血液の鉄人の理解しやすく役立つ臨床検査の部屋 Headline Animator

2016年1月26日火曜日

脂質検査-4.LDLコレステロール-

LDLコレステロールは、肝臓でつくられたコレステロールを各臓器に運ぶ働きをしている低比重リポたんぱくですが、このLDLコレステロールが血液中に増えすぎると、血液内に使われなかった余分のコレステロールが残り血管に染み込んでしまいます。

これが動脈硬化を引き起こす原因となります。

この動脈硬化の最大の危険因子となるのが、一般的に「悪玉」と呼ばれているLDLコレステロールです。

【検査目的】

動脈硬化を促進するのはLDLコレステロールですから、正確に脂質異常症を判定するには、総コレステロールの値よりもLDLコレステロールを測定することが必要となります。

成人病検診や一般検診で検査されます。

【基準値】

70~139mg/dl

【異常値】

高値…脂質異常症、動脈硬化、糖尿病、甲状腺機能低下症、ネフローゼ症候群、肥満など

低値…肝硬変、甲状腺機能亢進症、先天性無βリポ蛋白血症、慢性肝炎など

【低LDLコレステロール血症とは】

低コレステロールでは低栄養や死に至るリスクが高くなることが認められており、その点からみると実は低LDLコレステロール血症も恐ろしいということを認識しておく必要があります。

"LDLコレステロール値が低いほど死亡率が高まる"、"LDLコレステロール値が低いほどがんの発症率が高くなる"といったデータ報告があります。

また、LDLコレステロール値が低いと、"血管が破れやすくなる"、"免疫力が低下する"、"貧血を起こしやすくなる"ともいわれています。

【おまけ】

総コレステロール値に関係なく、LDLコレステロールの値が高いというのが良くありません。

高い場合には過食を避けて運動量を増やすように生活を改める必要があります。


2016年1月17日日曜日

脂質検査-3.HDLコレステロール

血液中のコレステロールは、たんぱく質と複合体を形成してリポタンパクとして存在しています。

リポタンパクは、比重の重さによって高比重リポタンパク(HDL:high density lipoprotein)、低比重リポタンパク(LDL:low density lipoprotein)、超低比重リポタンパク(VLDL:very low density lipoprotein)、カイロミクロン(cylomicron)の、4種類に分類されています。

これらの内、コレステロールを主に運んでいるのがHDLとLDLで、HDLに運ばれているコレステロールをHDLコレステロール、LDLに運ばれているコレステロールをLDLコレステロールと呼んでいます。

HDLコレステロールは、血液中の余分なコレステロールを回収して肝臓に運び戻し、動脈硬化を防ぐことから、"善玉コレステロール"とも呼ばれています。

【検査目的】

HDLコレステロールの値を調べることで、動脈硬化などのリスクがわかります。

【基準値】

40~70mg/dl

※検査方法や施設によって若干異なります※

【異常値】

低い場合・・・脂質代謝異常、動脈硬化、糖尿病、心筋梗塞、高血圧など

総コレステロールや LDL, 中性脂肪が正常でも、動脈硬化が進行し「高血圧、糖尿病、肝硬変、虚血性心疾患」などが発生しやすくなります。

高い場合・・・コレステロール転送たんぱく欠損症

総コレステロール値も高くなっていることが多く、やはり望ましいことではありません。

【受診時または検査時の注意点】

HDLとLDLのバランスが重要で、コレステロール値が高めでもHDL値が高く、LDL値が低めなら問題がありません。

逆の場合は、将来狭心症や心筋梗塞などの病気を招く危険性が高いので注意が必要となります。

【おまけ】

HDLコレステロールは、上記でも記しましたように、各組織からコレステロールを肝臓に運ぶ働きがあり、抗動脈硬化作用があるため、高いほうが冠動脈疾患になりにくいといわれています。

現在のところ、HDLコレステロールが低い場合や、高HDL血症のように高すぎる場合も注意が必要です。

男性より女性のほうが高い値を示しますが、閉経後はほぼ同じ値を示します。

これは女性ホルモン(エストロゲン)が影響しているためです。

エストロゲンは、LDLコレステロールを減少させ、HDLコレステロールを増やす働きがあるために、閉経によってエストロゲンの分泌量が低下すると、HDLコレステロールは閉経前よりも低い値となります。

適度な運動、適度な飲酒はHDLコレステロールを増加させる傾向があります。

喫煙する人やや肥満の人は、HDLコレステロールが減少する傾向があるので注意が必要です。

※LDLコレステロールについては次回解説いたします※

2016年1月1日金曜日

謹賀新年 2016年

明けましておめでとうございます。

本年も皆様のお役に立てるように、臨床検査についての種々の情報等を発信していきますので、よろしくお願い致します。