血液の鉄人の理解しやすく役立つ臨床検査の部屋 Headline Animator

2011年11月30日水曜日

感染症検査-1.B型肝炎検査⑦HBV検査のまとめ-


⑦HBV検査のまとめ

各種HBV検査のまとめとして、検査結果の解釈を簡潔に解説します。

1.HBs抗原 陽性

HBVに感染していることを意味します。

2.HBs抗体 陽性

HBV感染の既往があり、その結果身体の中にHBV感染防止防御として働く中和抗体が出来ているので、以後HBVが身体の中で活動することも、第三者にも感染させることがありません。

3.HBc抗体 陽性

HBV感染の既往があったことを意味し、とくにHBc抗体の著増は現在HBVに感染していることを意味します。

4.IgM型HBc抗体 陽性

低抗体価の場合は、B型急性肝炎の回復期、あるいはB型慢性肝炎の増悪期を意味します。
高抗体価は、B型急性肝炎の発症期を意味します。

5.HBe抗原 陽性

血液中のHBV濃度が高いとされ、感染力が高いことを意味します。

6.HBe抗体 陽性

感染性は低いか、あるいはほとんど無く、HBs抗原陽性でHBe抗体陽性の場合は、血中にはHBVがほとんど認められず、感染性は低いことを意味します。

7.HBV-DNAとHBV関連DNAポリメラーゼ 検出

HBV増殖のマーカーで、血液の中のHBV量を示します。
この検査で血液中のHBVの量を調べて、抗ウイルス剤投与後の治療効果の指標とします。


2011年11月28日月曜日

感染症検査-1.B型肝炎検査⑥HBe抗原とHBe抗体検査-


⑥HBe抗原とHBe抗体検査

HBVに感染すると、血液中にHBV-DNAのほかに、体にとって異物となるHBV由来の蛋白質である抗原や、抗原を排除するために免疫機構によって作られた抗体が造られます。

HBVの抗原にはHBs、HBe、HBcの三種類があり、HBe抗原が陽性の場合、血液中にHBVが多量にあるか、またはHBVが増殖中であることを意味します。

その為に、HBe抗原が陽性の場合は第三者へ感染させやすい状態であるため注意が必要となります。

更にHBe抗体が陽性の場合は、HBVの量や活動性が低下しており、他者への感染力は弱いことを意味します。

基準値

HBe抗原 陰  性

HBe抗体 陰  性

異常値の解釈としては、

1.HBe抗原陽性の場合:HBVの活動性が高く、体内でHBVが増殖していることから、血液中にHBV量が多い状態で、感染力が強い。

2.HBe抗体陽性の場合:HBVの活動が低下して、HBVの量が減少していることを意味しますが、HBV無症候性HBVキャリア、B型慢性肝炎の非活動期の可能性もあります。

2011年11月27日日曜日

感染症検査ー1.B型肝炎検査-⑤HBV-DNA検査-


⑤HBV-DNA検査

HBVは、DNA遺伝子をもつDNAウイルスで、HBVに感染してるか否かを血液中のHBV量を直接検出する方法がHBV-DNAの測定です。

測定方法にはいくつかの種類がありますが、現在行われている検査は、HBV-DNA 定量法《TaqManPCR 法》です。

この検査方法は、今までの核酸増幅検査よりも感度がよく、特に定量下限が1.8Log コピー/mL まで拡大したことでこれまで以上に抗ウイルス療法薬の治療効果の判定に有用となります。

今までの検査法と検出限界を比較しますと、

  TaqManPCR 法       1.8 ~ 8.8Log コピー/mL
  PCR 法            2.6 ~ 7.6Log コピー/mL
  TMA 法            3.7 ~ 8.7 LGE/mL
  HBV DNA ポリメラーゼ    30 cpm ~(6Log コピー/mL~)

この検査法の感度がいかに優れているか分かります。

 
基準値外の場合は、B型肝炎、無症候性HBVキャリアである可能性が考えられます。

この検査は、HBV感染の判断をするより、HBV感染者の治療によって血液中のHBVの量そのものを調べるのに用いられています。

即ち、抗ウイルス剤の治療効果や投与を終了する時期の判断などに利用されています。

2011年11月25日金曜日

感染症検査ー1.B型肝炎検査-④IgM-HBc抗体検査-


④IgM-HBc抗体

HBVに感染すると、血液中にHBV遺伝子のほかに、体にとって異物となるHBV由来の蛋白質である抗原や、抗原を排除するために免疫機構によって作られた抗体が出来ることから、HBV感染の目印となります。

HBVの抗原にはHBs、HBe、HBc の3種類がありますが、HBc抗原はHBVの内部に存在するため、そのままでは検出できず、一般病院では日常の検査では行われません。

IgM-HBc抗体は、HBc抗原に対する抗体の1つであり、HBV感染後1週間程度で陽性となり、3~6ヵ月後に消失します。したがって、IgM-HBc抗体が陽性の場合、最近HBVに感染したことを示します。

まれに、B型慢性肝炎が急に悪化した状態でも陽性となることがあります。

基準値

IgM-HBc抗体:陰性

陽性の場合の解釈

IgM-HBc抗体陽性の場合は、ごく最近にHBVに感染したことを意味します。

そのことから、B型急性肝炎、またはB型慢性肝炎の悪化の可能性があります。

2011年11月23日水曜日

感染症検査ー1.B型肝炎検査-③HBc抗体検査-


③HBc抗体検査

HBc抗体は、HBV由来の蛋白HBc抗原に対して身体が免疫反応をして作られた物質で、感染の比較的早期から血中に出現し、ほぼ生涯にわたって血液中に認められます。



基準値 陰性

陽性の場合は、以下の二通りの場合があります。

1.高力価の場合

HBV感染の比較的早期から血中に出現し、ほぼ生涯にわたって血液中に認められます。

2.低力価の場合

HBVに過去に感染したか、一過性感染の場合が疑われます。

※CLIA法では10.0以上を高力価、以下を低力価※

HBs抗原陰性でHBc抗体陽性の場合は、HBs抗体が認められなくても、過去にHBVに感染したと解釈します。

その理由としては、身体の中にHBVが潜伏感染していて、健常者では臨床上全く問題は発生しませんが、何らかの原因により免疫能が低下するとHBVが再増殖し、B型肝炎が再燃することがあります。

従って、HBc抗体の検査はHBVの感染の判断をする上で極めて有用で、HBVキャリアではHBc抗体量は非常に高値を示します。

HBs抗原が陰性でHBs抗体は陽性であっても、HBc抗体陽性の場合には血中あるいは肝組織中にごく微量のHBVが存在していると解釈します。

2011年11月21日月曜日

感染症検査ー1.B型肝炎検査-②HBs抗体検査-


②HBs抗体検査

HBs抗原に対する中和抗体(感染防止抗体)で、これが血液中にあれば、過去にHBVに感染したことがあることを意味します。

HBVに感染しますと、急性肝炎を発病する人もあれば、ほとんど症状を起こさずにHBs抗体が出来ている人もいます。

HBVに感染して体内にHBs抗体が出来れば、体内のHBVは無毒化された事になり、以後肝硬変や肝がんになる心配はなくなります。

HBs抗体が陽性であれば、以後HBVに感染する心配はありません。

検査を受ける時期としては、HBVの感染がわかった時点で、定期的(検査をする時期は人それぞれによって異なることから専門医が総合的に判断します)に検査を続けていきます。

検査法には、化学発光免疫法(CLIA)、化学発光酵素免疫測定法(CLEIA)、電気化学発行免疫測定法(ECLIA)、酵素免疫測定法(EIA)、ラテックス凝集法(LA)、イムノクロマト法(IC)、凝集法(赤血球およびゼラチン)がありますが、これらの検査法によっての大きな差はありません。

2011年11月20日日曜日

感染症検査ー1.B型肝炎検査-①HBs抗原検査-


1.B型肝炎検査(HBV)-①HBs抗原検査-

HBs抗原はB型肝炎ウイルスのコア(芯)を覆っているサーフィス(殻)の部分
で、血液中にこれが存在すれば(陽性)であればHBVに感染していることになります。

しかし、HBVに感染していても、その90%は肝障害がない無症候性キャリアで、残りの10%が肝臓を障害されて慢性肝炎や肝硬変、肝ガンになっています。

HBs抗原を持っているキャリアは、日本人の2~3%を占めるとされています。

検査法としては、エライサ法、化学発光酵素免疫測定法(CLEIA)及びIC法による迅速検査があります。

●検査を受ける時期●

HBs抗原検査法の感度によって異なりますが、外国の文献によれば感染後約59日経てばHBs抗原検査は陽性となると言われていますが、チンパンジーを使った実験では、HBV量が極めて少ない血清をチンパンジーに接種した場合、HBs抗原が検出できるようになるまでに約3ヶ月かかったと記録されていることからして、3ケ月後に受けることが推奨されています。

近年、性行為に伴うHBV感染が拡大する傾向にあり、これまでの日本ではあまり見られなかったジェノタイプAのHBV感染が若い年齢層を中心に広がりつつあります。

このジェノタイプAのHBVに感染した人は、その10%前後がキヤリア化することから、専門家の間では危惧されています。

HBVもコンドームの正しい使用で感染予防が可能となりますから、コンドームを正しく使用して感染予防対策を剃る必要があります。

性行為によるHBVの感染を調べるHBs抗原検査は、行為から3ケ月が経過してから受ける必要があります。

2011年11月19日土曜日

血液検査-1.肝臓機能検査⑩ビリルビン検査-


⑩ビリルビン検査

ビリルビンとは、赤血球のヘモグロビンが壊れたときに出来る黄色い色素のことで、検査には直接ビリルビンと総ビリルビンの2種類があります。

直接ビリルビンは、肝臓で処理後のビリルビンで、総ビリルビンは肝臓で処理される前後を合わせたビリルビンのことです。

ビリルビン検査は、黄疸の確認や肝機能などの異常を調べる検査のひとつです。

血液中のビリルビンの量が増加すると、身体が黄色くなりいわゆる黄疸になります。

日本人の場合肌が黄色ですから白人に比べて黄疸の判定がしにくいですが、眼の白眼の部分が黄色くなりますから、黄疸の判定は眼の白眼部分で行います。

基準値

総ビリルビン:0.2~1.1mg/dl 

直接ビリルビン:0.1~0.5mg/dl 

1.基準値より高い場合

溶血性黄疸、肝細胞性黄疸、肝内胆汁うっ滞、体質性黄疸、肝外胆汁うっ滞などの疑いがあります。

2.基準値より低い場合

鉄欠乏性貧血などの疑いがあります。

2011年11月18日金曜日

血液検査-1.肝臓機能検査⑨膠質反応(TTT,ZTT)-


⑨膠質反応(TTT,ZTT)

TTTは、チモール混濁試験と、ZTTは硫酸亜鉛混濁試験と呼ばれます。

膠質反応(TTT,ZTT)は、肝硬変の進行の程度を調べるために実施される検査です。

急性肝炎では、ZTTは余り高くなりませんが、TTTは高くなります。

基準値

TTT:0~5クンケル単位

ZTT:2~14クンケル単位

TTTが異常値の場合は、急性肝炎・慢性肝炎・肝硬変・高脂血症などが疑われます。

ZTTが異常値の場合は、急性肝炎・慢性肝炎・肝硬変・肝癌などが疑われます。

TTTとZTTの両方が高値の場合は慢性肝炎が疑われます。

ZTTが低値のばあいは、胆汁うっ滞症、ネフローゼ症候群、糸球腎炎、骨髄腫などが疑われます。

TTTとZTTが異常値を示してもこの検査だけでは診断を確定出来ませんので、GOT・GPT、γ-GTP、ALP、LDH、血清総たんぱく分画、γ-グロブリン、コレステロールなどの測定も行ない、肝臓の病気かどうかを確かめる必要があります。

2011年11月17日木曜日

血液検査-1.肝臓機能検査⑧LAP(ロイシンアミノペプチダーゼ)-


⑧LAP(ロイシンアミノペプチダーゼ)

LAP(ロイシンアミノペプチダーゼ) はロイシンなどのタンパク質分解酵素のひとつで、肝臓、腎臓、腸、すい臓、脳、子宮、睾丸などのいろいろな組織や臓器に存在しています。

また、健康な人では胆汁中に多く含まれています。

胆汁は肝臓で造られ、胆のう、胆管を経て十二指腸に分泌され、肝臓や胆道に異常があり、閉塞し胆汁がうっ滞すると、血液中のLAPの値は高値になります。

その為、黄疸の鑑別や胆道閉塞を起こす病気の診断や経過に利用されます。

基準値

男性 45~81 IU/L  
女性 37~61 IU/L

この検査は、食事や運動による変動はありませんが、飲酒によって、γ-GPTと共に上昇することもありますし、妊娠でも妊娠月数と共に上昇しますが、分娩と同時に正常に戻ります。

高値を示た場合

肝臓がん、胆道がん、膵臓がん、子宮がん、卵巣がん、劇症肝炎、ウイルス性肝炎、急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変、胆道結石等が疑われます。

ただし、肝臓がんの場合、胆道の閉塞がなくてもLAPの値が高くなります。

※LAPの検査だけでは明確な診断と治療方針を立てられませんので、他の肝機能検査や超音波、CTなどの検査とあわせて、総合的に判断する必要があります。

2011年11月16日水曜日

血液検査-1.肝臓機能検査⑦コリンエステラーゼ(ChE)-


⑦コリンエステラーゼ(ChE)

コリンエステラーゼとは、肝臓で作られる加水分解酵素で、コリンエステルという物質を分解します。

主に肝臓の働きに異常がないかを調べる検査のひとつです。

コリンエステラーゼは、アルブミンと同様に肝臓だけで造られていることから、コリンエステラーゼの値とアルブミンの値はほぼ平行して変動します。

コリンエステラーゼは、肝臓に異常があるとほかの肝機能検査に比べていち早く異常値を示すので、これらの検査値とあわせてみることによって、肝臓の障害されている程度がわかります。

その為に慢性肝炎や肝硬変などの慢性の肝臓病の経過をみていくうえで、とても重要な検査です。

基準値

180~440 IU/L

※検査方法によってかなり基準値が異なる場合がありますので、どのような検査法で調べたが重要となります。

1.基準値より高い場合

脂肪肝、ネフローゼ症候群、甲状腺亢進症などが疑われます。

2.基準値より低い場合

肝硬変、劇症肝炎、慢性肝炎、肝臓がん、低栄養などが疑われます。

※農薬などの有機リン剤中毒でコリンエステラーゼの値が低下します。

まれに身体のどこも悪くないのにコリンエステラーゼの値が非常に低い人がいますが、これはコリンエステラーゼの遺伝子の一部が変異して活性のほとんどないコリンエステラーゼが作られているためです。

この様な人たちは、普段の生活には何ら支障はありませんが、歯科で抜歯のときなどに使用する麻酔剤を分解できず呼吸困難になることもあります。

2011年11月15日火曜日

血液検査-1.肝臓機能検査⑥LDH-


⑥LDH

LDH(乳酸脱水素酵素)は、逸脱酵素の中でいちばん有名なもので、肝臓、赤血球、筋肉、悪性腫瘍に存在します。。

したがって、LDHの数値が上昇する病気には、肝炎など肝臓が悪い場合、赤血球が溶血などでこわれた場合、白血病、心臓の筋肉がこわれた心筋梗塞の場合、がんの場合などが考えられます。

基準値

200~400 lU/L


基準値より高い場合

Ⅰ.肝臓に原因がある場合:急性肝炎、慢性肝炎、肝臓がん、肝硬変、転移性肝臓がんなどの疑い

Ⅱ.心筋に原因がある場合:急性心筋梗塞、心不全などの疑い

Ⅲ.骨格筋に原因がある場合:筋肉ジストロフィー症、多発性筋炎などの疑い

Ⅳ.その他にも肺梗塞、白血病、悪性貧血、溶血などの疑いもあります。

白血球の悪性腫瘍である悪性リンパ腫や白血病では、数値が600から数千まで顕著に上昇します。

心筋梗塞や慢性肝炎では、400から600くらいの中等度に上昇します。

また、妊娠でも高い数値を示します。

健康診断でLDHだけが高いときには、全身のその他のくわしい検査を受けることをお勧めします。

※LDHの検査を受ける際の注意※

食事による変動はありませんが、運動によって上昇することから、ジョギングなどの日常の軽い運動でも数値が高値になり、ときにはそれが1週間近く続くこともあります。

従って検査数日前はなるべく運動を控え、検査当日は少し早めに病院に行き、気持ちを落ち着かせから検査を受ける必要があります。

2011年11月14日月曜日

血液検査-1.肝臓機能検査-⑤アルカリホスファターゼ-

⑤アルカリホスファターゼ


アルカリホスファターゼ(ALP)は、アルカリ性の条件下でリン酸エステル化合物を加水分解する酵素です。

会社の健康診断に取り人入れられている肝機能検査のひとつです。

アルカリホスファターゼは、肝臓、腎臓、骨芽細胞、胎盤、小腸をはじめ、広く全身に存在していますが、その大部分は細胞膜上に局在していてその一部が血液中に放出されて、わずかに存在しています。

血液中に存在するアルカリホスファターゼのほとんどは肝臓型または骨型のアルカリホスファターゼです。

血液中のアルカリホスファターゼが上昇する場合には、これらの臓器の壊死や破壊に伴う修復活動として細胞再生が行われており、これに伴ってアルカリホスファターゼの合成亢進が行われ、血液中への放出が進んだものと考えられます。

肝臓やその他の臓器に損傷があった場合、いずれの場合もアルカリホスファターゼの値が上昇しますが、この検査は主として肝機能の指標の一つとして扱われることが多いです。
また、胆道の病気やがんの骨転移などで、この酵素の値が高くなります。

基準値

80~260 IU/L


Ⅰ.80以下の低値

遺伝性低アルカリホスファターゼ血症の可能性がありますが、遺伝性低アルカリホスファターゼ血症以外はまったく問題ありません。

Ⅱ.260~600

閉塞性黄疸(胆管がん、肝門部胆管がん、膵頭部がん、総胆管結石、ファーター乳頭がん)、転移性肝がんなど、肝内胆汁うっ滞、胆道感染、骨疾患(転移性骨腫瘍、骨折、骨軟化症など)、薬物性肝障害、アルコール性肝障害、脂肪肝、うっ血肝、急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変、肝細胞がんなどが疑われます。

また生理的上昇として(成長期、妊娠、血液型B型・O型の分泌型など)も数値が上昇することがあります。

Ⅲ.600以上

顔が黄色くなるような明らかな黄疸がみられ、閉塞性黄疸(胆管がん、肝門部胆管がん、膵頭部がん、総胆管結石、ファーター乳頭がん)、肝占拠性病変(転移性肝がんなど)、肝内胆汁うっ滞、骨疾患(転移性骨腫瘍)等が疑われます。

また、肝膿瘍、悪性リンパ腫、白血病の浸潤、サルコイドーシス、粟粒結核、アミロイドーシス、甲状腺機能亢進症の可能性もあります。

※アルカリホスファターゼの検査は、がんの骨転移の検査に便利な検査で、がんが骨に転移した場合などには、アルカリホスファターの値が高度に上昇することが多く、がんの骨転移があるかどうかを調べるのに利用されます。

2011年11月13日日曜日

血液検査-1.肝臓機能検査-④ガンマーGTP-


④γ-GTP(ガンマーGTP)

この検査は、会社の健康診断のに取り人入れられています。

お酒の飲みすぎで肝臓が悪くなると、γ(ガンマ)-GTPという酵素の値が高くなります。

γ-GTP(γグルタミルトランスペプチダーゼ)は、肝臓の解毒作用に関係している酵素です。

肝臓や胆管の細胞が壊れると血液中にγ-GTPが出てきます。

そのことから、γ-GTPは肝臓や胆管の細胞が壊れたかどうかの指標として利用されています。

しかしγ-GTPが血液中に多くなっても、γ-GTP自体が身体何か悪い影響をおよぼすことはありません。


γ-GTPが高くなる疾患としては、

1.肝臓の細胞が破壊される肝炎

2.肝臓に脂肪が蓄積する脂肪肝など

3.胆石や胆道がんなどで胆道がつまった場合

4.アルコールを飲む人の場合、飲みすぎによるアルコール性脂肪肝が問題になります。
す。

γ-GTPの値が100以下であれば、節酒あるいは禁酒することですぐに正常値にもどります。

更にγ-GTPは比較的アルコールに短期的に反応するので、禁酒を一週間もすれば下がりだします。


γ-GTPの基準値(成人)

基準値(男性) 12~65 IU/L

基準値(女性) 9~27 IU/L

※基準値より低くても問題ありません。

※女性の場合は、女性ホルモンの影響により男性より数値が低くなる傾向にあります


Ⅰ.γ-GTPの値が100以上になった場合

注意が必要で、アルコール性肝障害、薬物性肝障害、慢性肝炎、脂肪肝で多くみられる数値で、肝硬変、肝がんの可能性もあります。

Ⅱ.γ-GTPの値が100~200になった場合

脂肪肝が進行している可能性があり、アルコール性肝障害、薬物性肝障害、慢性肝炎、脂肪肝で多くみられる数値で、肝硬変、肝がんの可能性もあります。

Ⅲ.γ-GTPの値が200~500になった場合

アルコールだけでなく、アルコール性肝障害、閉塞性黄疸、肝内胆汁うっ帯で多くみられ、慢性活動性肝炎の可能性もありますし、胆石や胆道がんなどによって胆道がつまっている可能性もあります。

Ⅳ.γ-GTPの値が500以上になった場合

急性アルコール性肝炎や胆道がつまっておきる閉塞性黄疸などの場合には、こうした高い値になります。

とにかく、γ-GTPの値が100をこえたら厳格な節酒か禁酒を行い、早い時期に受診する必要があります。

2011年11月12日土曜日

血液検査-1.肝臓機能検査-③GOT(AST)・GPT(ALT)と肝疾患の関係について-


③GOT(AST)・GPT(ALT)と肝疾患の関係について

1.急性肝炎の場合、一般的に値がもっともひどい時期ではGOT>GPT、回復期はGOT<GPTとなります。

また、急性肝炎の場合、肝細胞が多く壊されるため、GOTやGPTの値が500以上を示すことがあります。

2.慢性肝炎の場合、一般的に値はGOT>GPTとなりますが、活動期ではGOT<GPTとなります。

3.肝硬変・肝がんの場合、一般的にGOT>GPTとなります。

4.脂肪肝の場合、アルコール性ではGOT>GPTとなり、過食などによるものの場合GOT<GPTとなります。

慢性肝炎や脂肪肝、肝硬変の場合、状態にもよりますがGOTやGPTが100以下や100前後の軽度増加の場合が多い傾向が見られます。

2011年11月11日金曜日

血液検査-1.肝臓機能検査ー②GPT(ALT)検査-

②GPT(ALT)検査


GPT(ALT)とはたんぱく質の元となるアミノ酸の代謝にかかわる酵素のことで、肝臓の細胞に多いため、主に肝臓の異常を調べる場合に検査されます。

GPTは、、肝細胞や心筋、骨格筋の細胞に多く含まれているために、これらの病気の指標になります。

GPTの大部分は肝細胞に含まれるので、GPTの数値が高い場合は、肝臓の病気が疑われます。

また、GPTは、GOTより血液中から消失するのに時間がかかるため、しばらく高値が続くという特徴がありことから、急性肝炎の極期ではGOTよりGPTが高値となり、またこの時期に黄疸も強くなります。

さらに、慢性肝炎や脂肪肝でもGOTよりGPTが高値になります。


基準値

3~35 lU/l

基準値より高い場合

◆肝臓が原因の場合、急性肝炎、慢性肝炎、肝臓がん、脂肪肝、アルコール性肝炎などの疑い
◆心筋が原因の場合、急性心筋梗塞などの疑い
◆骨格筋が原因の場合、筋肉ジストロフィー症、筋無力症などの疑い


数値が高いほど、肝臓疾患が重いことを示してます。ただし、肝臓がん、肝硬変などが進行している場合は、数値があまり上昇しないこともあるので注意が必要です。

2011年11月10日木曜日

血液検査-1.肝臓機能検査-①GOT(AST)検査

血液を採血して検査を実施する「血液検査」について解説をしていきます。

第一回目は、『肝臓機能検査』です。

肝機能検査は、肝臓細胞や胆管細胞に問題が発生しますと肝臓内のある種の物質が血液中に流れ出ます。

そのことから、肝臓から流れでた物質の種類と量を測定することにより、肝臓機能を調べることができます。

①.GOT(AST)検査

肝臓細胞内で造られる酵素の一種で、肝臓細胞や心臓および腎臓などの臓器に多く含まれています。

何らかの異常で幹細胞が壊されることによって血液中に流れでてきます。

GOT(AST)は、肝臓以外の臓器にも存在しますから、検査の数値が増減しても必ずしも肝臓に異常があるとは限りません。

その為にもGPT(AST)を同時に検査を実施する必要がありますから、肝臓機能検査としてはGOT(AST)とGPT(AST)をセットで検査をします。

基準値:30IU/L以下

※以前は正常値と言っていましたが現在は「基準値」と言います。

※検査に使用する機器によって基準値が変動しますから、医療機関によって若干の数値の異なりが見られます。

基準値より高い場合
◆肝臓が原因の場合、急性肝炎、慢性肝炎、肝臓がん、脂肪肝、アルコール性肝炎などの疑い
◆心筋が原因の場合、急性心筋梗塞などの疑い
◆骨格筋が原因の場合、筋肉ジストロフィー症、筋無力症などの疑い





l臨床検査の部屋解開設のご挨拶

医療機関を受診した際に血液や尿を採取され、色々の検査を受けますが、この検査についての、

1.検査目的
2.正常値と異常値
3.異常値が出た時の解釈
4.他の検査との関連性
などなど疑問が湧いてくるはずです。
これら疑問にお答えできるように、臨床検査各項目についてわかりやすく解説していきますので、ご期待ください。