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2014年3月7日金曜日

出血時間

【どのような検査なのか?】

体の耳たぶをランセットで傷つけて出血させ、出血から止血までの時間を測定する検査です。

よく実施されているのはデューク法という検査方法で、耳たぶに2mm程度の小さな傷をつけて出血させ、30秒おきに濾紙で血液を拭き取り、血液が濾紙に完全に付着しなくなるまで続け、出血が止まるまでの時間を計ります。

一般的に手術前に調べられるひとつの検査で、出血して血が止まりやすいかを調べます。

【検査の目的】

出血が自然に止まるまでの時間を測定することによって、血液凝固作用を持つ血小板の機能と毛細血管の状態を検査します。

【基準値】

2~5分

【出血時間の延長する病態】

1.血小板数の低下

2.血小板機能の低下

3.血管壁の脆弱性の存在

が考えられますが、中でも2の意義が最も大きいです。

※血小板の数が正常であるにもかかわらず、血小板機能が低下している病態は多く見られますので、血小板機能の低下をスクリーニングする検査が出血時間ということになります※

【検査上の注意】

必ずしも正確な数値が出るとは限らないことから、最近は血小板数やプロトロンビン時間、活性化部分トロンボプラスチン時間など、客観的な数値の得られる検査を行なう傾向にあります。

【最近の動き】

かなり以前から術前検査には、出血時間は不可欠の検査とされてきましたが、術前検査に出血時間が必要かどうかは、専門家の間でも意見が分かれてきています。

術前検査として出血時間は不要と考える専門家は、出血時間と手術関連出血量は全く関連しないというもので、このことを証明した論文が実際に存在します。

反面術前検査として出血時間は必須と考える専門家も多く存在します。

その理由の一つとして、いいわゆる"隠れvon Willebrand病"が相当数存在するという意見です。

von Willebrand病のスクリーニング検査は、出血時間とAPTTですが、APTT検査が正常になってしまう軽症~中等症von Willebrand病がかなり存在するという考え方によってやはり出血時間は必要とされるわけです。

現実、術前検査から出血時間を削除した施設もかなりあります。


【異常があった時の対応】

血小板数やプロトロンビン時間、活性化部分トロンボプラスチン時間などの検査をするとともに、その他の精密検査を受け、原因を見つけて治療します。

【異常な場合に疑われる病気】

血小板減少性紫斑症
全身性エリテマトーデス
血管内血液凝固症
血小板無力症
骨髄腫
尿毒症
フォン・ウィレブランド病
非ステロイド系消炎鎮痛剤の内服時
抗血小板薬内服時(アスピリン、プラビックス、パナルジン、プレタール、プロサイリン、ドルナーなど)