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2011年12月20日火曜日

腫瘍マーカー4.CA15-3(carbohydrate antigen15-3)-



4.CA15-3(carbohydrate antigen15-3)

CA15-3はヒト乳脂球の膜上に存在する抗原(MAM-6)を使って作製した抗体が認識する抗原です。

血液中のCA15-3は、乳がんに対する特異性は高いが、原発乳がんよりむしろ進行性乳がんや再発乳癌がんの陽性率が高いため、再発の予知や治療効果の判定として有用な腫瘍マーカです。

そのために、乳がんのスクリーニング検査として用いられています。

さらに乳がんの再発・転移の追跡に有用とされています。

CA15-3の基準値

30U/ml以下

1.進行がんになると、基準値を超える率は10%以上となり、再発例では40%以上となります。

2.再発部位により基準値を超える率は異なり、リンパ節や骨への転移では約30%であるのに対して、肝臓などの内臓転移では75%と高率に基準値を超えます。

3.卵巣がんや肺がん、前立腺がんでも数値は上昇し、がん以外の病気では、子宮内膜症や骨盤炎症性疾患、肝炎でも高値を示します。

さらに、CA15-3は加齢と共にやや上昇傾向を示しますが、妊娠前期には低値となります。

検査値が基準値を超えた場合には、CEAなど他の腫瘍マーカーの検査をしたり、胸部X線検査、骨シンチグラム、CT検査などを組み合わせてがんの存在を確認する必要があります。

2011年12月16日金曜日

腫瘍マーカー3.CEA(癌胎児性抗原)-


3. CEA(癌胎児性抗原)

CEAは大腸癌組織の抽出物で、胎児の消化管にも存在する癌胎児性抗原です。

血液中のCEAは、食道、胃、直腸等の消化器系の腫瘍マーカーとして広く用いられていますが、進行性胃がんの30~40%にしか検出されません。

乳癌や卵巣癌などの多くの腫瘍で高値となるため臓器特異性が低いことから、CEAの検査のみでがんの診断はできません。

また、CEAが高くなる場合は、進行がんが多く、早期がんの診断には適さないので注意が必要です。

CEAの基準値

5.0ng/ml以下

CEAの値が高値である場合、体のどこかにがんがある可能性が高いので、症状にあわせてほかの血液検査やX線造影、超音波、CTなど消化器系を中心に精密検査も必要になります。

また、CEAが高値を示した時のがんは進行性であり、CEAの高値ががんによる場合は上昇傾向を示すため、1~2ヵ月後に再検査を行い、これで変動がなければ、高値でも問題のないときもあります。

しかし、基準値の倍以上ではがんの疑いが濃厚、4倍以上では転移がんが疑われます。

健康な人でも約3%の人は基準値を超える場合があるのと高齢でもやや上昇する傾向があります。

がんを切除したり、抗がん剤治療でがんが縮小したりするとCEAの値は低下します。

※CEAは、ヘビースモカーでも疑陽性となることがあります。

2011年12月14日水曜日

腫瘍マーカー2.PSA(前立腺特異抗原)-


2.PSA(前立腺特異抗原)

PSAは、前立腺に特異的にみられる腫瘍マーカーで、前立腺がんが疑われるとき、まず行われる検査です。

また、前立腺がんの進行具合を鋭敏に反映するため、前立腺がんの早期発見とともに病気の推定、治療効果判定や予後予測にも使用されます。

PSAは前立腺がんだけでなく、前立腺肥大症でも血中濃度が上昇します。

PSAの基準値

4.0ng/ml以下

1.4.0ng/ml以下:定期的にPSA検査をして経過を見守ります。

2.4.1ng/ml~10ng/ml :正常値より若干高めの値で、がんの人と前立腺肥大症など、前立腺の他の病気の人が含まれている可能性があります。

3.10.1ng/ml以上:前立腺がんがあることが強く疑われます。
高い場合は数百ng/mlという数値が出ることもあります

※加齢とともに数値が上昇するため、年齢別設定が行われ、一般的には4.0~10.0ng/mlがグレイゾーンとされています。

年齢 基準値

50~64歳:3.0ng/mL以下
65~69歳:3.0ng/mL以下
70歳~:4.0ng/mL以下

PSAの基準値を超える結果が得られると、肛門から指を入れる直腸診で前立腺の状態を調べ、経直腸的超音波検査などを行い、がんが疑われたら、組織片を調べる前立腺生検で確定診断をつける必要があります。

一般的には、40歳前後から積極的にPSA検査などの定期健診を受けたほうが良いでしょう。

PSAの値は前立腺に刺激を与えた後は、健常な男性でも高くなることがあります。

2011年12月12日月曜日

腫瘍マーカー1.AFP(α-フェトプロテイン)-


腫瘍マーカーとは、がんの目印となる特定の物質を言います。

身体の中に腫瘍ができると、健康なときにはほとんど見られない特殊な物質が、その腫瘍により大量につくられ、血液中に出現してきます、この物質を「腫瘍マーカー」といいます。

今囘から数回に分けて各種腫瘍マーカーについて解説していきます。

1.AFP(α-フェトプロテイン)

AFPは、もともと妊娠早期の胎児にみられる血清蛋白の一種で、健康な成人の血液中には含まれず、原発性肝癌の患者の95%の血液に含まれるため、肝臓がんの腫瘍マーカーとして用いられています。

また、AFPは肝炎や肝硬変でも測定値が上昇することから、肝臓がんをはじめ、肝臓病の早期発見、診断、病状の経過観察などに役立ちます。

しかし、肝臓がんでもAFPが基準値以上にならないものもありますし、逆に基準値以上となっても肝臓がんでない場合もあります。

AFPの基準値

20ng/ml以下

基準値が高い時の解釈

1.慢性の肝障害があり、AFPの値が200~400ng/mlなら肝臓がんの可能性が高い。

2.400~1000ng/ml以上であれば非常に疑わしい。

3.3000ng/ml以上なら95%、200~3000ng/mlなら4分の3が原発性肝がんで、残りは肝炎、肝硬変、転移性肝がんとされています。

胃がんや膵臓がん、胆道がん、大腸がんなど、肝臓がん以外のがんでも、ときに基準値以上となる場合がありますが、肝臓がんほど高値にはなりません。

AFPが基準値以上を示したら、第一に肝臓がんを疑い、肝臓がんで高知を示すほかの腫瘍マーカー(PIVKA-Ⅱ)を測定したり、腹部超音波検査や腹部CT検査を行って腫瘍の存在を確認します。

【附 則】

妊婦の場合は、胎児から移行したAFPのために妊娠八ヶ月をピークに高値となりますが、それが異常に増加した場合には、異常妊娠が疑われるため、そのスクリーニングとしても利用されます。