血液の鉄人の理解しやすく役立つ臨床検査の部屋 Headline Animator

2015年4月20日月曜日

HIV検査に応用されている検査手法について-7.セロディア・HIV-1/2について-

【セロディア・HIV-1/2とは】

HIV-1抗体およびHIV-2抗体検出用試薬です。

【販売メーカ】

富士レビオから販売されています。


【検査原理】

ゼラチンを粒型化した人工担体に不活化処理HIV-1抗原および不活化処理HIV-2抗原をそれぞれ吸着させ、これらの感作粒子が検体中のHIV-1抗体またはHIV-2抗体と反応し、凝集することを応用した粒子凝集反応法(PA法:Particle Agglutination Test)検査です。
【検出抗体】

ヒト血液中のHIV-1抗体とHIV-2抗体を区別して検出出来ます。

【特異性】

非常に高い特異性を有することからヒト血液中のHIV-1抗体とHIV-2抗体を区別して検出できます。

【非特異反応の出現率】

ゼラチン粒子に対して非特異的に反応をするヒトがいることから、0.03%以下の偽陽性反応が見られます。

【検出可能なグループとサブタイプ】

HIV-1の以下のタイプに対する抗体は全て検出可能

グループM(サブタイプA~H)

グループ0

グループN

HIV-2のサブタイプA~Gに対する抗体は検出可能

【日本での普及率】

HIV抗体スクリーニング検査で陽性となった場合、HIV-1抗体とHIV-2抗体のどちらを有するかを検査して、HIV-1またはHIV-2の感染であることを区別する目的で利用されている。

【判定基準】

・陽 性 

未感作粒子の反応像の読みが(-)で、HIV-1感作粒子またはHIV-2感作粒子の反応像の読みが(+)以上を示すものを陽性と判定。

・陰 性 

未感作粒子の反応像の読みが(-)で、HIV-1感作粒子またはHIV-2感作粒子の反応像の読みが(-)を示すものを陽性と判定。

・判定保留

未感作粒子の反応像の読みが(-)で、HIV-1感作粒子またはHIV-2感作粒子の反応像の読みが(±)を示すものを判定保留判定。

・非特異反応

未感作粒子の反応像の読みが(+)で、HIV-1感作粒子またはHIV-2感作粒子の反応像の読みが(+)又は(-)を示すものを非特異反応として判定保留判定。

※判定保留又は非特異反応の場合は、再度検査を実施する※

【結果判定】

1.HIV-1感作粒子とHIV-2感作粒子が共に陽性:HIV-1とHIV-2の感染。

2.HIV-1感作粒子のみが陽性:HIV-1の感染。

3.HIV-2感作粒子陽性:とHIV-2の感染。

4.HIV-1感作粒子とHIV-2感作粒子が共に陰性:HIV-1とHIV-2の感染は無し。

※HIV-1とHIV-2陽性の確認は、ウエスタンブロット法などの異なる専用試薬で再検査を実施する※

【利用上の注意】

セロディア・HIV-1/2は、HIV-1とHIV-2の感染を区別する検査ですから、HIV抗体のスクリーニング検査としては利用できません。

あくまでもHIV抗体のスクリーニング検査で陽性となった場合に初めて使用して、HIV-1とHIV-2のいずれかに感染しているかを判断するために使用する検査法です。

2015年4月9日木曜日

HIV検査に応用されている検査手法について-6.もうひとつのリアルタイムPCR検査 アキュジーン m-HIV-1について-

HIV検査のPCR検査は、リアルタイムPCR検査がよく知られていますが、現在わが国で
実施されているもう一つのPCR検査の"アキュジーン m-HIV-1"について解説してみます。

【アキュジーン m-HIV-1とは】

HIV-1 RNAを定量的に検出するRT-PCR法(逆転写ポリメラーゼ連鎖反応)を用いた検査です。

【販売メーカ】

アボット社が販売しています。

【最小検出感度】

検体量0.6ml→40コピー/ml

検体量0.5ml→75コピー/ml

検体量0.2ml→150コピー/ml

【測定範囲】

40コピー/ml~10の7乗コピー/ml

【特異性】

100%

【非特異反応の出現率】

おそらく0%

【検出可能なグループとサブタイプ】

HIV-1の以下のタイプは全て検出可能

グループM(サブタイプA~H)

グループ0

グループN

※HIV-2は検出できない※

【HIV-1 グループPは検出可能なのか】

メーカはグループPでの検出検討をしていないのでコメントできないとの回答

現実グループPで検査を行わないと検出出来るか否かは不明です。

【検査はどのようにするのか】

アボット社のAbbott m2000rtアナライザーを使用して全自動で検査を行います。

【アキュジーン m-HIV-1はリアルタイムPCR検査なのか?】

リアルタイムPCR検査です。

【TaqMan HIV-1「オート」の比較】

感度、特異性、検出可能なHIV-1はTaqMan HIV-1「オート」と同じ。

【日本での普及率】

日本国内では、TaqMan HIV-1「オート」が先行販売されたことから、後発販売となったアキュジーン m-HIV-1の普及率は低いのが現状です。