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2016年12月19日月曜日

ヘルペスウイルスについて-6.HHV-5(ヒトサイトメガロウイルス)ー

【HHV-5とは】

ベータヘルペスウイルス亜科に属し、ヒトサイトメガロウイルス(human cytomegalovirus:HCMV)と呼ばれています。

※サイトメガロウイルス(CMV)とも呼ばれます※

※本稿ではサイトメガロウイルス(CMV)と呼ばずにHHV-5として解説していきます※

宿主の細胞の核内に光学顕微鏡下で"フクロウの目(owl eye)"様の特徴的な封入体を形成する特徴があります。す。

※封入体とは、ウイルスに感染した細胞の核内にみられる顆粒状の異常な構造物のことをいいます※

このウイルスは種特異性が強く、ヒト以外の動物には感染しません。

日本人の場合、乳幼児期の感染率が高く大多数の人が感染し抗体を持っていることから再感染することはありませんが、ヘルペスと同様に再発することはあります。

健康な人は感染しても症状が出にくいですが、乳幼児期に感染していない人で、性的に活発な若い成人層に感染が多いとされています。


【HHV-5の感染源と感染経路】

HHV-5は、感染者の体液(唾液、涙、母乳、尿、便、血液、腟液、精液など)に周期的に排出され、これらの体液との密接な接触により感染します。

したがって性行為・オーラルセックスによって感染する。

以上のことから性行為感染症のひとつに分類されています

感染方法としては、

1.先天性感染

妊娠中に母親が初めて感染して、それが胎盤を通して胎児に感染した場合に、出産時に異常がある場合が1割程度あります。

2.後天性感染

感染者の体液(唾液、涙、母乳、尿、便、血液、腟液、精液など)に周期的に排出されるこれらの体液との密接な接触により感染します。

ただし、乳幼児期などに一度感染していれば再度感染することはありません。

一度感染すると再度感染しませんが、体内にHHV-5が潜んでいるため免疫力が低下すると症状が出ることがあります。

【HHV-5の感染の症状】

男女ともに同じような症状が出ます。

主な症状としては、

倦怠感(だるさ)
発熱
のどの痛み
首のリンパ節のはれ
湿疹が出る
肝臓や脾臓の拡大、肝機能異常など

【HHV-5の治療】

治療薬としてはガンシクロビル、フォスカーネット、シドフォビル、バラシクロビルなどの抗ウイルス薬、抗CMV高力価免疫グロブリン、ヒト型抗CMV単クローン抗体などあります。

【検査を受ける時期】 

ウイルスを含む体液や血液に接触してから、20~60日後に症状が出ますが、感染しても全く症状のでない人もあります。

検査を受ける時期としては、ウイルスを含む体液や血液に接触してから、20~60日後に受ける必要があります。

また、何らかの自覚症状を感じたら医療機関で早期診断を受ける必要もあります。

【HHV-5の検査】

1.mRNAを検出するNASBA (nucleic acid sequence based amplification )法
2.ウイルス抗原を検出するantigenemia 法
3.DNA 検出するPCR 法
4.直接ウイルスを分離する方法
5.抗体検査

【抗体検査の判定方法】

○IgM陰性、IgG陰性の場合・・・過去・現在において感染なし。

○IgM陰性、IgG陽性の場合・・・過去にCMVに感染経験があり、既にCMVに対する免疫を保持しており、CMVは体内に潜んだ状態になっていると考えられる。

○IgM陽性、IgG陰性の場合・・・最近CMVに初めて感染したこと考えられます。。

○IgM陽性、IgG陽性の場合・・・比較的最近CMVに感染したと考えられますが、それが初感染か再感染または再活性化かの区別はできません。

【HHV-5と妊娠】

妊娠中にHHV-5に初感染すると、胎児に先天性の障害が発生する可能性があります。

最近では、妊娠可能な年齢の女性における抗体保有率が90%~70%まで下がっていることが明らかになっていることから、妊婦の間でHHV-5の初感染者が増えていまする。

したがって妊娠前にはHHV-5に感染した既往があるかを知っておく必要があります。

【HHV-5とHIVの関係】

AIDSで死亡した人の約70%以上にHHV-5感染が見られています。

HHV-5に感染しているとHIVに感染しやすくなるのではなく、HIVに感染して体の免疫機能が低下することにより、 HHV-5に感染しやすくなると言うことです。

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