血液の鉄人の理解しやすく役立つ臨床検査の部屋 Headline Animator

2013年6月24日月曜日

臨床検査における感度と特異度について-2.特異度について-

臨床検査における特異度とは、"本来陰性であるべきのものを正しく陰性と判定する確率"として定義されます。

いわゆる特異度が高いということは、"本来陰性であるべきものを正しく陰性と判定する可能性が高い"、あるいは"本来陰性であるべきのものを間違って陽性と判定する可能性が低い"という意味にほかなりません。

これを具体的に解説しますと、

あるHIV検査キットを用いて100人のHIV陰性者の検査を行った場合、

このHIV検査キットで100人をすべて陰性と判定出来た場合、このHIV検査キットは特異度100%と言うこととなります。

90人を陽性として10人を陽性とすれば、本来陰性となるべきものを陽性とした訳ですから、特異度90%となります。

この場合どちらの検査キットを使用するかと言うと、当然特異度100%の検査キットを使用することになります。

しかし、特異度を100%にしますと、今度は感度が低下してしまい感度100%を保つことができなくなります。

そのためにHIVなどの感染症の感染判断をするスクリーニング検査キットは、特異度100%のキットは使用出来ません。

特異度100%のキットを使用しますと、感度が低下することから感染者を見逃すことになります。

そのためにスクリーニング検査では、特異度100%の検査キットを採用することはできず、確認検査に利用されることになります

要するに確認検査に使用するキットは、真の陰性者をひとりでも間違って陽性とする(偽陽性)とすことのない検査キットが必要とされます。

特異度99%の確認検査キットは使用することはできません。

※感度100%のスクリーニング検査キットでも、その検査を受ける最適な時期に受けないと感度100%とはなりません※

【例】

HIV確認検査は、HIVスクリーニング検査で陽性となった人が真に陽性か否かを確認する検査ですが、スクリーニング検査に比べ感度が非常に低いことから、不安な行為から12週以降に受ければ、実際感染しているにもかかわらず陰性となることがあります。

どのような検査キットでも、検査を受ける最適な時期が決められていますから、その時期に検査を受けてこそ特異度100%が望めるわけです。

受ける時期を間違えて、この検査キットの特異度は100%ではなく80%で低いから使用できないというのは間違いです。

次回は、感度と特異度の関連性について解説いたします。

2013年6月17日月曜日

臨床検査における感度と特異度について-1.感度について-

臨床検査でよく使用される「感度」と「特異度」について解説します。

臨床検査における感度とは、"陽性と判定されるべきものを正しく陽性と判定する確率"として定義されています。

いわゆる感度が高いという事は、"陽性と判定されるべきものを正しく陽性と判定する可能性が高い"、または"陽性と判定されるべきものを間違って陰性と判定する可能性が低い"という意味にほかなりません。

これを具体的に解説しますと、

あるHIV検査キットを用いて100人のHIV陽性者の検査を行った場合、

このHIV検査キットで100人をすべて陽性と判定出来た場合、このHIV検査キットは感度100%と言うことになります。

90人を陽性として10人を陰性とすれば、本来陽性と出ないといけないものを陰性とした訳ですから、感度90%となります。

この場合どちらの検査キットを使用するかと言うと、当然感度100%の検査キットを使用することになります。

特にHIVなどの感染症の感染判断をする検査キットは、感染者を一人でも見逃すことができませんので、感度100%の検査キットしか採用することはできません。

要するにどのようなスクリーニング検査キットにおいても、使用するキットは真の感染者(陽性)をひとりも見逃すことのない検査キットが必要とされます。

感度99%のスクリーニング検査キットは使用することはできません、実際感度99%のスクリーニング検査キットは、日本においては認可されることはありません。

※感度100%のスクリーニング検査キットでも、その検査を受ける最適な時期に受けないと感度100%とはなりません※

【例】

HIV迅速抗体検査は、不安な行為から12週以降に検査を受ければ、感度100%の結果が得られますが、これを不安な行為から6週に受けてその時陰性となり、以後12週で陽性が確認されても、この検査キットは感度100%ではないとは言えません。

どのような検査キットでも、検査を受ける最適な時期が決められていますから、その時期に検査を受けてこそ感度100%が望めるわけです。

受ける時期を間違えて、この検査キットの感度は100%ではなく80%で低いから使用できないというのは間違いです。

特異度に関しては次回解説いたします。

2013年6月10日月曜日

インフルエンザ迅速検査について

インフルエンザは、日本おいては毎年11月~4月に流行が見られますが、夏場でも流行していることが近年明らかになってきています。

これは、インフルエンザ迅速検査の普及によって明らかになりました。

特に 沖縄県ではここ近年、夏のインフルエンザ流行がほぼ毎年続いています。

咽頭拭い液や鼻腔拭い液などの検体を使って迅速にインフルエンザを診断するキットが2001年の秋に承認され、普及してきています。


この検査キットでは、A型インフルエンザもB型インフルエンザも15分で結果が出るようになっています。

重要なことは、インフルエンザ検査が陰性の場合はインフルエンザではないと断定することはできません。

陽性の場合は、まずインフルエンザと断定して間違いはありませんが、陰性の場合にはインフルエンザであることもインフルエンザ でないこともあり得るのです

特に発病後1日以内は感度が低いためインフルエンザであるのに検査では陰性となる可能性があります

検査が陰性であっても主治医の総合的判断によって、検査は陰性であるが臨床症状や流行状況から考えてどう考えてもこれはインフルエンザと、考えれば発症後48時間以内なら効果のある抗インフルエンザ薬を処方します。

※皮肉なことに抗インフルエンザ薬が効果のないと言われる発病後48時間以降にインフルエンザ迅速検査の陽性率は高いのです※

発熱後24~48時間以内が検査の陽性率も高く抗インフルエンザ薬の効果も期待できる貴重な時間帯と言えます。

発熱したら直ぐに受診してインフルエンザの検査を受けることが最適ではありません。

インフルエンザウイルスの増殖は、発病後2~3日で最高に達し、その後急速に減少し、5~7日で消失することからして、迅速診断キットで陽性になるには、インフルエンザウイルスの量がある程度必要で、ウイルスの量が少ない発病の初期は陰性になりやすくなります。

また、一部ではインフルエンザではないのに陽性にでる場合ことが報告されています。

【インフルエンザ迅速検査の信頼性】

陽性の場合はほぼ100%インフルエンザと診断できるが、陰性の場合は注意を要する。

特に大人は小児よりも陰性に出やすく、また発症初日は陰性になりやすい。

その理由としては、インフルエンザウイルス量が検出できる以下の量であるのであって、インフルエンザではないと断言はできない。

※発症後12時間以内は、ウイルス検出率はかなり悪く、24時間以降の信頼性は高くなります※

2013年6月3日月曜日

尿検査-No.11 尿検査の正しい受け方-

尿検査の正しい受け方について解説しておきます。


1.病院が準備した採尿用紙コップを使用して、必ず名前を確認して下さい。


2.陰部を清潔にしてから採尿します、おりものや雑菌が混入すると間違った結果が出てしまいます。

特に女性の場合は気をつける必要があります。

3.検査前日のセックスは厳禁です、なぜなら精子や雑菌の混入などが尿に混入して誤判定の原因になります。

4.なるべく生理中の検査は避けるべきです、なぜなら尿に生理の血液が混入して誤判定の原因になります。

やむを得ない場合は、担当者に、「生理中」であることを伝えてください。
  
5.出始めの尿は採取しないで排尿して、排尿途中の"中間尿"を採取してください。

最初の尿で尿道のx雑菌を洗い流します。

6.検査に必要な尿の量は、コップの1/3から半分もあれば十分で、最低10cc程度あれば検査は可能です。

7.採尿中にコップの中に陰毛などが入っても手で取らないでください。

手に着いている雑菌が混入しますから。

8.異常値を恐れて水などは絶対に入れないことです。

異常があれば水で薄めても、正常値にはなりませんし、むしろ異常値が出てたいへんなことになります。

9.尿検査を受ける前日から果実や清涼飲料水、ドリンク剤など、ビタミンCを含む物の摂取を控えてください。

尿の定性検査は化学反応を利用したものですから、これらに含まれるビタミンC(アスコルビン酸)が影響して潜血反応や尿糖などを偽陰性(-)にしてしまうことがあります。