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2016年6月21日火曜日

HIV検査に応用されている検査手法について-8.ダイナスクリーン・HIV Combo

イムノクロマトグラフ法による第四世代の抗原抗体検査法で、血清、血漿及び全血中のHIV-1 p24 抗原及びHIV-1・HIV-2抗体の検出をおこなう迅速HIVスクリーニング検査試薬です。

【販売メーカ】

アリーアメディカル株式会社から販売されています。

【検査原理】

イムノクロマトグラフ法を原理とするHIV-1p24抗原と抗HIV-1抗体、抗HIV-2抗体を検出する試薬です。

検体中にHIV-1p24抗原が存在する場合は、抗原はテストストリップのビオチン化抗HIV-1p24リコンビナント抗体、セレニウムコロイド標識抗HIV-1p24マウスモノクローナル抗体と結合し、固相化されたアビジンにビオチンが結合することにより、抗原判定窓に赤色のラインが形成されます。

また、検体中に抗HIV-1又は抗HIV-2抗体が存在する場合、抗体はセレニウムコロイド標識HIV抗原と結合し、固相化されたHIV抗原に結合して抗体判定窓に赤色のラインが形成されます。

この形成される赤色ラインを肉眼で観察して血中にHIV-1p24抗原及び抗HIV-1抗体、抗HIV-2抗体の有無を判定します。

【検査方法】

1.検体(血清・血漿)を50μLを検体滴下部位に滴下後、20分間静置。

2.検体が全血の場合は、50μLを検体滴下部位に滴下して、染み込むまで1分間静置してから、全血展開液を1滴滴下して19分間静置。

3.20分が経過してから肉眼でラインの有無を判定する。

【非特異反応の出現率】

肉眼で赤色ラインを判定することから、1~5%前後の偽陽性反応が見られます。

【感度】

適切な時期に受けることで、抗原及び抗体は、ほぼ100%検出可能です。

【検出可能なグループとサブタイプ】

HIV-1抗原

HIV-1 group M subtype A、B、C、D、F、G、H 、CRF01-AE、CRF02-AG、HIV-1 group O の全てのHIV-1抗原。

HIV抗体

HIV-1 group M subtype A、B、C、D、F、G、H、J、K、CRF01-AE、CRF02-AG、CRF03-AB CRF05-DF、CRF09-A/U、CRF11-cpx、HIV-1 group O、HIV-2の全てのHIV抗体。

【日本での普及率】

2015年6月に厚生労働省に認可され、2015年12月より販売されましたから、同じ抗原抗体検査のエスプラインHIV Ag/Abに様に普及していないと考えられています。

今後保健所や医院で採用されるものと考えられます。

【測定結果の判定法】

検体滴下20分後にコントロールラインと抗原判定ライン及び抗体判定ラインを肉眼で観察し、赤色ラインの有無を確認して判定する。

1.抗原陽性・・・抗原判定窓及びコントロール判定窓の両方に赤色ラインが現れた場合。

2.抗体陽性・・・抗体判定窓及びコントロール判定窓の両方に赤色ラインが現れた場合。

3.抗原抗体が共に陽性・・・抗原判定窓、抗体判定窓及びコントロール判定窓に赤色ラインが現れた場合。

4.陰性・・・・・コントロール判定窓だけに赤色ラインが現れ、抗原判定窓及び抗体判定窓には赤色ラインが現れない場合。

5.判定無効(再検査)・・・コントロール判定窓に赤色ラインが現れない場合。

※判定ラインの赤色の強さは、HIV抗原または抗HIV抗体の力価を定量的に反映していませんので、ラインの色が濃いいから抗原や抗体が多く血液中にあるとは限りません※

【検査時の注意】

検体滴下20分後に肉眼で判定する。

40分を超えて判定することは出来ません。

※反応時間が40分を超えた場合は、誤判定を招く恐れがあるので再度検査をし直す必要があります。

【検査費用】

保険点数

実施料121点+検体検査判断料144点で265点

※この点数に初診料等が加算されます※

※自費診療の場合は、個々の医療機関によって異なります※

【検査を受ける時期】

1.HIV-1抗原は、不安な行為より30日から50日前後で受けることにより信頼できる結果が得られます。

※50日以上経過して受けると、血液中のHIV-1抗原の量が少なくなっていていることから、陽性であっても偽陰性反応を呈することがあります※

2.HIV-1及びHIV-2抗体は、不安な行為から12週以降に受けることにより信頼できる結果が得られます。

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