血液の鉄人の理解しやすく役立つ臨床検査の部屋 Headline Animator

2016年10月20日木曜日

梅毒検査の適切な受け方

梅毒の流行が止まりません。

このことから、梅毒検査の適切な受け方を急遽ご紹介します。

多くの方が既に理解されており、何を今更と言われそうですが、再度ご一読下さい。

そして、不安な行為をしてしまった場合には必ず梅毒検査を正しく受けることをお勧めします。

梅毒患者の増加は、HIV感染者の増加に結びつくことを、夢々お忘れなく!!

梅毒の検査は、血液中に脂質抗体または、TP抗体があるかどうかで判定します。

※脂質抗体とは、梅毒トレポネーマが感染し、その結果体の組織が壊れて出てくるカルジオリピンに対する抗体※

※TP抗体とは、生体が創りだす梅毒トレポネーマの感染抗体※

1.脂質検査

STS検査と呼ばれ、カルジオリピンを抗原として、脂質抗体を見つけ出します。

脂質抗体は、感染後1ケ月で陽性となります。

但偽陽性反応をよく起こすので、TP抗体検査で偽陽性か真の陽性かを調べます。

2.TP検査

梅毒トレポネーマを抗原として検査をします。

TPHAが最もポピュラーです。

その他多くのTP検査が開発されていますが、TP抗体は感染して5週以降にできますから、早い時期に受ければ偽陰性反応を起こします。

TP検査で早く信頼できる結果を得るには、IgM-FTA-absを受けることです。

この検査、IgM-FTA-abs検査はIgM型のTP抗体を検出するための検査法です。

このIgM抗体は、梅毒に感染後1週間程度で身体中にできることから、IgM-FTA-abs検査は梅毒に感染後1週間で受ければ信頼出来る結果が得られます。

梅毒感染後早く陽性となる順番は、以下のとおりとなります。

1.IgM-FTA-abs検査

感染後1週間

2.FTA-abs検査

感染後3週間

3.STS検査(ガラス板法、RPR検査)

感染後4週間

4.TPHA検査

感染後5~6週間

検査方法は、脂質抗原法とTP抗原法の2種類を組み合わせて総合的に判断するという。

TP検査は一度感染して陽性となるとと、一生陰性化することはないため、治療の具合を調べたり、完治した後に、再度感染した可能性がある場合は、脂質抗原法で検査する必要があります。

梅毒検査も受け方により間違った結果となってしまいますので注意が必要です。

2016年10月6日木曜日

電解質検査-6.マグネシウム(Mg)-

電解質のひとつであるマグネシウム(Mg)について解説いたします。

マグネシウム(Mg)は、体内では4番目に多い電解質です。

血液中には僅かしか存在しておらず、ほとんどは骨の中にあります。

【マグネシウム(Mg)の働き】

役割としては骨や歯を作るのにはなくてはならないもので、更に神経、筋肉を正常に働かせるためにも必要です。

酵素の働きにもマグネシウムが必要とされます、マグネシムがないと酵素はうまく働いてくれません。

マグネシウムは人間の体で3000以上の酵素の補酵素としてはたらいていることから、マグネシウムが不足すると人間のほとんどすべての臓器が正常に働かなくなります。

また、心臓や血管が正常に働くのも、マグネシウムがあってこそです。

善玉コレステロールを増やし、悪玉コレステロールを減少させる働きをし、腸では水分を集めることで便通をよくすることも認められています。

更にマグネシウムはカルシウムと同様に、神経、筋肉の興奮に大切なミネラルです。

【検査方法】

イオン選択電極法で調べます。

【基準値】

マグネシウム(Mg)…1.4~2.1mEq/l

※検査方法や施設によって若干異なります※

【異常値】

高マグネシウム血症・・・血漿マグネシウム濃度が2.1mEq/L(1.05mmol/L)を上回る

主な原因としては、

・腎不全

症状としては、低血圧,呼吸抑制,心停止を引き起こすことがある。

※グルコン酸カルシウムを静脈内投与する※

※腎臓が正常に機能していない場合や、高マグネシウム血症が重症である場合は、透析が必要となる※

低マグネシウム血症・・・血漿マグネシウム濃度が1.4mEq/L(0.70mmol/L)未満

原因としては,

・大量のアルコール摂取により、食物の摂取量が減少しその結果マグネシウム摂取量も減少するとともに、マグネシウムの排出量が増加する。

・長期間の下痢によりマグネシウムの排出量が増加し、不足に陥る。

・アルドステロン、抗利尿ホルモン、甲状腺ホルモンの濃度の上昇により排出量が増加し、マグネシウムが減少する。

・マグネシウムの摂取不足および吸収不足

・高カルシウム血症またはフロセミドなどの薬物による排泄増加

※欠乏症が現れたとき、もしくは症状が持続するときは、マグネシウムを経口で投与する※

※アルコール依存症の患者にはもれなくマグネシウムを投与する※

※マグネシウム濃度が非常に低く、重度の症状が起きている場合や、口からマグネシウムを摂取できない場合は、筋肉または静脈に注射で投与する※。

【おまけ】

マグネシウムの不足は、筋細胞や神経細胞の情報伝達に影響を与え、筋肉の痙攣を引き起こすと考えられています。

従って日常生活や運動時にマグネシウムが不足すると、筋肉の痙攣や筋疲労の原因となりますから不足しないようにマグネシウムの不足には気をつける必要があります。

毎日80~210mgのマグネシウムを摂取する必要があります。

マグネシウムを豊富に含む食物やサプリメントで補う必要があります。