血液の鉄人の理解しやすく役立つ臨床検査の部屋 Headline Animator

2015年2月19日木曜日

HIV検査に応用されている検査手法について-2.第三世代抗体検査(1)-

(1)エライサ法

【HIV抗体検査のエライサ法とは】

エライサ法とは免疫学的測定法のひとつで、抗体を使った免疫学的測定法のひとつでもあり、正式名称は,Enzyme-linked immuno-sorbent assay と言います。

エライサとは、このEnzyme-linked immuno-sorbent assayの頭文字のELISAの略称です。

別名酵素免疫測定法とも言われますがエライサ法の方がよく知られています。

また、EIA法とも呼ばれます。

EIA法は、Enzyme Immunoassayの略称です。

【測定原理】

エライサ法とEIA法の測定原理は同じです。

エライサ法は、マイクロプレートやチューブにHIV抗原を吸着させて検査を行いますが、EIA法はビーズにHIV抗原を吸着させて検査を行います。

エライサ法は抗体と酵素を使った測定法です。

一般的には、96のウェル(穴)を持つマイクロプレートを使い、このウエル内部の表面にHIV抗原を吸着(コーティングとか固相化とも言います)させて使用します。

このHIV抗原は、血清又は血漿中にあるHIV抗体を補足するために使われます。

HIV抗原を吸着したウエルに血清または血漿を加えて一定温度で一定時間放置し、ウエルを薬品で洗浄しそこに酵素標識抗体を加え更に一定温度で一定時間放置し、ウエルを薬品で洗浄し最後に基質を加えてから、酵素標識抗体の発色を機械で測定します。

血清又は血漿中にHIV抗体が存在すれば、ウエルに吸着させたHIV抗原にHIV抗体が結合し、この結合物に酵素標識抗体が更に結合し、発色するわけです。

血清又は血漿中にHIV抗体が存在しなければ、ウエルに吸着させたHIV抗原には何も結合しませんので、酵素標識抗体も結合すること無く発色もしません。

【カットオフインデックス(C.O.I.)の計算】

C.O.I.=(検体の発光量)/C(カットオフ値)

C:HIV 抗体用標準陽性溶液の発光量?0.25

上記の式に基づき検体のC.O.I.を計算します。

【測定結果の判定法】

発光量の測定は全て機械が自動的に行い、カットオフインデックス(C.O.I.)の計算も行ってくれます。

従って陰性、陽性間判定も機械が自動的に行なってくれますから、肉眼で検査する場合と比べて検査を行う人の主観は介在する余地はありません。


【判定基準】

陽性:C.O.I.が1.0以上を示す場合。

陰性:C.O.I.が1.0未満を示す場合。

【利用されているHIV抗原はHIVそのものなのか?】

ウエルやビーズに吸着させているHIV抗原は、ウイルスその物ではなく遺伝子操作によって作られたリコンビナント抗原を利用しています。

あるメーカでは、

HIV-1 Env 13リコンビナント抗原

HIV-1 Env 10リコンビナント抗原

HIV-1 p24リコンビナント抗原

HIV-2 Env ALリコンビナント抗原

の4つのHIVリコンビナント抗原をミックスして使用しています。

2015年2月9日月曜日

HIV検査に応用されている検査手法について-1.イムノクロマト法-

【はじめに】

現在のHIV検査には、

1.リアルタイムPCR検査

2.第三世代の抗体検査

・エライサ法
・PA法

3.第四世代の抗原抗体検査

・酵素免疫測定法
・エライサ法

4.迅速抗原抗体検査及び迅速抗体検査

などがあります。

多くの方からHIV検査とその検査手技についての質問を受けますので、数回に分けてHIV検査の手技について解説していきたいと思います。

今回は第一回目として、イムノクロマト法について解説いたします。

【HIV抗体検査のイムノクロマト法とは】

イムノクロマト法により血漿、血清、全血を使用してこれらの中に存在する抗HIV‐1抗体及び抗HIV-2抗体を検出するキットです。

日本において厚生労働省から認可を受けているキットは、アリーアメディカルから販売されている『ダイナスクリーン』一つしか存在しません。

【測定原理】

検体(血液・血漿・血清)中の抗HIV抗体は、シート下部のセレニウムコロイド標識HIV抗原と反応し、抗HIV抗体-セレニウムコロイド標識HIV抗原の結合物を形成し、この結合物はシート上を移動して、シート上部に固相化されたHIV抗原と結合し、固相化HIV抗原-抗HIV抗体-セレニウムコロイド標識HIV抗原のサンドイッチ型の結合物を形成します。

その結果結シート上の判定窓に出現するセレニウムコロイド由来の赤色のラインの有
無を目視で判定します。

この場合、必ずコントロールラインに赤色のラインが出現している必要があります。

コントロールラインに赤色のラインが認められない場合は、検査が正しく実施されていないことから、再度検査を実施する必要があります。

【測定結果の判定法】

シートの各ストリップ上には、上下に分かれて 2 つの判定窓があり、この 2 つの窓を観察し、赤色のラインの有無を確認する。

結果を判定する前に、測定操作が正しく行われたことを確認するために、ストリップ上部のコントロール窓の中に赤色のライン(コントロールライン)が現れていることを必ず確認する。

コントロールラインが認められる場合は検査結果は有効であるが、認められない場合は検査結果は無効とし、再検査を行う。

※判定ラインに赤色のラインが認められた場合は、赤色の強弱にかかわらず陽性と判定する※

※判定ラインの赤色の強さは、HIV抗体の力価を定量的に反映しません※

※定められた判定時間15分を経過後、判定ラインに薄くラインが出現しても陽性とは判定しない※

【判定基準】

陽 性:ストリップ上部の判定窓の中に赤色のコントロールラインが認められ、ストリップ下部の判定窓の中に赤色のライン(判定ライン)が認められた場合

陰 性:ストリップ上部の判定窓の中に赤色のコントロールラインが認められ、ストリップ下部の判定窓の中に赤色のライン(判定ライン)が認められない場合。

再検査:ストリップ上部の判定窓の中に赤色のコントロールラインが認められない場合。

【イムノクロマト法の欠点】

判定ラインの色調を肉眼で判定することから、どうしても判定者の主観に左右されてしまいます、その結果神経質的に判定すればどうしても薄くラインが有ると判定し偽陽性反応が出現しやすい検査法です。

逆に大雑把な人が判定すれば、薄い判定ラインを見逃すこともあります。

しかし、判定を厳格に見すぎての偽陽性反応が圧倒的に多いのが現実です。

【イムノクロマト法 『ダイナスクリーン・HIV-1/2』の判定方法】

以下を参照下さい。
 ↓ ↓
【イムノクロマト法 『ダイナスクリーン・HIV-1/2』の判定方法】