抗HIV抗体は、シート下部のセレニウムコロイド標識HIV抗原と反応し、抗HIV抗体-セレニウムコロイド標識HIV抗原の結合物を形成する。

この結合物はシート上を移動して、シート上部に固相化されたHIV抗原と結合し、固相化HIV抗原-抗HIV抗体-セレニウムコロイド標識HIV抗原のサンドイッチ型の結合物を形成する。

結果はシート上の判定窓に出現するセレニウムコロイド由来のライン(ダイナスクリーン・HIV Comboは赤色のライン・エスプラインHIV Ag/Abはブルーのライン)の有無により判定します。

【受ける時期】

HIV-1の抗原を検出するには、不安な行為から30~50日以内に受ける必要があります。

30日以前に受ければ感染していても抗原の量が少なく偽陰性となる可能性があります。

また、50日以降に受ければ感染していても抗原の量が少なくなっていることから偽陰性となる可能性があります。

HIV-1/-2の抗体は不安な行為から12週で受けないと信頼できる結果は得られません。

※HIV-2の抗原は検出することは出来ません※

【偽陰性反応】

どのような検査でも受ける時期が早すぎると、偽陰性反応は起きてしまいます。

HIV-1の抗原は不安な行為から30~50日以内にで受けることによって、偽陰性反応が起きることはありません。

HIV-1/-2の抗体は不安な行為から12週(84日)で受けることによって、偽陰性反応が起きることはありません。

【偽陽性反応の起きる原因】

判定を厳格にしすぎることから機械で行う抗原抗体検査に比べて、偽陽性反応が多く出現する傾向はどうしてもあります。

判定時間経過後のラインの出現を陽性と誤判定することがあります。

※判定時間は厳守する必要があります※

どのような時に起きるのかははっきり解明されていません。

HIVに感染していないのに毎回陽性となる人もいることも事実です。

【検体として利用する種類によって検査結果に差があるのか】

この検査は、全血・血漿・血清のいずれでも検査が可能です。

血漿・血清・全血を利用しての検査では、検出感度・特異度共に変わりがありません。

全血を使用すると赤血球の赤色の色調によって偽陽性反応の出現率が高くなる傾向が見られます。

2019年1月20日日曜日

HIV検査を受ける際の注意点-2.迅速抗体検査-

【迅速抗体検査とは】

ダイナスクリーン・HIV-1/2は、イムノクロマト法により、検体( 血漿、血清又は全血) 中の抗HIV-1抗体及び抗HIV-2抗体を検出する試薬です。

【迅速抗体検査の種類】

ダイナスクリーンは、アリーア メディカル株式会社から販売されています。

日本国内では、厚生労働省の認可を受けたキットはこれ一つだけです。

【検査の原理】

検体中にHIV抗体が存在していると、抗HIV抗体は、シート下部のセレニウムコロイド標識HIV抗原と反応し、抗HIV抗体-セレニウムコロイド標識HIV抗原の結合物を形成する。

この結合物はシート上を移動して、シート上部に固相化されたHIV抗原と結合し、固相化HIV抗原-抗HIV抗体-セレニウムコロイド標識HIV抗原のサンドイッチ型の結合物を形成する。

結果はシート上の判定窓に出現するセレニウムコロイド由来の赤色のラインの有無により判定します。

【受ける時期】

血液中に十分なHIV抗体が存在しないと、HIVに感染していても偽陰性反応を引き起こすことから、受ける時期が大切です。

受ける時期としては、不安な行為から12週(84日)で受ければ信頼できる結果が得られます。

【保健所では30~60日といっているが??!!】

HIVの感染していて検査で見つかるHIV抗体検査が血液中に産生されていれば、陽性となりますが、殆どの場合30日では偽陰性反応となってしまいますから、この時期検査を受けて陰性となっても感染していないとは言い切れません。

【不安な行為から30~60日で受けて陰性となったときの対処方法】

再度不安な行為から12週後に受けることです。

12週で受けて陰性であれば、HIVの感染はなかったことになります。

本当にHIVに感染していればこの時期に受ければ陽性となります。

※※真の陽性と判断するには確認検査で陽性となる必要があります※※

【保健所で30~60日で受ければよいというのは間違いか】

保健所で30~60日で受ければよいというのは間違いでもなく、間違っているとも言えません。

なぜならその理由は以下のとおりです。

・この時期受けて陽性となる人もいます。

・しかし感染していても陰性となる人の方が多いのも事実です。

・よくほとんどの人が見逃しているのは、不安な行為から30~60日で受けて陰性であっても再度3ケ月で受け直す必要があると言っています。

※※『再度3ケ月で受け直す必要がある』ことを見逃しているのです※※

早く検査を受けたい人のために30~60日でも検査を受けられると行っていると解釈しておくことです。

この時期に第3世代のHIV抗体検査を受けても、信頼できる結果は得られる確率は非常に低いということです。

【偽陰性反応】

どのような検査でも受ける時期が早すぎると、偽陰性反応は起きてしまいます。

不安な行為から12週(84日)で受けることによって、偽陰性反応が起きることはありません。

【偽陽性反応】

どのような検査でも偽陽性反応は起きます。

HIV抗体検査はHIVの感染している人を見つけるスクリーニング検査ですから、見逃さないように検出感度を非常に高くしていますから当然偽陽性反応は起きます。

これはスクリーニング検査の持つ宿命でどうしても無くすことは出来ません。

特にイムノクロマト法を利用した検査は、肉眼で判定することからどうしても判定者の主観に左右されてしまいます、その結果どうしても偽陽性反応の発現率が機械を使用した検査法に比べて高くなる傾向にあります。

【偽陽性反応の起きる原因】

判定を厳格にしすぎることから偽陽性反応が多く出現する傾向はどうしてもあります。

判定時間経過後のラインの出現を陽性と誤判定することがあります。

※判定時間は厳守する必要があります※

どのような時に起きるのかははっきり解明されていません。

HIVに感染していないのに毎回陽性となる人もいることも事実です。

【検体として利用する種類によって検査結果に差があるのか】

この検査は、全血・血漿・血清のいずれでも検査が可能です。

血漿・血清・全血を利用しての検査では、検出感度・特異度共に変わりがありません。

全血を使用すると赤血球の赤色の色調によって偽陽性反応の出現率が高くなる傾向が見られます。

【まとめ】

1.第3世代のHIV抗体検査は、不安な行為から12週(84日)で受けること。

2.30~60日で受けて陰性であっても、再度不安な行為から12週(84日)で受けること。

3.陽性となっても確認検査で陽性とならない限り、本当にHIVの感染しているとは言えな
い。

4.判定時間の厳守。

5.コントロールラインに必ず赤のラインが出ている必要があります。

2019年1月8日火曜日

HIV検査を受ける際の注意点-1.第3世代HIV抗体検査-

HIV検査を受ける際の注意点について数回に渡って解説いたします。

初回は第3世代HIV抗体検査についてです。

【第3世代HIV抗体検査とは】

現在利用されているHIV抗体検査は、第三世代の抗体検査で、第一及び第二抗体検査は現時点では日本では使用されていません。

第三世代の抗体検査は、HIV-1とHIV-2の感染抗体を検出する検査法です。

【第3世代HIV抗体検査の種類】

検査法としては、イムノクロマト法・EIA法・エライザ法などがあり、国内では数社のメーカから販売されています。

メーカによって検出感度に大差はありません。

【受ける時期】

血液中に十分なHIV抗体が存在しないと、HIVに感染していても偽陰性反応を引き起こすことから、受ける時期が大切です。

受ける時期としては、不安な行為から12週(84日)で受ければ信頼できる結果が得られます。

【不安な行為から30~60日で受けて陰性となったときの対処方法】

再度不安な行為から12週後に受けることです。

12週で受けて陰性であれば、HIVの感染はなかったことになります。

本当にHIVに感染していればこの時期に受ければ陽性となります。

※※真の陽性と判断するには確認検査で陽性となる必要があります※※

【保健所で30~60日で受ければよいと言っている理由とは】

保健所で30~60日で受ければよいというのは間違いでもなく、間違っているとも言えません。

なぜならその理由は以下のとおりです。

HIVの感染していて検査で見つかるHIV抗体が血液中に産生されていれば、陽性となりますが、殆どの場合30日ではHIV抗体の量が少ないことから偽陰性反応となってしまいますから、この時期検査を受けて陰性となっても感染していないとは言い切れません。

・この時期受けて陽性となる人もいます。

・しかし感染していても陰性となる人の方が多いのも事実です。

・よくほとんどの人が見逃しているのは、不安な行為から30~60日で受けて陰性であっても再度3ケ月で受け直す必要があると言っています。

※※『再度3ケ月で受け直す必要がある』ことを見逃しているのです※※

早く検査を受けたい人のために30~60日でも検査を受けられると行っていると解釈しておくことです。

この時期に第3世代のHIV抗体検査を受けても、信頼できる結果は得られる確率は非常に低いということです。

【偽陰性反応】

どのような検査でも受ける時期が早すぎると、偽陰性反応は起きてしまいます。

不安な行為から12週(84日)で受けることによって、偽陰性反応が起きることはありません。

【偽陽性反応】

どのような検査でも偽陽性反応は起きます。

HIV抗体検査はHIVの感染している人を見つけるスクリーニング検査ですから、見逃さないように検出感度を非常に高くしていますから当然偽陽性反応は起きます。

これはスクリーニング検査の持つ宿命でどうしても無くすことは出来ません。

【偽陽性反応の起きる原因】

どのような時に起きるのかははっきり解明されていません。

HIVに感染していないのに毎回陽性となる人もいることも事実です。

【まとめ】

1.第3世代のHIV抗体検査は、不安な行為から12週(84日)で受けること。

2.30~60日で受けて陰性であっても、再度不安な行為から12週(84日)で受けること。

3.陽性となっても確認検査で陽性とならない限り、本当にHIVの感染しているとは言えない。

2019年1月1日火曜日

新年のご挨拶

恭賀新年

昨年中は格別のご用命を賜り厚く御礼申し上げます。

本年も皆様方のお役に立てるよう頑張っていきますので、なにとぞよろしくご愛顧のほどお願い申し上げます。