血液の鉄人の理解しやすく役立つ臨床検査の部屋 Headline Animator

2013年11月27日水曜日

HIVのリアルタイムPCR検査


この検査は、HIV-1の遺伝子の一部である核酸を化学的に増幅させて調べる検査法です。

HIV-1の遺伝子の一部である核酸を化学的に増幅させて調べる検査ですから、感染してから11日以降に受ければ信頼できる結果が得られます。

HIV-1の遺伝子の一部である核酸を調べる検査法ですから、当然のことながらHIV-2を検出することは出来ません。

2013年11月現在、HIVのリアルタイムPCRではHIV-2を検出することは出来ません。

※一部研究室レベルでは、特殊なPCR検査法でHIV-2を検出出来る検査法が行われていますが、一般の医療機関やクリニック、保健所ではこの検査を受けることは出来ません※

※血液センターで実施されているNAT検査は、HIV-2を検出することは可能ですが、NAT検査は血液センター専用の検査ですから医療機関やクリニック、保健所ではこの検査を受けることは出来ません※

※※NAT検査でHIV-2が検出されるから、検査目的の献血は絶対にしてはなりません※※

2013年11月26日の厚生労働省と日赤発表のような献血血液からのHIV感染を引き起こすことになりますから(詳細は新医学と切手の極意の『医事通信』に掲載しております)。
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                    http://tetsujin.hiho.jp/iji/iji.html

2013年11月20日水曜日

風疹抗体検査

風疹は、風疹ウイルスによって引き起こされる急性熱性発疹性疾患で、日本では"三日はしか"と呼ばれています。

子供が感染しても症状は軽くてすぐに治ってしまいますが、妊娠初期に妊婦が感染した場合は先天性風疹症候群が大きな問題となっています。

効果的な治療法は無く、ワクチンによる予防が最も効果的な方法です。

また、昔から風疹に一度感染した人は免疫ができて二度とかからないと言われていますが、歳を重ねるとともに風疹の中和抗体が低下して再度感染することが近年明らかになっています。

【感染経路と症状】

風疹ウイルスは感染者の鼻汁に含まれ、飛沫感染または直接接触によって感染します。

潜伏期間はおよそ2~3週で、初期症状としては微熱、頭痛、倦怠感、鼻水、せき、痛みのないバラ色の口蓋斑点が出現します。

顔、耳後部から、赤く癒合性のない点状の紅斑(発疹)が全身に広がり、多くは3~5日程度で消えますが、20~25%は発疹が出現しない人もあります。

大人が感染した場合は発熱や発疹の期間が小児に比べて長く、関節痛がひどいことがあり、一週間以上仕事を休まなければならない場合もあります。

【検査法】

血清を用いてのCF法(Comlement Fixation Test:補体結合試験)、HI法(Hemagglutination Inhibition Test:赤血球凝集抑制試験)、EIA法EIA法(Enzyme Immunoassay:酵素免疫測定法)などがあります。

※検査法によって判定基準が異なります※

【EIA法による判定】

・抗体価8倍未満:陰性

地域で風疹が流行していたり、風疹患者と接触すると感染するリスクが高くなるので、人ごみや子どもの多い場所をできるだけ避け、風疹ワクチンを接種するなどして、感染を防ぐ必要があります。

・抗体価8~45倍:適度の抗体がある

適度の感染予防抗体があるので、普通は心配ありませんが、風疹患者と濃厚な接触をした場合は追加検査を受ける必要があります。

・抗体価45倍以上:高抗体価(HI法及び、風疹IgM抗体を測定、またはIgG-EIA及び風疹IgMを測定して、最近の感染かどうかを調べる)

【IgM抗体とIgG抗体について】

IgM抗体は、感染直後からすぐに上昇し、その後徐々に減少して行きますが数ヶ月間は陽性となっています。

IgM抗体が陽性の場合は、風疹ウイルスに感染していると判断できます。

IgG抗体は、感染したあと約1ヶ月後より陽性となり、数ヶ月間から数年から10年間抗体価の高い状態が続きます。

【IgM抗体とIgG抗体検査による感染の判断について】

・IgG抗体が陽性でIgM抗体が陰性の場合は、過去に風疹に感染したか、風疹ワクチンを接種が原因と判断されます。

・IgM抗体が陽性でIgG抗体が陰性の場合は、最近感染したと判断されます。

・IgM抗体とIgG抗体が共に陰性の場合は、過去から現時点まで感染はなかったと判断されます。

2013年11月13日水曜日

ロタウイルス検査-ラピッドエスピー《ロタ》検査-

【ロタウイルスとは】

ロタウイルスはレオウイルス科に属するウイルスで、1973年に下痢を起こした患児から初めて発見され、電子顕微鏡で車輪のような形に見えることから、このウイルスはラテン語の「車輪」を意味する"ロタ(rota)"と命名されました。

【感染について】

ロタウイルスは、非常に感染力が強く特に免疫力の弱い小児(6ヶ月~2歳)期に必ずと言っていいほど感染する病気です。

症状としては、水のような多量の下痢便で、便の色も白っぽくなることから"白色便性下痢とも呼ばれています。

更に激しい嘔吐を伴うことも多いことから、"嘔吐下痢症"、"小児仮性コレラ"などとも呼ばれています。

秋から冬にかけて流行することから"冬季下痢症"とも呼ばれます。

ロタウイルスに汚染された唾液や便や食べ物が口から入ることにより、1~3日の潜伏期間をへて下痢が始まります。

ロタウイルスは、およそ1週間便中に排泄され感染源となります。

ロタウイルスは増殖力が強く、10個前後の少ない数が体内に入っても発症することがあります。

ロタウイルスは、嘔吐物や大便には多く含まれていますが、一部は飛まつとなって空気中を飛び回り、感染を繰り返しますから、家族でひとりの感染者が出ると家族全員が感染することがよくあります。

ロタウイルス感染は、乳幼児だけでなく、大人にも感染します。

免疫が低下した大人(とくに高齢者)は感染しやすくなりますので注意が必要となります。

【治療法】

ウイルスが原因なので、特効薬は無く対処療法のみとなります。

激しい下痢が起こりますが、下痢止めを使用すると逆にロタウイルスが排泄されず症状が長引くことがあるので使用しないで、下痢で失われた水分や電解質を補うことが重要となります。

嘔吐や下痢によってロタウイルスが体内から排出されれば、症状は速やかに改善しますので、普段健康な人は全く心配はありません。

乳幼児や小児の場合嘔吐を伴い飲み物が飲めない場合は、点滴治療が必要となります。

【ラピッドエスピー《ロタ》検査キットについて】

金コロイド粒子を用いたイムノクロマトグラフィーの原理に基づく簡易キットです。

採取した糞便を希釈用緩衝液中に十分に混ぜあわせた後に、サンプリングループを抜き取り、そのままの状態で、1~2分放置後、チューブ内に、テストストリップを矢印の向きが下向きになるように挿入し、ストリップの先を検体溶液に浸漬させた状態で15~30℃で、10分間静置反応させます。

【判定方法】

結果を目視判定します。

1. 陽性:テストストリップのコントロールラインと判定ライン両方に、赤~紫色のバンドが確認出来る。

2.陰性:テストストリップのコントロールラインのみに赤~紫色のバンドが確認され、判定ラインにバンドが確認出来ない。

3.判定保留:テストストリップのコントロールライン上に赤~紫色のバンドが現れない場合は、たとえ判定ラインに何らかのバンドが形成されたとしても、その試験結果は無効となり再度検査をし直す必要があります。

【注意点】

ロタウイルスに感染していても糞便中のロタウイルス抗原の濃度がキットの検出感度以下の場合や、糞便の採取が不十分であった場合にも陰性となる可能性があります。

2013年11月6日水曜日

ヘリコバクター・ビロリ抗原検査

ヘリコバクター・ピロリ(以下H.Pと略します)は、1983年、ロビン・ウォレンとバリー・マーシャルによって胃炎患者の胃粘膜から分離され、現在では胃・十二指腸潰瘍、胃炎、胃癌等の疾患にH.Pの感染が深く関与している事が知られています。

H.Pはグラム陰性のらせん菌で数本の鞭毛を持ち、大きさは2~5ミクロン程度の大きさで、強いウレアーゼを産生して、アンモニアで自らの周辺の胃酸を中和(pH6~8)し、胃に感染し強い胃酸の中でも生き続けることが出来ます。

H.Pに感染すると、慢性胃炎、胃潰瘍や十二指腸潰瘍を引き起こすだけではなく、胃癌や、MALTリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫などの発生に繋がることが報告されている他、特発性血小板減少性紫斑病、小児の鉄欠乏性貧血、慢性蕁麻疹などの胃外性疾患の原因となることが明らかにされています。

細菌の中でヒト悪性腫瘍の原因と成りうることが明らかになっている唯一の病原体です。

【テストメイト ラピッド ピロリ抗原】

わかもと製薬が開発し、日本ベクトン・ディッキンソンが発売している糞便中のヘリコバクター・ピロリ抗原に特異的に反応するモノクローナル抗体を用いた、イムノクロマトグラフィー法を原理とする糞便中ヘリコバクター・ピロリ抗原検出用試薬です。

本品は固相化抗体、標識抗体ともモノクローナル抗体を使用し、特異性が優れています。

【検査の原理】

イムノクロマトグラフィー法により便中のH.P抗原を検出します。

希釈した便検体を反応シートの試料滴下部位に滴下し、検体中にH.P抗原が存在すると、反応シート中の赤色標識抗体と結合し、免疫複合体を形成し、この免疫複合体は毛細管現象により移動し、反応シート上の固相化された捕捉抗体に捕捉され、赤色判定ラインを形成します。

一方、免疫複合体を形成しなかった赤色標識抗体は、固相化されたコントロール抗体に捕捉されて赤色コントロールラインを形成することにより、検査の正確性の指標となります。

これらの赤色ラインを目視で確認し、検体中のH.P抗原の有無を判定します。

【検査の注意点】

専用容器に採便して、可能な限り早く提出します。

提出が遅れる場合は、2~10℃(冷蔵庫)に保存して直ぐに提出する必要があります。

【判定法】

1.判定窓にコントロールラインと判定ラインを認めた場合:H.P抗原陽性

2.判定窓にコントロールラインを認め、判定ラインが認められなかった場合:H.P抗原陰性

3.判定窓に判定ラインのみを認めた場合:再検査(検査ミス、試薬の劣化)

4.判定窓にラインが認められなかった場合:(検査ミス、試薬の劣化)

【H.Pの治療】

H.Pが胃の中に存在することが確認されれば、H.Pの除菌を実施します。